教職員の協働体制
   教育課程経営の外的整備の中でも,その最も核となるものが教職員の協働体制である。教職員の協働体制をつくっていくためには,次のような取り組みが必要になってくる。
 
(1)  校長のリーダーシップ
  @  校長の教育理念の明確化
  A  教育課程経営の方針の提示
  B  到達目標と重点施策の提示
  C  適切な指導助言
(2)  組織の改善とその運営の工夫
  @  校務分掌の見直し
  A  校内教育課程経営推進チームの編成・運営
  B  教科等部会と学年会との連携
(3)  教職員のコミュニケーションの活発化
  @  教職員のコミュニケーションの場の工夫
  A  学年内や教科等部内でのコミュニケーションの時間や場の設定
  (1)  校長のリーダーシップ
     教育課程経営の最高責任者は校長であり,教職員の協働体制づくりには,まず校長のリーダーシップが求められる。校長のリーダーシップなしには,教職員の協働体制はもとより,教育課程経営の推進はあり得ない。
 そこで,校長には次のような四つの取り組みが求められる。
    @  校長の教育理念の明確化
       校長が教育理念を明確に示すことによって,教育課程経営の目指す方向性を教職員が理解し,教職員相互の協働意欲も高まる。校長の教育理念とは,校長が教育にかける期待や思い,理想を示したもので,学校の教育課程経営の方針のよりどころとなるものである。
    A  教育課程経営の方針の提示
       校長は,教育理念をもとに,教育課程経営の方針を提示し,教職員が共通理解しておくことも重要となる。
    B  到達目標と重点施策の提示
       校長は,教育理念,教育課程経営の方針,昨年度の学校経営の評価等に基づき,1年間の到達目標と重点施策を提示しなければならない。協働体制をつくりやすくするためにも,到達目標と重点施策は,できる限り具体的なものが望ましい。
    C  適切な指導助言
       校長は,教育課程経営の最高責任者であるため,教育課程経営全般において,適切な指導助言を行わなければならない。組織に対する指導助言はもとより,教職員一人一人に対して,随時教育課程経営における適切な指導助言が求められる。
  (2)  組織の改善とその運営の工夫
    @  校務分掌の見直し
       全教職員で教育課程経営に取り組めるようにするためには,学校規模に配慮しながら校務分掌を見直し,改善する必要がある。
 改善の視点として,次のようなことがあげられる。
 教育課程経営が展開できる校務分掌になっているか。
 スリム化が図られているか。
 まず,教育課程経営が展開できる校務分掌になっているかを検討し,校務分掌を改善しなければならない。これと併せて,全体的にスリム化を図る必要がある。教育課程経営では,授業前後の取り組み,教員相互の連携に費やす時間が多くなる。よって,これまでの校務分掌をスリム化し,会議を減らすなどして,これらの時間を生み出さなければならない。
    A  校内教育課程経営推進チームの編成・運営
       教育課程経営を実際に推進していくためには,そのためのチームを編成する必要がある。チームのメンバー構成は,学校規模によっても異なるが,基本的には,教務主任,研究主任,その他教育課程経営に詳しい教員があげられる。この推進チームは,教科等主任や学年主任との連携を図りながら,校内の教育課程経営を推進していくことになる。それを可能にするためには,推進チームのメンバーの能力等の向上を図っていくことも大切になってくる。
 推進チームのメンバーに求められる能力等として,次のようなものがあげられる。
 学習指導要領の各教科等の目標及び内容の理解
 教育評価の技能
 データの収集・分析力
 これらの能力等を校内研修や教育委員会,教育研修センター,大学等との連携を通して,向上させていかなければならない。
    B  教科等部会と学年会との連携
       教科等の年間指導計画を作成するのは教科等部会であるが,実際に実践するのは各学年であり,各学級・ホームルーム担任である。そこで,特にこの教科等部会と学年会との連携が必要になってくる。
  (3)  教職員のコミュニケーションの活発化
    @  教職員のコミュニケーションの場の工夫
       次のように,職員室内での自由なコミュニケーションの場を設ける工夫が必要である。
 会議の時間を減らし,教育活動に関する自由なコミュニケーションの時間をとれるようにする。
 職員室またはその近くに,コミュニケーションのとれる場を設ける。
 ブレーンストーミング的な話し合いを行い,その中から出された意見を全体の場で話題にし,教育課程経営の改善に生かしていく。
    A  学年内や教科等部内でのコミュニケーションの時間や場の設定
       教員の多くは,学年会と教科等部会に所属している。日常において,これらの組織の中でのコミュニケーションを密にしていくことによって,これらの組織内の協働体制が一層図られ,学校全体の協働体制づくりへとつながっていく。
 そこで,学年主任や教科等主任が中心となり,学年内や教科等部内でのコミュニケーションの時間や場の設定に心がけていかなければならない。


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