第11 これからの教育課程の在り方/小学校
   
 教職員の協力体制で進める
    決められた教育課程にマンネリ化した指導計画に従った受け身の各担任の立場を逆転して学年学級を基礎とした教育課程編成に取り組むことが出発点である。各担任の個々の経験を引き出し各学校独自の教育活動を創造するためには意見を述べあい工夫改善を模索する協力体制が必要であり,全く新しい学校に創りかえようとする気概と勇気が大切である。
   
 学びの主体が児童一人一人にあることを確かめる
   自ら学び自ら考える力の育成を図り[生きる力]をはぐくむ学校の姿は,学びの主体が児童一人一人にあることを改めて捉え直し,教え込み教育や自主性の押し付け教育から離れなければならない。児童一人一人に焦点を合わせることは,個への対応はもちろん,個性の違いを超えて協力し合う大切さを学ぶことで,自らを豊かにしようとする意欲と希望を生み出す援助が大切である。
   
 体験的な学習を基本に置く
   「各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や問題解決的な学習を重視するとともに,児童の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫する」とその他の配慮事項(「総則」)にも示されるように,「総合的な学習の時間」を知のネットワークの要として体験的な学習を積み重ねることが大きな課題である。特に小学校教育では生活体験を基礎とした学習の重要性が指摘されるところであり,中等教育に向けて生きて働く学習成果を得ることができるよう将来を見据えた評価の視点が求められるところである。
   
 地域への広がりを大切にする
   教育内容を厳選し,家庭や地域と連携して,各学校の創意工夫を生かす学校づくりは,自ずから学校を取り巻く地域社会に学校を開放することである。小学校実践事例の多くが地域に人材を求め地域の活動と関連付けて「開かれた学校づくり」の方向を指し示している。学校の活動を地域社会に広げれば広げるはど,各学校の主体的な創造力が問われて来るので,各学校の経営責任を明示するためにも,特に,これからの小学校教育は地域社会への広がりが鍵である。
   
 基礎・基本の学習を積み重ねる
   教育内容を厳選して,基礎的・基本的な内容に絞るとの教育改革のスタートラインを明確にしておきたい。基礎・基本の教育が,なぜ「生きる力」を育むことに通じるのか,基礎と基本をどう区別して,自ら学び自ら考える教育へ転換していくのか,学校の抱え込みの傾向を自覚して[ゆとり]の学校生活を創造することは学校週5日制の下での21世紀の学校づくりへの道である。


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