学校の創意工夫に基づく教育課程の編成学校の創意工夫に基づく教育課程の編成
−時発見・開発・創造を目指すＴ工業高等学校の事例− |
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研究のねらい |
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多様化した専門高校への入学生に対して，生徒の選択の幅を広げ，学科間の異動をもっと自由にしてコ−スの取り替えの可能性を拡大し，回り道をしてゆっくり成長する生徒にも，安心して勉学のできる教育課程を編成する。 |
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（１） |
基礎・基本となる適切な必履修教科・科目を厳選し，適切な単位数を配置する。 |
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（２） |
自ら学び考え，体を動かして学習できる（実験・実習）履修科目を多くする。 |
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（３） |
進級・卒業に必要な単位数を現行より削減する。【履修単位と修得単位の明確化】 |
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（４） |
自分の創意工夫を活かした課題研究を充実する。【「総合的な学習の時間」】 |
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（５） |
特色ある教育をするために，学校設定教科・科目を取り入れる。 |
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| ２ |
基本的な考え方 |
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（１） |
１学年：生徒募集は小学科を単位として実施しているが，現実には目的を持たない多様な志向をもつ生徒が入学してくる。中学生に職業（専門小学科）選択を強いるには難がある。本校では，これらの生徒に対応するために昨年度より『転科制度』を取り入れた。そこで，１学年次「なりたい自分を見付ける」ことに重点をおく【自己発見の教育課程】を編成目標とする。 |
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ア |
さまざまな工業専門職を理解させるための［学校設定教科・科目］を設定する。例として《技術資格と専門職》《産業社会と専門職》等とし，どのような職業にどのような資格が必要か，また，資格をとるためにはどのようなことを学習するか，を分かりやすく理解させる。この科目を履修することにより【本当に将来つきたい職業を見つけさせる】ことができる。本校では数年前より資格取得推進委員会を設置し『資格取得の手引書』を作成し生徒へ配布している。これを教科として履修させたい。 |
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イ |
２年次，『転科』しても違和感を持たないよう基礎・基本を重視し全科共通の教科・科目を設定する。[学校設定教科・科目］《技術資格と専門職》，［工業技術基礎］，［課題研究］等 |
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（２） |
２学年：進むべき自分の専門職業が定まれば「なりたい自分を育てる」ことに重点をおく【自己開発の教育課程】を編成目標とする。 |
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ア |
専門教科のなかで，自分が興味・関心をよりもてるよう，多くの選択専門教科・科目を設定し，自ら楽しんで学習することができるよう『科内選択』を実施する。各小学科で２〜４講座を設定し自由に選択させる。 |
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イ |
『転科』した生徒対象に補講講座を設置する。 |
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（３） |
３学年：社会へ巣立ち，即応するための「なりたい自分を熟成させる」ことに重点をおき，また，大学進学等に対応した【自己創造の教育課程】を編成目標とする。 |
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ア |
技術資格取得を目的に含み，幅広い選択教科・科目を設定し，自分の進路目標を達成できるよう『科を超えた選択』を実施する。 |
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イ |
普通教科・専門教科相互乗り入れ選択授業を展開する。 |
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ウ |
課題研究の充実を図る。 |
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| ３ |
学校・地域の実態 |
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県南の商業・工業・観光の中心都市に位置し，本年創立40周年を迎えた５学科（機械・電気・建築・土木・情報技術科）・生徒数約1,000人を有する男女共学の工業専門高校である。入学希望者は広範囲（水戸市，下館市，取手市，東村）に及び，出身中学は約100を数える。生徒の進路は，約30%が進学，70%が就職（自営を含）であり，ほぼ100％その希望を達成している。 |
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| ４ |
具体的な工夫 |
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（１） |
「総合的な学習の時間」の視点を導入 |
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ア |
【課題研究】の充実・発展 |
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生徒の自己教育力，問題解決能力，自発的・創造的な学習態度を育成する。１年次より実施することにより，３年間を通して〈何かをつかむ〉ことの満足感を与えることができる。 |
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イ |
【就業体験】を修得単位認定 |
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固定的な教科の枠にとらわれず，生徒の多様な興味・関心を喚起させる。個性を発揮させ，自己実現を図るために，実社会とかかわり職業感・勤労感を身につけさせる。また，情報の集め方，報告書の作成の仕方，発表の仕方等を総合的に判断し単位を認定する。 |
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ウ |
【各種コンク−ル・研究発表会・展覧会等の参加】を修得単位認定 |
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教科・科目に属さない分野で年間を通して研究活動を続け，関係機関等に発表させる。また，競技コンク−ルに参加させて単位を認定する。 |
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（２） |
地域社会との連携 |
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ア |
社会人講師による実験・実習。 |
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実社会の技術者を講師に招くことにより最新の技術を学習することができる。 |
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イ |
校外（民間工場等）実習体験。 |
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一定期間，学校を離れて実習させ，単位を認定する。異年齢と接する機会を多くし勤労感，協調性等を習得させる。 |
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（３） |
展開の工夫 |
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ア |
多様な学力の差に対応 |
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教科の履修は小学科クラスの枠を外して到達度別グル−プを編成し，３段階(図１)のコ−スを自己選択させる。 |
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基礎反復コ−スは小中学校で消化不良を起こしている内容を，焦らず徹底的に反復学習させ，学ぶ楽しさを習得させる。 |
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・ |
標準コ−スは教科書に準じた現行の指導方法。 |
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・ |
ゼミコ−スは高度の学力をもった生徒を小人数で学習させ，自学自習的な授業形態とする。校外（他校・予備校等）の受講を認め単位を認定する。 |
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イ |
多様な個性に対応 |
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自己を発見し，開発を進め，創造するためのコ−ス（図２）を設置し選択させる。２年次２単位，３年次４単位履修させることが望ましい。 |
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・ |
スペシャリストコ−スは自学科の専門教科のみを履修し，この道のスペシャリスト を目指す。目的意識の強い生徒のグル−プによる選択であり，高い専門教育が期待 できる。課題研究等を充実し，全員に関係する【資格取得】を義務付ける。 |
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・ |
総合技術コ−スは自学科のみにとらわれず，他学科の開設する基礎的講座を選択し工業技術を幅広く学習する。自分の興味や適性を伸長させ，多様な進路に対応できる。 |
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・ |
進学コ−スは大学進学を目指す生徒が選択する。大学進学の道を大きく開くことができる。 |
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| ５ |
評価の工夫 |
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（１） |
職業を理解し自己を発見したか，関係する職場を訪問し体験レポートを提出させる。 |
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（２） |
好きな職業に就くためには，自己をどう開発していくか，小グループを編成し討議させ発表させる。 |
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（３） |
スペシャリストに，進学に，自己を創造したか，小論文等を卒業時に提出させる。 |
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成果と今後の課題 |
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（１） |
教育目標の明確化 |
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教育課程の効果的な運用は，全職員の共通理解の下に教育目標を明確に定めておく。 |
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ア |
生徒の実態に即した教育目標か，また教育課程の編成か。 |
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多様な生徒の実態を的確に分析し，教師一人一人が教育目標をとらえておく。 |
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イ |
組織的運営が可能な教育課程の編成か。 |
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各学科や教科の専門性に固守し，教師の自己満足の研究や目標にしてはならない。 |
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（２） |
指導計画・指導方法の検討 |
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年間授業時数等を配慮した実質的な指導計画書を作成する。 |
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ア |
適切な日課表を作成できるか。 |
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イ |
普通・専門・選択教科の適切な配置配列か。 |
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（３） |
【転科制度】の充実発展。 |
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（４） |
【科を超えた選択制】の充実発展。 |