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    研究の成果 | 
  
  
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         本研究では図画工作・美術科学習に関する実態を踏まえ,児童生徒が自ら発想や夢を豊かに深め,のびのびと表現しながら,主体的に表現できるように,題材設定の工夫や,発想・構想時における表現方法,材料の提示の工夫等の手だてを講じ,授業研究を行った。研究主題に迫るための有効な手だては,以下の通りである。 | 
  
  
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    (1) | 
    自らの夢や発想を大切にする題材の設定について | 
  
  
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    ア | 
     児童生徒の実態や興味・関心を踏まえ,わくわくしながら,イメージが豊かにひろがる題材を設定した。その結果,児童生徒が思い思いの方法で夢や発想を豊かに深める手だてとすることができた。 | 
  
  
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    イ | 
     第2年目の小学校の研究では,自分たちの生活する中庭を「もっと楽しいところにしたい」という児童自身の提案を取り上げた題材設定をした。これにより,夢や願いを大切にした題材の設定により,児童の主体的な活動を促すことができた。 | 
  
  
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    (2) | 
    発想や構想のときにおける支援の工夫 | 
  
  
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    ア | 
     美術室をはじめ,校内の各所に作品を計画的に展示し,鑑賞を通してよさや楽しさを味わえる環境を整え,発想や構想のときの手がかりになるようにした。 | 
  
  
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    イ | 
     グループによる話し合いや,グループでの製作活動は,互いのよさを学び合ったり, 教え合う場としても有効であり,児童生徒の多様な思考活動が展開できた。 | 
  
  
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    ウ | 
     学習カードを活用することによって,教師が児童・生徒の思いや,発想のよさ,つまづきを確かめ,次時の支援の手だてにすることができた。 | 
  
  
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    (3) | 
    五感や直感を豊かに働かせた表現方法や材料の工夫について | 
  
  
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    ア | 
     教室内に試しの場(トライコーナー)を設け,体験しながら表現方法や,材料の特徴をつかみ取り,自分のアイデアやヒントを得たりすることができた。 | 
  
  
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    イ | 
     五感を働かせながら実際に材料や道具に触れられる「素材トレー」は,児童生徒の材料に対する感性を磨き,豊かな発想を生み出すのに役立てることができた。 | 
  
  
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    | お わ り に | 
  
  
    |  図画工作・美術科における創造性を培う学習指導の研究として,2年間にわたって,児童生徒が自ら発想や夢を大切にし,主体的に表現できる力を育てる支援の在り方を追求した結果,以下のことが明らかになった。 | 
  
  
    | (1) | 
     児童生徒の実態や興味・関心を注意深くとらえ,わくわくしながらイメージが豊かにひろがる題材の設定により,豊かな発想や夢のひろがる表現活動が展開できるようになる。 | 
  
  
    | (2) | 
     グループを前提とした題材や,グループ活動を学習の中に設け,教師が適切な助言や支    援をすることは,自由で柔軟な発想や思考を促し,創造的な思考を高めることにつながる。 | 
  
  
    | (3) | 
     試しの場(トライコーナー)の設置や,素材トレーの提示は,児童生徒に多面的な思考を促したり,新しい角度から物事を考えさせるのに有効であり,豊かな表現活動の展開につながる。 | 
  
  
    |  図画工作・美術科において創造性の基礎を培うために,教師は教科性をしっかりと意識し,児童生徒が,試行錯誤を重ねながら,自分の思いを豊かにひろげていく過程を大切にした授業の展開が求められる。今後も児童生徒の夢や思いを大切にしながら,のびのびと,かつダイナミックな活動が展開できる指導の在り方について究明をしていきたい。 |