1. 効果
  (1) WWW機能
    授業での効果
 WWW機能の授業での効果は,表4−7,図4−3の通りである。表中の「授業前のみ」は「授業前に効果を期待したが投業後では効果が認められなかった項目」である。また「授業後のみ」は「授業前には効果を期待しなかったが,授業後で効果が認められた項目」である。また「両方」は「捜業前に効果を期待し,授業後でも効果が認められた項目」である。図4−3中の項目1〜14は表4−7中の項目である。
表4−7   (数値は回答数を表す)
  項 目 授業前 授業後 両方
1 興味・関心及び学習意欲の高揚 6 0 29
2 自主的に課題を解決する能力や態度の育成 6 1 13
3 文章等の表現能力の向上 6 2 4
4 思考力や想像力の伸長 5 2 1
5 児童生徒同士の情報交換などによる交流 6 2 4
6 他地域や海外等の交流による地域の特性の理解 5 1 5
7 生きた外国語や異文化の理解 5 2 3
8 HP等の創作意欲の高揚 9 3 16
9 コンピュータの基本的な操作能力の習得 1 1 13
10 情報の判断,選択,整理,処理能力の育成 1 1 10
11 情報の創造,伝達能力の育成 8 1 2
12 情報化社会の特質,情報化の社会や人間に対する影響の理解 6 1 2
13 情報の重要性の認識,情報に対する責任感 5 2 2
14 著作権等の情報モラルに対する理解 2 3 5

図4−3 WWWの授業での効果

図4−3
    考察
 WWW機能では,興味・関心及び学習意欲の高揚を期待して利用している例が最も多く,次いでホームページ等の創造意欲の高揚,自主的に課題を解決する能力や態度の育成を期待して利用している学校が多かった。
 一方,思考力や創造力の伸長,情報の創造,伝達能力の育成は他の項目と比較すると効果は少なかった。また,生きた外国語や異文化の理解・情報の判断に関しては,期待していたほど効果が上がらなかった。
  (2) 電子メール機能
    授業での効果
表4−8,図4−4は,授業での電子メールの効果である。
表3−5  (数値は回答数を表す)
  項 目 授業前 授業後 両方
1 興味・関心及び学習意欲の高揚 1 1 14
2 自主的に課題を解決する能力や態度の育成 4 1 4
3 文章等の表現能力の向上 4 0 5
4 思考力や想像力の伸長 2 0 1
5 児童生徒同士の情報交換などによる交流 5 1 6
6 他地域や海外等の交流による地域の特性の理解 7 1 6
7 生きた外国語や異文化の理解 5 1 5
8 コンピュータの基本的な操作能力の習得 2 1 6
9 情報の判断,選択,整理,処理能力の育成 1 1 3
10 情報の創造,伝達能力の育成 4 1 3
11 情報化社会の特質,情報化の社会や人間に対する影響の理解 3 2 0
12 情報の重要性の認識,情報に対する責任感 0 0 6
13 著作権等の情報モラルに対する理解 1 2 3
14 その他 0 0 1

図4−4
図4−4
    考察
 電子メ−ル機能においても,興味・関心及び学習意欲の高揚が一番である。次いで他地域や海外との交流による地域の特性の理解を期待して利用している学校が多かった。
 ただし,学習意欲の高揚と比べると,情報交換・地域の特性の理解は期待していたほどの効果が得られなかった。
  (3) CU-SeeMee機能
    授業での効果
表4−9は授業でのCU−SeeMe機能の効果である。
表4−9  (数値は回答数を表す)
  項 目 授業前 授業後 両方
1 興味・関心及び学習意欲の高揚 1 0 0
2 自主的に課題を解決する能力や態度の育成 0 0 0
3 文章等の表現能力の向上 0 0 0
4 思考力や想像力の伸長 0 0 0
5 児童生徒同士の情報交換などによる交流 1 0 1
6 他地域や海外等の交流による地域の特性の理解 1 0 1
7 生きた外国語や異文化の理解 0 0 0
8 コンピュータの基本的な操作能力の習得 0 0 0
9 情報の判断,選択,整理,処理能力の育成 1 0 1
10 情報の創造,伝達能力の育成 0 0 0
11 情報化社会の特質,情報化の社会や人間に対する影響の理解 0 0 0
12 情報の重要性の認識,情報に対する責任感 0 0 0
13 著作権等の情報モラルに対する理解 0 0 0

    考察
 実践例は少ないが,児童生徒の情報交換と交流,他地域との交流による地域の特性の理解に効果が見られた。
 中学校のCU−SeeMe機能に関しては,報告された実践例が少なく,まだまだこれからの研究分野であることを感じさせる。しかし,「離れた場所を同時につないで情報交換する」という目的で,CU−SeeMe機能を活用した実践例がいくつか報告されている。村内をつないで英会話の授業,DTMでの交流など,作品の交換がリアルタイムにできることで,生徒同士の高め合いを期待したものといえる。作品発表という交流活動を通して「修正の場」を設け,他者の視点より自分の作品を見直し高める授業を展開している。
  (4) 効果面での考察
    機能別効果の比較
表4−10,図4−5は中学校における機能別で,授業での効果の比較である。
表4−10   (数値は回答数を表す)
  項 目 WWW E-mail CU-SeeMe
1 興味・関心及び学習意欲の高揚 29 15 0
2 自主的に課題を解決する能力や態度の育成 14 5 0
3 文章等の表現能力の向上 6 5 0
4 思考力や想像力の伸長 3 1 0
5 児童生徒同士の情報交換などによる交流 6 7 1
6 他地域や海外等の交流による地域の特性の理解 6 7 1
7 生きた外国語や異文化の理解 5 6 0
8 HP等の創作意欲の高揚 19 - -
9 コンピュータの基本的な操作能力の習得 14 7 0
10 情報の判断,選択,整理,処理能力の育成 11 4 1
11 情報の創造,伝達能力の育成 3 4 0
12 情報化社会の特質,情報化の社会や人間に対する影響の理解 3 2 0
13 情報の重要性の認識,情報に対する責任感 4 6 0
14 著作権等の情報モラルに対する理解 8 5 0

図4−5 機能別効果(WWW,電子メール,CU-SeeMe)
図4−5
     「児童生徒同士の情報交換による交流」や「他地域や海外との交流による地域の特性の理解」,「生きた外国語や異文化の理解」では,電子メール機能の効果の方がWWW機能の効果を上回っている。
 WWWでは,「興味・関心及び学習意欲の高揚」,「ホームページ等の創造意欲の高揚」,「コンピュータの基本的な操作の能力の修得」に効果があったと答える学校が多かった。また,「著作権等情報モラルに対する理解」に効果があったと答える学校が多かったのは,ホームページ等の画面の絵を利用しようと思ったとき,著作権の関係で使えないこともあるので,情報モラルを理解させる必要があると思われる。
 電子メールでは,他者・他地域との相互理解に効果があったのは勿論であるが,情報の影響や責任に閑することで効果があったと答える学校が多かった。
 CU−SeeMe機能はデータ数が少ないが,電子メールと似たような傾向であった。

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