1.小学校
小学校教員で心肺蘇生法のできる割合は,男子で36.1%,女子で25.3%であった。年々増加しているがまだ十分とはいえない。心肺蘇生法に関する研修については,本研修センターで毎年実施しているが,各学校においても研修の機会を設け,充実を図りたい。
児童の泳力はここ数年間の変化は少ない。25m以上泳げる児童の割合は全体の48.7%と若干の増加が見られる(図1)。着衣水泳の指導については近年大きく増加の傾向にあり(図2),全体の64.7%の小学校で実施されるなど各学校における生命安全を重視した水泳指導の工夫がうかがわれる。
学校裁量の時間における体育的活動への取組みは,49.3%の学校で行われている(図3)。しかし,その実施回数が月1回以上の学校は11.3%と低い割合であった。
業前・業間における体育活動の実施校は,69.8%であり,近年増加傾向にある(図4)。
トレーニングコースは24.2%の学校に存在するが.近年減少傾向にある(図5)。
スポーツテストの結果は93.8%の学校で活用されている。
自校体操については15.5%の学校に存在し昨年度よりやや増加している。
体力向上への取組みは計画的に,教科体育及び学校教育活動全体を通して実施する必要がある。そのためには,運動の生活化を目指し,運動をする機会の確保,児童が楽しみながら運動をする場の設定が重要な課題である。各学校の今後の取組みに期待したい。
図1 児童生徒の泳力 |
図2 着衣水泳実施校の割合の変化(平成7〜9年度) |
図3 学校裁量の時間における体育的活動実施割合の変化 (平成7〜9年度) |
図4 小学校における業前・業間体育実施校の割合の変化 (平成7〜9年度) |
保健体育科教員全員を対象に応急処置研修講座を実施しているが,中学校全教員における心肺蘇生法のできる割合は,男子17.8%,女子12.4%であった。教員の泳力では,25m以上泳げる者は男子で92.2%,女子は72.3%であった。
生徒の泳力では,25m以上泳げる者は1年生で60.2%,2年生で63.2%,3年生では66.1%であり,ほぼ例年通りであった(図1)。
指導体制では本年度新たに男女共習授業の実施状況と選択制授業の実施状況について調査を行った。調査結果はどちらも94%以上の実施率であり,生涯体育・スポーツを目指した体育の授業が展開されていることがうかがえる。また,選択制授業による成果について指導者の意識は,スポーツ好きの生徒を育てることに効果があり,生徒の体力の向上にはあまり成果が期待でないと考えている(図7)。
着衣水泳の実施状況は38.2%であり,昨年度よりやや減少した(図2)。
運動部活動の指導者数では,昨年度と比較してあまり変化はなかったが,外部指導者については総数では少ないものの昨年度と比較して増加がみられた。運動部活動への参加率(部員数)は,男子85.3%,女子65.1%,全体で75.4%であった。昨年度に比べ約3%の減少であった。また,部活動顧問会議は97.9%の学校で開催されており,88.4%は学期に1回以上である。運動部活動の合宿は17.6%の学校で行われているが,近年減少の傾向にある。1週間における休日の設定は月曜日が最も多く,65.2%であった。また,決めていない学校は26.2%であった。顧問会議を開催したり,休日を設定したりするなどの共通理解が図られ,運動部活動の運営が学校生活の中で無理なく実施されている状況がうかがわれる。
スポーツテストの結果を活用している学校は89.3%で昨年度とほぼ同様であった(図6)。自校体操を実施している学校は2校と本調査開始以来最低となった。トレーニングコースの所有校は14.6%と近年減少傾向にある(図5)。生徒の体力低下の現状を踏まえ,各学校の実態に合った創意・工夫ある体力つくりへの取組みに期待したい。
図5 トレーニングコースの所有校の割合の変化 (平成7〜9年度) |
図6 スポーツテスト結果の活用校の割合の変化 (平成7〜9年度) |
高等学校の保健体育科教員は既に応急処置研修講座を全員受講しているが,高等学校全教員における心肺蘇生法のできる割合は,男子15.3%,女子10.8%であった。
生徒の泳力で,25m以上泳げる者の割合は1年生62.5%,2年生65.6%,3年生68.6%であり,ほぼ例年通りであった(図1)。
男女共習授業の実施状況は男女共学校全体の63.6%であった。選択制授業の実施状況は87.3%であった。また,選択制授業による成果について指導者の意識は,中学校と同様にスポーツ好きの生徒を育てることに効果があり,生徒の体力の向上にはあまり成果が期待でないと考えている(図8)。
運動部活動への加入率は男子42.0%,女子27.6%であり,近年減少傾向が続いている。
スポーツテストの結果については,76.4%の学校で活用されている。小中学校に比べ,活用率は低いが昨年度に比べ増加した(図6)。トレーニングコースの所有校は9.1%と昨年度よりやや減少した。
調査結果から児童生徒が運動をする機会は,年々減少の傾向にあることがうかがえる。児童生徒が主体的に運動・スポーツを実践し,体力の向上や健康の保持増進が図れるような授業の展開及び学校教育活動の工夫・改善を各学校に期待する。
図7 選択制授業による成果への期待(中学校指導者の意識)
図8 選択制授業による成果への期待(高等学校指導者の意識)
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