(ア) |
学校教育において,創造性を育てる必要性について(表1)
学校教育における創造性を育成することは,生徒一人一人にとって,新しい価値あるものを創り出すという自己実現の視点から考える必要がある。また,この視点に立つことによって社会的・文化的に新しい価値あるものを創り出す創造性についても,前者の延長線上に位置付けることができる。これは,全体的に見ても上記の創造性についての考え方が多いことがうかがえる。さらに,今後予想される社会がますます価値の多様化に向かうなかで,生徒一人一人が,自分の生き方を創造していく必要があり,人間尊重の観点からも創造性を育成することが大切であろう。 |
表1 創造性を育てる必要性
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア自己実現のため |
45.1 |
53.3 |
45.0 |
26.3 |
イ社会の変化に対応 |
26.4 |
17.8 |
30.0 |
31.6 |
ウ社会的な問題解決 |
16.0 |
17.8 |
12.5 |
26.3 |
エ生活の向上のため |
9.0 |
11.1 |
10.0 |
0.0 |
オ必要を感じない |
0.7 |
0.0 |
1.3 |
0.0 |
カその他 |
2.8 |
0.0 |
1.3 |
15.8 |
|
(イ) |
特に育てたい創造的態度について(表2)
これからの学習は,生徒自らが課題をもち,主体的に学習に取り組む姿勢が大切であり,特に,農業においてはその意識が強い。商業に関しても柔軟な考えのもと,いろいろな角度から課題解決を図ることの必要性を挙げている。専門教育では,生徒の自発性や探究心を引き出し,柔軟な考えと,根気よく学習に取り組む姿勢を養うことが創造的態度を育てる上で重要であるとの認識を示している。 |
表2 育てたい創造的態度(二つ回答可)
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア自発性 |
50.7 |
60.0 |
46.3 |
47.4 |
イ好奇心 |
31.3 |
22.2 |
36.3 |
31.6 |
ウ柔軟性 |
29.9 |
22.2 |
31.3 |
42.1 |
エ持続性 |
22.9 |
26.7 |
21.3 |
21.1 |
オ独自性 |
22.2 |
24.4 |
20.0 |
26.3 |
カ集中力 |
21.5 |
22.2 |
21.3 |
21.1 |
キ衝動性 |
13.2 |
17.8 |
7.5 |
10.5 |
クその他 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
|
(ウ) |
創造的能力を育てるための手だてについて(表3)
生徒の創造的能力を育てるための手だてとして,商業では,学習活動の結果のみならず,その過程も大切にすることにより,学習意欲の喚起を図っている。工業では,学習の興味・関心をどのように高めるかの工夫が必要であると考えている。農業では,生徒一人一人を学習場面で生かせるような指導を心掛けることにより,生徒自らが,新たな発想で課題の解決を図り創造的能力が培われるものと考えている。 |
表3 創造的能力を育てる手だて(二つ回答可)
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア学習過程も評価 |
45.8 |
48.9 |
40.0 |
63.2 |
イ興味関心を高める |
41.0 |
33.3 |
46.3 |
36.8 |
ウ一人一人を生かす |
38.2 |
51.1 |
30.0 |
42.1 |
エ発想を引き出す |
35.4 |
37.8 |
33.8 |
36.8 |
オ創意工夫を引出す |
21.5 |
20.2 |
22.5 |
21.1 |
カその他 |
0.7 |
2.2 |
0.0 |
0.0 |
|
(エ) |
思考力の育成について(表4)
生徒がすでに得た知識や認識をもとに,課題を解決するための新たな発想や思考の過程を確認し,それをフィードバックすることにより,その学習過程がより鮮明になり,創造的な思考の基礎が培われる。さらに,生徒の習熟度に合った問いを与えることによって,筋道を立てながら多面的に学習が展開でき,的確に表現することにより,思考力が高まることと思われる。 |
表4 思考力を育てる手だて
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア発想を引出す指導 |
47.9 |
53.3 |
45.0 |
47.4 |
イ習熟度に合う課題 |
25.0 |
20.0 |
31.3 |
10.5 |
ウ学習場面で生かす |
23.6 |
24.4 |
21.3 |
31.6 |
エその他 |
3.5 |
2.2 |
2.5 |
10.5 |
|
(オ) |
表現力の育成について(表5)
生徒の表現力を育成するには,教師自身が生徒一人一人の表現に共感していくことが必要である。どのような表現であっても生徒の思いを見いだし,その思いと具体的な表現のギャップをうまく埋めるような支援ができるように教師自身も表現に対する豊かな目をもつことが大切であろう。その結果,生徒は自らの思いや考をふくらませることができ,自分なりの考え方が育成されることになると考えられる。 |
表5 表現力を育てる手だて
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア個性を見いだす |
48.6 |
53.3 |
48.8 |
36.8 |
イ教師の豊かな目 |
31.9 |
28.9 |
31.3 |
42.1 |
ウ生徒の発表に共感 |
16.7 |
15.6 |
18.8 |
10.5 |
エその他 |
2.8 |
2.2 |
1.3 |
10.5 |
|
(カ) |
問題解決型学習により,自ら学ぶ意欲を高めるための手だてについて(表6)
生徒の学ぶ意欲を高めるには,教師はよき支援者であるという認識に立ち,特に農業・商業においては,学習の導入段階における動機付けや学習過程を重視するとともに,個に応じた評価をすることが大切であると考えている。また,生徒自身が満足感,充実感を味わえるように教師のアイデアを生かした教材や豊富な学習資料を用意し,学習の目的や価値が分かるようにすることも大切である。学ぶ意欲に差のある生徒は,工夫された教材や学習資料により,学ぶ意欲が徐々に高まり,課題意識も深まっていくものと思われる。 |
表6 学ぶ意欲を高める手だて
選 択 肢 |
全体 |
農 |
工 |
商 |
ア学習過程を尊重 |
49.7 |
57.8 |
38.8 |
63.2 |
イ豊富な学習資料 |
19.4 |
15.6 |
22.5 |
15.8 |
ウ共感的な指導評価 |
16.0 |
8.9 |
20.0 |
15.8 |
エ学習形態の工夫 |
15.3 |
17.8 |
16.3 |
5.3 |
オその他 |
1.4 |
0.0 |
2.5 |
0.0 |
|