(ア) |
授業について(表1)
児童生徒の80%以上が「とても楽しい」「楽しい」と答えている。その理由として「つくったり絵をかいたりするのが好き」「自分の考えで自由に表現できる」と答えている。ただ,中学1年の20%以上の生徒が,「特に感じない」と答えている。その理由として「楽しいときと楽しくないときがある」「面倒だから」と答えている。小学校高学年との関連を図り,中学1年という発達段階を踏まえて実態や興味・関心に対応した授業展開の工夫が必要である。 |
表1 授業への取り組み
図画工作・美術科の時間は楽しいか。 |
小5 |
小6 |
中1 |
中2 |
とても楽しい |
43.4 |
44.0 |
20.3 |
32.1 |
楽しい |
44.0 |
44.4 |
50.4 |
51.4 |
特に感じない |
9.5 |
9.3 |
22.4 |
13.5 |
楽しくない |
3.1 |
2.3 |
6.9 |
3.0 |
|
(イ) |
自分のよさを発揮する題材について(表2)
自分らしさを発揮するには,「つくりたいものをつくる」題材がよいと答える児童生徒が多い。子供の側に立ち,児童生徒の生活願望や想像を基盤とした題材を設定する必要がある。そのような豊かなひろがりのある題材や題材名を工夫することが自ら主題を決定する表現活動につながる。そして,多様な表現活動ができる題材こそ,主題に合わせて材料や用具,表現技法の選択を可能にすると考える。
また,立体に関する題材は,主に粘土を使うために,汚れることを嫌う傾向がある。 |
表2 自分らしさを発揮する題材
自分らしさを発揮するには,どんな題材がよいと思うか。 |
小5 |
小6 |
中1 |
中2 |
絵をかくもの |
25.1 |
23.0 |
24.0 |
28.4 |
デザインに関するもの |
16.2 |
15.6 |
12.6 |
14.2 |
つくりたいものをつくるもの |
44.6 |
47.5 |
45.1 |
44.6 |
立体に関するもの |
9.8 |
9.7 |
6.1 |
7.8 |
作品をみて話し合うもの |
4.3 |
3.5 |
9.3 |
2.3 |
その他 |
0.0 |
0.7 |
2.9 |
2.7 |
|
(ウ) |
迷ったときについて(表3)
どんなものをつくっていいのか迷ったとき, 「友達と話し合って進める」「参考作品を見て進める」と答えている児童生徒が多い。迷いを解決するために,児童生徒相互の考えを出し合いながら,認め合い,励まし合う活動ができるように,話合い活動を積極的に設けることが大切である。そうすることによって児童生徒は,自信をもち,参考作品を見たり自分で考えたりしながら,自己決定ができるようになると考える。 |
表3 どんなものをつくっていいいのか迷ったとき
どんなものをつくっていいのか迷ったとき,どうしますか。 |
小5 |
小6 |
中1 |
中2 |
自分で考えて進める |
16.2 |
16.7 |
14.2 |
13.2 |
友達と話し合って進める |
53.8 |
55.3 |
39.0 |
46.6 |
先生に相談して進める |
7.6 |
5.1 |
16.3 |
13.9 |
参考作品を見て進める |
21.1 |
21.8 |
28.9 |
25.3 |
その他 |
1.3 |
1.1 |
1.6 |
1.0 |
|
(エ) |
失敗したときについて(表4)
失敗したと思ったら,その後「自分で工夫してやり直す」と答えている児童生徒が約40%いる反面,「先生に相談する,友達に相談する」という児童生徒が,約50%いる。創造活動は,最初の計画に従ってその通りにつくり上げようとするものばかりではない。制作の過程における試行錯誤こそ創造性に結び付くものである。自分で工夫してやり直せるように,児童生徒の思いや願いをとらえ,多様な基礎的技術を経験させることと同時に,それを意図に応じて表現に生かせる技能を習得させることが大切である。
また,表3,4の項目に対して,中学1年は「先生に相談する」という割合が高いのが特徴である。 |
表4 失敗したと思ったとき
失敗したなと思ったら,その後どうしますか。 |
小5 |
小6 |
中1 |
中2 |
あきらめる |
6.7 |
4.0 |
8.5 |
10.8 |
先生に相談する |
27.2 |
23.7 |
43.5 |
31.8 |
友達に相談する |
22.3 |
20.6 |
11.0 |
19.9 |
自分で工夫してやり直す |
43.1 |
46.3 |
36.2 |
36.5 |
その他 |
0.7 |
5.4 |
0.8 |
1.0 |
|
(オ) |
次の作品づくりへの意欲について(表5)
作品ができたら,次の作品をつくるのが「とても楽しみ」と答えている小学生が約60%,中学生が約50%である。その理由として,「いろいろなものをつくるから」「家ではできないものをつくるから」と答えている。
一方,「特に何も思わない」という児童が約35%,生徒が約50%である。そのほとんどが「形や色が思うようにいかないから」「失敗するから」という理由を挙げている。その対応として,児童生徒がもっている思いや願いをかなえるために,題材や支援の工夫をすることが大切である。 |
表5 次の作品づくりへの意欲
作品ができたら,次の作品をつくるのが楽しみですか。 |
小5 |
小6 |
中1 |
中2 |
とても楽しみにしている |
63.6 |
60.3 |
44.7 |
49.3 |
特に何も思わない |
33.0 |
36.6 |
48.8 |
45.3 |
やりたくない |
3.4 |
3.1 |
6.5 |
5.4 |
|