2.教科別研究主題に関する基本的な考え方

 第15期中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」では,「子供たちの発達段階に即し,ティーム・ティーチング,グループ学習,個別学習など指導方法の一層の改善を図りつつ,個に応じた指導の充実を図る」必要があり,また,「子供たちが試行錯誤を繰り返し,何度も失敗を重ねた末に,初めて味わうことのできる『発見する喜び』や『創る喜び』などを体験させることが大切なのである。」と述べている。
 これまでの図画工作・美術科の学習では,与えられた題材を,与えられた知識と技能で表現するために,画一的な表現が多く見られた。これからは,児童生徒に内在するよさや可能性が自然な形で引き出され,制作の中でそれをどのように高め,伸ばし,かつ豊かに自己表現できるような創造活動をいかに展開するかが大きな課題である。
 創造性は,子供自身にとって新しい価値あるものを創り出すことである。図画工作・美術科では,児童生徒一人一人が,自分の思い,自分らしい見方や感じ方,発想や構想,自分らしい表現の方法など,様々なよさを発揮して,自分らしい表現を楽しむことができるようになることが大切である。そこで,題材の提示や展開の仕方を工夫し,児童生徒一人一人のよさや可能性が生きる学習の在り方を探ることが必要であると考える。
そのためには,次の(1)〜(3)のような手だてが考えられる。
(1)  児童生徒が,いろいろな材料の形や色の特徴から新たなことを思い付いて試したり,いろいろな表現方法を駆使して,かき加えたり付け加えたりするような活動ができる題材の提示や展開の仕方を工夫する。
(2)  教師及び児童生徒が相互のよさに共感し,学び合いができる学習活動の場を工夫しながら表現のひろがりがみられる活動を展開する。
(3)  児童生徒が興味・関心をもって主体的に活動したり,またつくってみたいという学習意欲につなげるために,つくりながら試したり,つくったもので遊んだりする時間を確保する。

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