5.研究の成果

 創造性に関する実態調査の結果と研究協力員の所属校での授業研究の成果は,以下の通りである。
(1)  創造性に関する実態調査の結果
 生活科における創造性に関する教員の実態調査の結果,次のことが明らかになった。
 学校教育における創造性の育成は,子供が自らの可能性の実現に向けて,自分自身にとって新しい価値あるものを創り出すという子供の自己実現のために必要である。
 創造的態度の育成では,特に,自発性,独自性,好奇心及び柔軟性を育成する必要がある。
 創造的な能力の育成では,発散的思考力,想像的思考力(想像力)及び表現技能を重視する傾向がみられる。子供が主体的に問題解決的学習を展開していくためには,直観的思考力と論理的思考力,発散的思考力と収束的思考力が大切であると考える。
 創造的能力の育成上の問題点とは,子供の自発性に基づく多様な活動における一人一人への支援が多様で難しいことが分かる。
 子供の創造性の育成を意識した授業が実践されているとともに,具体的に子供の創造性について,一人一人の教師が多様な場面で実感しながら,授業を展開していると思われる。
 個と集団における創造性の育成の手だてとして,体験や活動を重視する学習活動の展開,T・Tの導入,認め励まし合うことのできる学習環境の整備が大切であると思われる。
(2)  授業研究の成果
 T・Tの導入や家庭・地域の協力などによって,子供の発想や夢を多方面から生かしたり,深めたりすることができた。
 補助簿やチェックリスト及びカードなどの活用によって,子供一人一人の思いや夢を大切にした支援ができた。
 子供たちのつぶやきや意見,工夫したこと及び気付きなどを積極的に認めたり,全体に知らせたりして称賛することにより,主体的で多様な活動が展開された。
 他教科・他領域との関連を図った単元構成により,自由試行を繰り返す場や時間が確保でき,自分の発想や気付きを生かしながら,表現活動に没頭することができた。
 生活科の学習を展開する場所に多様な素材を準備したり,生活科ルームに作品などを展示したりすることが,多様な活動への期待と夢をふくらませることにつながった。

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