3.研究のまとめ

 2年間にわたり,県内の中・高等学校の生徒及び教員を対象にした意識・実態調査をもとに,中・高等学校において生きた英語を実感できる学習活動の在り方を研究してきた。
 中学校では,平成8年度は生きた英語を「生徒が興味・関心のある内容について発話し,それを受け止めて理解するための英語」であると捉え,相手に伝えるべき内容を生徒たちが主体的に考えるように,地球環境問題についての調べ学習を行った。そして研究授業では,得られた問題意識を,グループごとに,調べたことを基にして英語で発表することに取り組んだ。その結果生徒は,英語が生きた言葉であり情報をやりとりする手段であるということを実感したと述べている。平成9年度は,生きた英語は「生きた言葉として英語を使ってみて得られるものである」と捉え,準備されたスピーチではなく,即興性のある現実の会話に近い言語活動ができるような場の設定をした。その一方で会話を発展させるための鍵となる表現を段階的にとり入れた。研究授業では,ステーキレストランで注文したものを飲みながら,翌日から実際に始まる4連休の過ごし方というタイムリーな話題について語り合った。その結果,生徒は主体的に英語を使い意思のやりとりの道具として機能している生きた英語を実感するに至った。
 高等学校では,平成8年度は生徒の興味・関心がコミュニケーションの原動力になるように,グループごとに週末の予定を相談し,その予定に基づいて友人を誘うという場面を設定し,生き生きした英語でのコミュニケーション活動をめざした。生徒は普段より多い友人と比較的自由な形で英語で話すことができたことに,充実感を味わっていた。平成9年度は,英語をより生きた言葉として実感できるように,「学校の制服」という身近な題材を取り上げ,生徒が制服についてお互いの考えを話し合うことのできる場面を設定することによって,「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てること」をめざした。授業では導入で,他校の制服の写真や生徒の制服に対するアンケートによるグラフを示して,効果的に生徒の興味を引くよう工夫した。また,ワークシートの与え方を工夫したため,生徒は,テンポよく話し合うことができ,楽しい刺激のある活動であったと感想を述べている。
 これらの授業研究によって,次のようなことが明らかになった。まず生徒の興味・関心を高める授業をするという視点で考えると,次のようになる。
 生徒にとって身近な題材を,身近な情報を加えて,取り扱うこと。
 グループで調べ,十分な準備をし,発話を促進するような情報を持たせること。
 活動の目標を明確にし,活動しやすくなるように適切なアドバイスをする。
 目標を達成するために必要な言語材料を確認させる。
 また,生き生きと積極的にコミュニケーション活動を行うことのできる授業を,という視点からは次のとおりである。
 生徒が活動しやすいグループ形態を工夫し,より多くの人と話せるようにすること。
 その活動形態の中で,持っている情報を英語で話したくなるような場面を設定すること。
 生徒のコミュニケーション活動にはずみがつくような時機を得たワークシートの与え方と適切な量及び内容のワークシートの与え方を工夫すること。
 この研究を通して,生徒は言葉として使える英語を実感できる場を求めていることを,改めて確認することができた。そのような生徒の求めに応えるためには,今回の授業研究にとどまらず一層の工夫と情報交換を行っていきたい。

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