2.研究の内容

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研究主題についての基本的な考え方

 言語感覚とは
 言語感覚については,小学校指導書国語編に示されている「一つ一つの言語活動の場面で,何を,どのように理解し,表現することが適切であるかを判断したり,言語表現を正確に評価し味わったりするために必要な言語に対する感覚」ととらえた。
 この「言語感覚」の文言が小学校国語の目標こ示されたのは,昭和43年に告示された学習指導要領においてである。昭和52年の学習指導要領に引き継がれ,昭和53年5月の小学校指導書国語編においては,言語感覚は,適否,正誤,美醜を中心とした言語の感覚であると示されている。また,言語感覚を養うことが国語の能力の根底にあるべき態度として示されている。さらに,言語感覚を育てる学習活動の例として,優れた作品を視写させたり暗唱させたりすることにも触れている。
 これに対し,現行の学習指導要領では,言語感覚を態度的なものとして指導するだけでなく,表現したり理解したりする際にはたらく言語感覚を発揮させながら,児童生徒の発想や考え方を創造する思考力や想像力,判断力,直観力等と関連させることの重要性が強調されている。このことは,中学校及び高等学校の学習指導要領でも同様である。
 一人一人の発想を生かすとは
 言語感覚を磨くためには,自分自身の驚きや疑問や感じ取ったことと,友達のものとを比較することによってこ同意したり,反発したり,修正したりする言語活動が重要であるととらえた。すなわち,児童生徒一人一人が言語に対してもつ適否,正誤,美醜を中心とする感覚で,表現や意味や言葉の使い方を比べるために意見を述べ合うコミュニケーション活動が重要な意味をもつのではないかと考えた。このような対人的なかかわりを重視した活動を展開するためには,児童生徒一人一人が互いの考えを自由に交換できる場が確保されていること,自分の考えを相手に正確に伝える力を有すること,友達の考えを的確にとらえる力を有することなどが重要ではないかと考える。児童生徒が場に応じて言葉を適切に用いるために,細かく言葉を吟味していくことを通して,言語感覚は磨かれていくであろう。したがって,言葉の吟味を必要とする場面の中で,児童生徒一人一人の発想が十分生かされることが極めて重要である。

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