茨城県教育研修センター教職教育課長 小神野 藤雄 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ここに一年間の研究として特別活動の指導の在り方のまとめをすることができました。小中,高等学校はぼ全部の学校にご協力をいただきましてまとめることができました。ありがとうございました。おかげ様で当初の目標通りに現状を把握することができ,現実を踏まえた中での今後の理想的な指導の在り方について一つの方向性がみえてきました。 折しも中央教育審議会の答申を受けて教育課程審議会の審議が進んでいるこの時期,すでに実施の方向で決定はしていますが,最大の変革は学校完全週5日制であります。その中で特別活動がどのように変わっていくかのか,今ここで改めて考えてみる必要が大いにあるのではないでしょうか。 また,それを別にしても今まで実施した特別活動の研修講座でのレポートや,話し合いの結果等から数々の問題点,課題等が指摘されていましたので,いずれ何らかの形で調査し,検討をしなければならない時期にきていたと思います。そういう中で調査が実施されより現実味のあるものになりました。 こまかい調査結果とその分析については本文を参照していただきたいと思いますが,いくつかのポイントについて総括してみたいと思います。 全体指導計画については計画の立て方や,計画そのものについてはあまり問題はみられませんが,計画のための計画であり,形式的になりがちであります。計画そのものについての評価を常に考えながら計画実施の途中でも見直しを図るということが大切だと思います。 学級(ホームルーム)活動については,人間としての生き方を学ぶ大切な場ではありますが,まだまだ学級の独自性を出すことに不十分な傾向があります。学年あるいは学校,教育委員会等で示された画一的な内容のまま学級に適用させている傾向が強く,学級単位で児童生徒に合わせて独自のものを作ること,すなわち本質的な意味で指導計画の学級化がなされていないことに問題があります。 生徒会(児童会)活動においては,異年齢集団での活動を通して社会訓練をするの貴重な場であるにもかかわらず,児童生徒が活動そのものに参加したがらず,また,役員にもなりたがらないなどリーダーの不足にも悩まされている現状がよくあらわれています。 クラブ活動は部活動との関連,地域社会に指導者を求めるなど教育課程から離れる傾向にあり,この分野が今後最も大きく変わる可能性があります。教育課程審議会の中間まとめによりクラブ活動についての結論もみえてきましたので,その方向に沿ってクラブ活動の在り方を検討すべきであろうと思います。 学校行事は5日制との関連もあり精選を余儀なくされますが,単なる精選ではなく時代に合ったものを考えながら精選していくべきだと思います。開かれた学校づくりの構想に合わせて地域社会等との連携について,今後は校内研修等で十分に検討を重ねていかなければならないと思います。また,各学校が主体性を持って創意工夫をすることがより必要になってくると思います。 調査を全体的にみると内容,分野によっては校種による明らかな違いがあるものの,小,中,高等学校と児童生徒の年代は違っていても,時代を反映して,心情,価値観等似たようなもので,これを指導する立場も校種による違いはさほど大きいものではないと言えそうである。 この調査結果は,各学校における今後の指導に役立てていただくことが第一の目的です。 今まで何の疑問も持たずにやってきたことでも今回のこの結果から何らかの問題提起になったことも多かったと思います。これをもとにしてこまかいことでも改めて考え直していただき,よりよい指導方法をつかんでいただきたいと思います。 さらにこの調査をもとにしてより深い研究へと進めていただくことがあれば幸いです。 最後になりましたが,日本特別教育学会会長で筑波大学教授の山口満先生には,研究を始めた時点で研究の指針となるご講義をいただき,また,その後研究を進める中で適宜アドバイスをいただきながら進めてまいりました。ここであらためて御礼を申し上げたいと思います。 以下にこの研究に携わった研修センターの研究員を紹介して終わりといたします。
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