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中学校の特別活動 |
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ア | 全体の指導計画について | |||||||||||||||||||
まず,設問1における,指導計画作成に当たっての中心的役割を担う立場であるが,全体計画の作成の中心は調査回答校(229校)の,73.8%が特別活動主任であり,次いで,19.9%が教務主任である。これを学校規模別に見ていくと,大規模校では特別活動主任の占める割合が82%であるが,中・小規模校になるとやや低下し70%になる。一方,教務主任が占める割合は,大規模校で6.6%であるが,中・小規模校では20%から25%と高くなる。中・小規模校では,特別活動の組織人数が少なくなることもあって,特別活動主任が全体計画に続き学級活動や生徒会活動の指導計画を作成する傾向にあり,負担過重になる。そこで,教務主任が全体の指導計画の作成を担当していると考えられる。 学級活動,生徒会活動,クラブ活動の指導計画については,特別活動担当がそれぞれ50%,55.5%,59.4%と半分以上を占め,中心的役割を担っている。特別活動主任が担当するのは38.6%,24.5%,9.6%である。また,学校行事は,教務主任が83.8%と高い割合を示している。活動内容に合わせ役割分担して指導計画を作成しているようである。 なお,学校行事について,大規模校の11.5%の学校が特別活動担当が作成に関わっている。学校行事は教務主任となりがちだが,特別活動の一つの内容として特別活動担当が計画に関わることは,望ましい傾向にあるといえるのではなかろうか。 設問2では,特別活動の組織についてみた。組織の人数は,「5人以上」が65.5%になる。「4人以上」は約79%,「3人以上」にすると96%になる。これは,各学年から最低1人ずつは確保されていることになる。しかし,大規模校でも1〜2人という学校もごく少数見られる。 特別活動主任の年齢は30〜40未満が圧倒的で76.4%を占めている。 会議の開催については,約10%が定期的に開催している。しかし,現況は,「必要に応じて開催する」が最も多く87.8%になる。意図的・計画的な実施が継続されるところに,特別活動の改善・充実が期待できる。定期的開催を意図していく必要がある。 設問3は,特別活動の指導計画作成に当たって特に重視している項目を複数選択する内容である。(図10)「自主的実践的態度の育成」が86.5%,ついで「学校の実態に即する」が57.6%,「創意工夫を生かす」が39.7%の順で,特に,「自主的実践的態度の育成」が高い選択率であることは注目される。 設問4では,学校の教育目標に迫るために,全体の指導計画の作成において指導の重点化を図っているかを尋ねた。「重点化を図っている」が62.4%と半数を超えてはいるものの,「図っていない」や「はっきりしない」を合せると37.2%にもなる。約40%が学校教育目標の具現化に向けて特別活動を通してどのように迫るべきなのか押さえていないことになる。特別活動の教育課程における位置づけを踏まえ,改めて各校の教育目標との関係を明確にしていかなければならない。 設問5では,設問4で重点化を図っていると答えた139校について,重点化の具体的内容を尋ねた。徳育重視が90.6%を占める。現代の「いじめ」,「不登校」等の問題で,「思いやり」等情操面の育成を重視して多くの学校で取り組んでいることが分かる。 次に,指導計画の改善の進め方に関する設問6を見てみる。(図11)
指導計画改善の検討時期は,「年度末に検討する」が34〜54%と一番多く「年度当初に検討する」が30〜45%で続いている。「年度末」と「年度初め」に集中するのは,学年の節目と合わせて検討するということであろうが,生徒の側に立った指導計画,内容の改善と充実が求められている今,十分な検討を行う時間的余裕が必要ではないか。今回の調査で,「計画的に学期ごとの検討を進めている」が6〜8%であったが,できれば1年に1回限りの検討ではなく,実状を踏まえ,計画の軌道修正が可能な方向を指向すべきものと思われる。また,「検討の時期が決まっていない」「各自に任せている」が,約10%の回答があった。指導計画は学校教育目標達成上,非常に大切な役割を担っているので,指導計画の検討,策定時期を年間予定の中で確保していくべきであると考える。 特別活動の果たす役割に関する設問7については,「豊かな人間関係を育む」が62.9%と最も多く,ついで「学校教育活動の中心的役割」が20.1%,「道徳的実践の場」が8.7%と回答している。 |
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イ | 学級活動について | |||||||||||||||||||
学級活動は,学級を単位として行われる生徒の自主的,実践的な活動の場であり,特別活動の中でも「人間としての生き方」を学習する活動内容が多いことからその役割は大きい。 まず,設問8は,学級活動の年間指導計画が学級化されたものになっているかの内容である。学級の実態に即した学級化された指導計画になっているとの答えは,35.4%である。「学校の年間指導計画をそのまま使用」と「前年度のまま使用」を合わせると41.1%になる。さらに,「学年や担任によってまちまち」が21%もある。 特別活動の目標の大きな部分が学級活動を通してその達成が図られるものであるから,指導計画の学級化があいまいであっては,特別活動の推進が困難になる。各学校で引き続き学級活動指導計画の学級化をすすめていく努力が必要である。 設問9は,学級活動の「活動内容の(1)学級や学校の生活の充実と向上に関すること」で1年間に取り上げられた議題の中で,頻度の多いものを3つ選んだものである。多い順では,「係活動」52.0%,「人間関係」33.6%,「振り返り活動」23.1%となる。日常生活での活動に目を向け,学級生活の改善を目指していることは評価できる。 設問10では,「活動内容(1)」を活発化するために,生徒による計画委員会はどのように活動しているかを尋ねた。 「年間を通して曜日,時間を決めて実施」は11.8%にとどまっている。「不定期ではあるが放課後などに実施」50.2%や「時間が確保できないので必要なときに実施」15.3%,「学年や担任によってまちまちである」21.0%が多いのが実状である。活動内容(1)の充実のために,計画委員会を計画的に実施できるようにしたいものである。 次に,設問11で学級活動の「活動内容の(2)」が,意図的,計画的に行われているか尋ねた。「ほぼ行われている」は15.3%,「ある程度行われている」は63.8%で,合わせると79.1%になる。しかし,「何ともいえない」「あまり行われていない」の合計も20.9%になり,この数字は無視できない割合である。 これは,自己の個性についての理解を深め,望ましい人間関係の確立を図り,健全な生き方の探求,人間としての生き方の自覚を深めるなどの内容の重要性を考えるとき,改善の努力が必要であろう。現在審議中の教育課程審議会「中間まとめ」でも,「集団の一員としての自覚を深め,人間としての在り方,生き方の指導の一層の充実を図る観点から,生徒の主体的な活動を生かすよう,体験的,実践的な活動を通して指導できるようにする」と改善の方向についてふれている。 設問12で,その「活動内容の(2)」の指導で,最も力点を置いている項目を尋ねた。 全体的に見ると「望ましい人間関係の確立」が31.4%で最も多く,次いで「健全な生き方の探求」の17.0%,「自主的な学習の意欲,態度の形成や選択教科等の適切な選択」が12.2%である。 学校規模別に見るとその取り組み方に違いがみられる。アの「青年期の理解や自己の個性の理解」に力点を置いているのは大規模校11%,中規模校14%,小規模校3%である。 また,エの「望ましい人間関係の確立」でも大規模校24%,中規模校30%,小規模校40%と大,中,小規模校の力点の違いが明らかになった。小人数であるため日頃から教科,教科外のすべての教育活動を通して一人一人がよくみえる小規模校。大人数であるため一人一人の個性の把握に苦慮している大規模校。また,小規模校では,幼稚園,小学校,中学校と人間関係が固定化しやすいため重点として取り組まねばならない。大,中,小の規模別の悩みの違いによる力点の置き方の違いがでていると思われる。 さらに,設問13で,学級活動の「活動内容(3)」(将来の生き方と進路の適切な選択に関すること)が,どの程度達成されたか尋ねてみた。(図12)
また,(5)の「適切な進路の選択」は85.2%が「ほぼ達成できている」「ある程度達成できている」を選んでいる。中学校の進路指導が高等学校進学に絞られているので,ある程度満足すべき成果と捉えているようだが,「適切な進路選択」であったかどうかについては,将来社会人になった時期を選んで,中学校の時の進路の学習が適切であったかどうかの追跡調査をすることも必要であろう。 設問15の学級活動の時間確保についての工夫では,「学校裁量の時間を利用」「朝の会や終りの会などを活用」が55.9%,54.1%である。次いで,「学年会の議題に取り上げ」,「校内研修を積んでいる」が,39.7%,16.6%の順であり,各学校で時間確保に努力している様子がうかがえる。 設問16で学級活動と道徳や各教科の指導は,相互に関連づけて進められているかを尋ねた。「何とも言えない」と「あまり関連づけていない」を合わせると44.1%である。小学校に比べて低調である。それは,小学校と違って教科担任制であるため難しい面も多いと思われる。そこで,担任を越え,学年や学校全体で教科や道徳の授業とのつながりの計画作成を構築していかねばならないと考える。担任と教科担当との連携を強めることで,改善を図っていきたい。 |
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ウ | 生徒会活動について | |||||||||||||||||||
全生徒の自発的,自治的な活動によって,自分たちの学校生活を向上させる役割を担っている生徒会活動の現状について,設問17から23で探ってみた。 設問17の「代表委員会などの生徒会役員の選出」については「自由な立候補」が60.3%である。自発的,自治的な活動になるには,全校生徒の意思を集約した組織の編成も生徒の自主的活動を大切に進められるべきであろう。「自由な立候補」はその第一歩と考えることができる。 一方,少数ではあるが「各学級で割り当てで役員を決める。」や「役員は決めないで,活動に応じて交替で行う」学校もみられる。これが立候補者の不足等消極的理由によるとすれば再考が必要である。どのような役員の選出方法をとるにしても,生徒が学級のため,学校のためと言った支持的,積極的姿勢になるような学級,学校の風土づくりに向けた教師の取り組みが必要である。 設問18の生徒会活動での各学級の意見の取り入れについては,71.6%が「全校の学級の意見を取り入れている」としている。また,21.8%が「学級活動との関連づけが弱い」と回答している。これは,生徒会役員が学級の意見を取り上げようとしないのか,学級側に積極性ないのかは明確ではないが,回答の数字だけを見れば生徒会活動の理想からは離れていると言える。 設問19で代表委員会の議題をみてみると,議題のほとんどが学校行事への協力についてであり,学校生活の改善や各種委員会の活動については3割に満たない。生徒や学校の抱える問題を自主的,自発的に改善し,学校生活の充実を目指すこの活動は,生徒会活動の中心的なものであるが,現状は学校行事への協力だけが目立っているようだ。 設問20では,代表委員会の運営について尋ねた。ア「活動計画づくりから生徒の自主性を尊重している」46.7%,イ「活動計画は担当教師側で作成して,実際の活動場面で生徒の自主性を尊重している」49.3%の合わせて96%が望ましい方向で実施,運営されている。 今後,本当に自発的,自治的活動を生徒に展開させるためには,教師のきめ細かな援助,助言が必要である。生徒の自主的活動と教師の適切な指導とが十分にかみ合うように留意しながら,計画づくりから生徒主体の運営になるよう努力をしていけば,さらによい代表委員会の運営につながると言えよう。 設問21では各種委員会の設置方法について尋ねた。 「生徒の希望にしたがって委員会を設ける」は4%で「担当教師が一部改善」48%,「毎年同じ委員会」45.9%となっている。生徒の希望が生かされていないのが現状である。生徒の自発的,自治的活動を展開するためにも,生徒の要望を取り入れた委員会の設置に力を入れるべきであるが,したくてもできない要因があるならば,早急に検討する必要があろう。 設問22では,全校生徒が参加する生徒会活動になっているか尋ねた。「とてもよく活動している。」が67.7%と高い割合を示している。しかし,一方で「全体的に関心が低い」は13.5%,「代表委員会だけの活動が目立つ」が8.7%である。さらに,学校規模別にみていくと,「とてもよく活動している」は大規模校で72%,小規模校では57.4%となっている。また,「全体的に関心が低い」は大・中規模校で8〜9%であるが,小規模校では25%と突出している。特に,小規模校の低調さが目立つ。単純に,人数によるものなのか,活動内容の工夫不足によるものか等について,その要因を分析し,実態に応じた形で対応する必要があろう。 設問23の生徒会活動の時間確保に対する工夫については「曜日を決めて全校一斉」が,52.0%で最も多い。さらに「放課後の時間の活用」32.3%を始めとして「学級活動と関連づけて」や「教科の時間と関連づけて」などさまざまな取り組みがなされている。しかし,「時間確保に悩む」が7.9%というのも現実である。 |
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エ | クラブ活動について | |||||||||||||||||||
学級指導要領の特別活動第3の4において,「部活動に参加する生徒については当該部活動への参加によりクラブ活動を履修した場合と同様の成果があると認められるときは,部活動への参加をもってクラブ活動の一部または,全部の履修に替えることができるものとする。」と示されている。このようにクラブ活動の実施の形態や方法を極めて弾力的にとらえてよい内容になっているが,現状はどのようであるのか探ってみた。 まずクラブ活動の実施方法について設問24でみていく。 「部活動で代替」は44.5%である。これを地区別にみると,地域によって代替率に大きな差が見られる。部活動の代替の比率が半数近くも占めているが実施に当たってはクラブの目的である「共通の興味・関心を持つ」「生徒の自発的・自治的な活動」の趣旨が十分に配慮されたものとなっているか常に注意を払う必要があろう。 クラブの設置と生徒の所属については,「クラブの設置は教師側中心,所属は生徒の希望を優先」が24.9%である。望ましい方向である,「クラブをつくるところから生徒の希望通りに行う」はまだ11.8%である。(図13) クラブは共通の興味や関心を持つ生徒の集団による,自主的,実践的な活動であるから,生徒自らが計画をたて,進めていくことが必要である。計画を一つずつ実践しながら満足感を味わい,さらに,自主的活動への意欲を高めていく。それだけに,クラブの設置段階から生徒の希望を尊重できる方向へと向かうべきである。 設問25では「部活動指導の現状」について複数回答を求めた。 結果は「共通の興味関心を持つ生徒で組織」「学校の教育計画に基づき教師の適切な指導」「健康や安全に対する配慮」が62.0%,59.8%,51.5%と三項目が中心になっている。 特別活動の主眼である「生徒の自発的,自治的な活動を助長するような配慮が十分」は,37.1%にとどまっているので,もう少し力を注いでもよいのではないかと思われる。 設問28ではクラブ活動を充実させるための指導上の課題を尋ねた。「指導計画の作成と計画的な指導体制」を第1課題として,40.6%の学校が挙げている。指導計画の検討がクラブ活動についてはなされていない割合が高かったこととも関連づけてみたい。 設問30では「クラブ活動は学校でやらなくてもよい」という意見に対してどう思うか尋ねた。「かなり賛成」12.7%と「どちらかというと賛成」14.8%を合わせると,賛成が27.5%となる。「かなり反対」10.9%「どちらかというと反対」22.7%を合わせると反対が33.6%となり,反対がやや上回る。また,「何ともいえない」が37.1%で意見が三分された状況である。学校週5日制が近い将来実施される見通しの中,地域に開かれた学校づくりの構想と関連付けた議論が起こっており,クラブ活動の評価は流動的になっている。教育課程審議会の「中間まとめ」には,小学校のクラブ活動は通常の時間割から外して「地域や学校の実態に応じて一層弾力的に扱うことができるようにするため,学校において適切な授業時数を配当できるよう」な方向が盛られたことも指摘して置きたい。 |
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オ | 学校行事について | |||||||||||||||||||
学校行事は,全校または学年を単位としながら,学校生活に秩序や変化を与える集団活動を行い,その集団活動により集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うものである。設問31から39により現状を探ってみた。 設問31で学校行事の企画立案の中心的な役割は誰か5つの内容について尋ねた。 (1)儀式的行事は教務主任が96.1%,(2)学芸的行事は特別活動主任が42.8%,教科の主任17.5%,(3)健康安全・体育的行事は教科の主任が77.3%,(4)旅行・集団宿泊的行事は学年主任が87.8%,(5)勤労生産・奉仕的行事は,特別活動主任23.1%や教務主任が22.3%と分担して企画している。 設問32で学校行事の企画立案に生徒の意見や要望を取りいれているかを(1)から(5)の内容ごとに集計した結果が図14である。「取り入れている」「ある程度取り入れている」を合わせると,(2)学芸的行事97.3%,(4)旅行・集団宿泊的行事93.0%,(3)健康安全・体育適行事90.4%と高い割合を示している。 しかし,(1)の儀式的行事,(5)勤労生産・奉仕的行事になると,取り入れているが(1)では4.8%に激減し,「取り入れていない」が,(1)では72.1%,(5)では29.7%となる。厳粛さや形式の優先が,生徒の意見や要望を排除していないであろうか。入学式や卒業式の主役は生徒であり,生徒の創意や意見が十分に生かされ,生徒ができるだけ自主的で積極的に活動できるような配慮がほしいものである。 設問33は,学校行事の実施に当たって,生徒が中心になって活動できるように配慮しているかを尋ねたものである。 その結果,(2)学芸的行事,(3)健康安全・体育的行事,(4)旅行・集団宿泊的行事は約96%が生徒中心の活動になるよう配慮していることが分かる。 それに対して,計画・立案に配慮されない(1)(5)の行事については,実施の面でも生徒が中心になって活動できるような配慮が低い傾向にある。内容的に難しい部分もあろうが,生徒の側に立つ,生徒を生かした行事にするために,尚一層の工夫や努力が必要であろう。 設問34では,学校週5日制月2回実施による学校行事の減少について調査した。 その結果学年の差はみられなかった。どの学年も行事数1〜2個,時間数にして1〜10時間組み込むと回答している割合が多い。しかし,3〜4個,11〜20時間組み込む,わずかではあるが5個以上減少,21時間以上組み込む学校もある。学校行事を教科にカウントして組み込むなどの時数配慮は,学校週5日制月2回実施の影響が大きいことを示している。 設問35では学校行事精選の視点について尋ねた。(図15) 形骸化62.9%,簡素化41.0%,生徒の負担軽減38.0%の順である。 「学校行事については,学校や地域など生徒の実態に応じて,各種類毎に行事及びその内容を精選して実施するよう配慮するものとする」を踏まえて,形骸化している行事を除く一方で,伝統的な行事は大切にしながら,簡素化,負担軽減などの精選を図っていると言える。 設問36で,その学校行事精選で苦慮することについて尋ねた。「授業時間数の確保」が69.9%,「学校生活のゆとりの確保」が68.1%と高い割合を示している。中学校の進路指導での高等学校受験に向けた学力増進の授業指導には授業時間確保は大きな問題であるし,一方では学校生活の充実のための「生活のゆとり」は必要である。相反する課題に直面して今後の在り方が模索されるところだが,これらは,学校行事精選だけで解決するというより,教育課程全体を通して総合的見地からの見直しが必要と思われる。 設問37は学校行事指導上の今後の課題について尋ねた。「新しい時代に応じて生徒の活動にふさわしい企画をたてること」が72.9%と最も多い。 次いで,「生徒中心の行事に作り変えていくこと」の56.8%になっている。 これは,設問32,33で学校行事の企画立案や実施に当たり,生徒の意見を取り入れ,生徒中心の活動ができるような配慮がされていないことの反省の表れと言えよう。 3番目に多いのは,「準備時間の削減・簡素化」で37.1%である。の数字は「削減・簡素化」を常に指向しつつ,実行は難しいという実態を反映しているのかも知れない。 設問38では,特別活動の指導上,今の生徒に最も育てたい資質や能力を尋ねてみた。「自分の考えを発表したりする積極的な態度」62.4%,次いで「協力しながら役割を遂行する力」54.6%,「自分の将来を切り開こうとする意欲」の42.4%である。 設問39では,特別活動部の課題を3つ挙げていただいた。 それによると「学級活動の指導を充実」68.6%,生徒会活動の活発化」62.0%,「特別活動の指導体制の明確化」49.8%である。 学級活動と生徒会活動の活発化については,冒頭に挙げた平成8年度教育課程等の実施状況調査での「今後に取り組むべき課題」にも大きく取り上げられている問題である。 教育課程調査では学級活動の中身について,活動内容(1)が26.2%,(2)が12.9%,(3)が22.3%で,特に活動内容(1)と(3)を課題に挙げている。活動内容(1)は学級生活の充実向上であり,活動内容(3)は進路指導に関わるものであるだけに特別活動の基本に関わっている。 また,生徒会活動の活発化については昨今のいじめ問題への対応策の中でも生徒たち自身による取り組みが大切だと強調されていることでもあり,特別活動の指導体制をいかに 充実させるかの問題と合わせて中学校特別活動の大きな課題となっている。ただ,その基 本的課題を克服するためには,生徒指導と関連付けた指導計画の研究や教職員全体での特別活動の指導の在り方についての研究が前提条件であり,図17に見るかぎり,研修の充実や生徒指導の問題はもっと選択されてもよいと考えられる。特別活動が担うべき役割の重要さと実践に結びつく努力が求められるように思う。 現在審議が続く教育課程審議会の「中間まとめ」にも,教育課程改善の基本的な考え方の第1の問題として「子どもたちの成長への願いと学校への期待」を挙げて,各学校が,21世紀に向けた教育課程改善の審議に強い関心を寄せ,教育の専門集団の立場からの研究を強く要望していることを指摘しておきたい。 |
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