はじめに


 いつの時代においても.よりよい体と心を育成することは学校教育の重要な課題でありま す。とりわけ,健康の増進を図り,たくましい体力や粘り強い気力を育てることは,「体育」が 果たさなけれはならない独自の課題であります。  近年我が国における生活環境の変化は,国民的に慢性的な運動不足をもたらし,必ずしも健 康増進を図る上で好ましい状況にあるとは言えません。しかし,丈夫な体とたくましい体力は 誰もが望むところであります。  文部省が昭和39年から実施している10歳から18歳までの体力診断テストや運動能力テス トにおいて,男女ともほとんどの年齢で低下傾向が依然として続いていることがわかりまし た。特に,女子の立位体前屈,伏臥上体そらしや男子の懸垂,持久走は,調査開始以来の最低記 録でした。  本県では「児童生徒の体力・運動能力調査」を昭和42年から,小学校5・6年生,中学生,高 校生を対象に実施してまいりました。これは,兄童生徒一人一人の実態を把握し,各学校での 指導に生かすことをねらいとしています。  今回の調査を分析致しますと,小・中・高等学校では前年比,全国比とも決して満足できる結 果ではありません。特に,懸垂,走り幅とぴ,持久走は年々下降の傾向が著しいことが大変気に なるところであります。  健康の増進や体力の向上は,即時的に達成できるものではありません。各学校においてはこ の調査報告書を基礎資料として幅広く活用され,各学校における問題や課題等を見いだし,児 童生徒の健康の増進と体力の向上に,より一層のご尽力をお願いする次第であります。  最後になりましたが,この調査にご協力いただきました各学校の諸先生方並びに各関係機関 に対し厚くお札申し上げます。

平成8年1月
茨城県教育研修センター所長
高久清吉


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