まえがき


 国の設置した障害者対策本部では,「国連・障害者の10年」終了後の障害者対策をなお一層推 進するため,平成5年3月に「障害者対策に関する新長期計画」を策定しました。 この中で,教育の分野のうち,特に義務教育段階においては「心身障害児に対する教育の形態に 応じて,教育内容・方法の一層の改善,担当教職員の指導力の向上,心身障害児の教育に係る研究 の充実等,その一層の質的充実を図る。」ことをあげています。さらに,これらの具現化のため, 研究の推進及び情報の提供にあたっては,各都道府県の特殊教育センター等をその中心的な機関と して位置づけ,より一層の推進を図ることとしています。

 本研修センターでは,これらの施策の方針及ぴ茨城県教育振興計画並びに学校教育指導方針を踏 まえ,研修講座等による担当教職員の指導力の向上や心身障害児の教育に係る研究の充実等に取り 組んでまいりました。

 今日,特殊学級及ぴ、ヰ寺殊教育諸学校に在籍する児童生徒を見てみますと,その障害が多様化し, 個に応じた指導を展開する上で様々な工夫を必要としています。特に,学習を進めるにあたって, 児童生徒の心身の障害の状態や発達段階に応じた教材・教具の開発や活用により,さらに学習効果 を高めることが必要です。

 そこで,本研究では,「教材・教具の開発と活用に関する研究」を研究主題として掲げ,平成5 年度から2か年にわたり研究を進めてきました。

 県内特殊学級及び特殊教育諸学校における教材・教具の開発と活用の現状について実態調査を実 施し,これに基づいて障害の実態に応じた,より効果的な教材・教具の開発と活用の在り方につい て検討し,実践的な研究を心がけてきました。

 本研究報告書は,特殊学級及びヰ寺殊教育諸学校の担当されている先生方が,一人一人の児童生徒 の障害及ぴ、発達段階に応じた指導を進める上で,どのような教材・教具を開発し,活用していった らよいかという際に,その指針になるようにという観点からまとめたものです。実際の指導にあたっ ては,学校の児童生徒の実態に合わせながら,指導に生かしていただきたいと願っております。

 最後に,この研究を進めるにあたり,御指導を腸りました講師の先生方や実態調査に御協力いた だきました関係学校及ぴ、研究協力員の先生方に対し,心から感謝申し上げます。

平成7年3月
茨城県教育研修センター所長
高久 清吉


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