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はじめに

 人生の長寿化、労働時間の短蹄による豊かな自由時間、テクノロジー(科学技術)の発達、進展する情報化、21世紀に予測されるこうした変化は、自己の人間的可能性を開発しようとする人々の欲求を高める反面、慢性的疾病の増加等、健康を損なう要因をも増加させていくことか予想されます。
 現在の子供たちの生活環境に目をむけましても、少子化による遊び仲間の不足や、都市化による遊び空間の減少、さらに、不規則で偏った食生活などの諸問題が顕在化し、この傾向は、今後ますます強まっていくことが考えられます。本報告書によりますと、肥満傾向児童の割合は、10年前と比べ、2倍近くに増加しております。糖尿病などの小児成人病も問題視されてきております。特に、肥満は将来の成人病につながる危険をはらんでおります。成人病の予防は、ライフスタイルの確立と切り放して考えることは出来ません。健康で生きていくためには、自己の生活を自分で管理できる能力を身に付けることが必要になります。
 本センターでは、健康に対する児童生徒の科学的認識を深め、自己の課題を発見し自力解決できる能力を高め、さらに、正しい判断のできる自立した心の育成を図るため、健康教育の一環として、肥満と痩身を取り上げ、調査や研究をして参りました。
 本報告書の第1部には、学校や家庭で行う指導の在り方を「指導の手引編」としてまとめ、第2部で、学校調査や個人調査の結果を「資料編」としてまとめました。各学校におかれましては.この報告書のねらいを十分ご理解項き、健やかで心豊かな児童生徒の育成のため、積極的な活用を図られますことを願っております。
 最後になりましたが、この調査研究のためにご苦労頂きました各調査研究委員の方々、ご協力頂きました県下各学校及び市町村教育委員会、その他関係各位に対し、衷心より感謝申し上げ、発刊の挨拶といたします。
平成6年3月
 
 
茨城県教育研修センター所長
高久 清吉

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