5.おわりに

  1. 全体計画と開設の手立てについて
  2. 週1時間の授業は行事等によって分断され,継続指導に支障が生じることが多い。そのために実践1・2で述べたように一題材の取扱い時間を短縮してみたが,その結果,生徒の取り組み意欲が持続できた。

    2・3年生の題材に系統性を持たせることによって,より発展的な創造活動へと進めることができた。(石膏の取扱い技法)

    どの教科を選択するかについては,個々の特性を生かし伸ばすことをねらいとする観点からも重要なことである。生徒たちは,授業を通して選択教科を決定する際の参考資料を得られる結果になった。また,文化祭での展示発表の場はそうした面からも単に作品展示にとどまらずに,制作過程の提示等にも一層の工夫が必要であろう。

  3. 自由制作の中での個別指導について
  4. 前期は共通課題制作,後期には自由制作として計画したが,後期には油絵,必修授業での既習内容や前期制作の発展等およそ10題材程度にもなった。また,個々の学習能力にも格差があり,一人一人の個性を伸ばすための具体的な手立てが必要である。そのためには生徒理解を図る個人の制作カルテや学習カード等を工夫改善し,効果的に生かすことが必須であろう。

  5. 素材と豊かな発想
  6. 自分の手で素材を集めたことにより表現活動への意欲化が図られたと感じる。素材を手にして,かおりを嗅いだりしながら積極的に取り組む生徒の姿が見えた。素材からの発想ということで,制作方向が一転こ転することは当然である。柔軟な発想と造形をさせるためには,各制作段階におけるスケッチを十分に練り,足跡を残させながら制作させることが重要であろう。

  7. 評価について
  8. 年間指導計画表・評価基準表を基にして作成した評価補助簿の活用や自己評価表・学習カードなどからの総合的な評価を試みた。しかし,選択教科のねらいを考えたとさ,生徒の個性の伸長や興味・関心を一層高めるための独自の観点を設ける必要を感じた。個々における学習開始前の題材に村する意識調査などが有効であろう。また,意欲や技能の成長度を評価に加味することも考慮する必要がある。毎時の授業を通した観察中心の評価に対して,授業の内容や生徒による確かな基準となる観点を明確にしていきたい。


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