(Q1)中学校の英語教育と何が違うのでしょうか。
(A1)
小学校外国語活動の目標は,言語や文化について体験的に理解を深めるとともに,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点をおきながら,最終的には中・高等学校で育成するコミュニケーション能力の素地を養うことです。
中学校の外国語活動では,言語のルール(文法・文型)を学びますが,小学校の活動では,外国語の習得が目標ではありません。
小学校外国語活動では,会話や表情,ジェスチャーなどの表現方法を通して気持ちを伝え合うこと,つまり人とかかわるために必要な力を育んだり,言葉や文化の豊かさ,大切さ,難しさなどに気づかせたりすることが大切です。
(Q2)コミュニケーション能力の素地とはどういう意味でしょうか。
(A2)
小学校学習指導要領における「コミュニケーション能力の素地」とは,小学校段階で外国語活動を通して養われる,言語や文化についての体験的な理解,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度,外国語の音声や基本的な表現への慣れ親しみを指したものです。
素地
中・高等学校の外国語科で目指すコミュニケーション能力を支えるものであり,小学校外国語活動を通して培った素地を生かし,中学校段階ではコミュニケーション能力の基礎の育成を図ります。
(Q3)単元をどう組み立てればよいのでしょうか。
(A3)
1単元が終わったときに,児童がその単元で扱った内容について「自分のことを話せた」「Aくんの表情や言い方が良かった」といった言葉を聞くと大変うれしいものです。教師は,そのために細かな段階を踏んで単元を構成する必要があります。そのための留意点を3つ紹介いたします。
①児童の興味・関心とコミュニケーション能力の素地をすり合わせる。
単元で扱われる活動は児童が興味・関心を持っていること,してみたいことを考えて設定しましょう。つまり,児童中心に活動を設定するということです。
十分に外国語を聞き,活動等を通して体験し,自分の言いたいことを言葉を選んで発話するという過程を組んでいく必要があります。
②児童の発見や思考を生かす。
楽しさだけの活動では児童はやがて飽きてきます。そこに児童の発見や思考,そして感動がなければならず,それを表現する場も必要になります。
③いろいろな活動をバランスよく配列する。
<主な活動の種類>
<主な活動形態>
(Q4)外国語活動における学級担任の役割とはどのようなものでしょうか。
(A4)
学習指導要領では,指導者について「指導計画の作成や授業の実施については,学級担任の教師または外国語活動を担当する教師が行うこととし,授業の実施に当たっては,ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに,地域の実態に応じて,外国語の堪能な地域の人々の協力を得るなど,指導体制を充実すること」とある。授業の組み立てや進行は,ALTや英語が堪能な地域の方などの協力を得たとしても,学級担任が中心に行うということです。
<1時間の授業の中での学級担任の役割(例)>
①設計<Plan>
②実施<Do>
③評価<Check>
担任と児童のつながりが非常に深いのが小学校の特色です。たとえ英語を流ちょうに話せなくても,互いに関わり合って自らも英語に慣れ親しもうとする姿勢を見せれば,児童は勇気を出して話そうという気持ちになります。学級担任は,英語のモデルではなく英語を使おうとするモデルになりましょう。
(Q5)小学校・中学校の連携をどのように図ればよいでしょうか。
(A5)
中学校区内での小学校外国語活動の実際を互いに理解するために,目標・指導内容・指導方法等について,意見交換をする機会を持つようにしましょう。実際に互いに授業参観等を行って,理解を深めましょう。小学校の外国語活動で扱った話題,言語材料(表現・語彙)等の一覧の資料があれば中学校の英語科の教師と意見交換するのもよいと思います。
また,「英語ノート」,「指導資料」等を共に検討し,カリキュラムの作成等においても連携を図ることも大切です。
新学習指導要領(中学校)には,第1学年における言語活動のなかに「小学校における外国語活動を通じて音声面を中心としたコミュニケーションに対する積極的な態度などの一定の素地が育成されることを踏まえ身近な言語使用場面や言語の働きに配慮した言語活動を行わせること」とあります。つまり,小学校での外国語活動を踏まえて中学校で指導が行われることになりますので,小学校においても,学習指導要領の目標に合った指導が行われることが大切です。