LD,ADHD,高機能自閉症等について

学習障害(LD)
   学習障害とは,基本的には全般的な知的発達に遅れはない,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害とは,その原因として,中枢神経系に何らかな機能障害があると推定されるが,視覚障害,聴覚障害,知的障害,情緒障害などの障害や,環境的な要因が直接の原因となるものではない。
  先生の話を集中して聞けない。
  いくつかの用事を頼むとできない。
  前後左右が分からないことがある。
  ロッカーの位置が分からない。
  拍子をとることができない。
  バランスが悪く転ぶことが多い。
  絵を描くのが不得意である。
  ボールを捕るのが苦手である。
  はさみを使う,ボタンをかける,ひも結びなどが苦手である。
注意欠陥/多動性障害(ADHD)
   脳に何らかの原因があると考えられ,「不注意」「多動性」「衝動性」の症状が特徴である。周囲の不適切な対応や衝動性から二次的なこととして行動面,情緒面にも問題を合併していることが多くある。
  落ち着きがなくすぐに席を離れてしまい目的もなく教室内を歩き回る。
  計画したことを最後まで進めることができないことが多い。
  おしゃべりが多く,しかも大声で早口なことが多い。
  話をしていても横道にそれることが多く,何を話しているのかが分からなくなる。
  結果を考えずに行動することが多い。
  質問が終わる前に出し抜けに答えたりする。
  カッとなりやすく反省心が薄い。
  とにかく忘れ物が多い。
  宿題をやらないというよりは宿題があることを忘れてしまっている。
  手遊びが多く集中できない。
   合併症の中で心配なのは,ごく一部のADHD児ですが,反抗挑戦性障害と行為障害があることである。学校だけの対応には無理があり,専門機関への相談及び医療との連携が必要になる。
反抗挑戦性障害
   小学校の高学年になり,親や教師に反抗し,周囲の大人をわざと怒らせるような挑発行為をしたりする。学校では突発的な乱暴な行為が止まらず,急に怒りだして喧嘩を始めたり,物を投げたりなどの衝動的な行動が頻発する。
行為障害
   反抗挑戦性障害の一部の子どもが中学生の頃になり,恐喝や喧嘩を繰り返すなど,他人の基本的人権を侵害するような明確な違法行為を繰り返すことがある。
高機能自閉症
   知能指数は正常範囲にあるが,行動は自閉症と同じである。人と関わろうとする意欲と関心はあるが,関わり方が場面に不適切で奇妙なために,周囲とトラブルを起こしてしまうことがみられる。
  相手の気持ちや都合を気遣うということがない。
  場面の雰囲気を読みとることが苦手である。
  流暢に話をするにも関わらず,ユーモア,皮肉,からかいなどが分からない。
  いじめの対象となりやすい。
アスペルガー症候群
   高機能自閉症の一部と考えられる。知的な遅れがない。ことばの発達に遅れがないというところが高機能自閉症との違いである。家庭ではほとんど目立たなく,集団生活を始めるようになって目立つ。共感性に乏しいのが特徴である。
   人の気持ちが分からないため,相手のいやがることを平気で言ってしまう。
   一人でいることを気にしない。
   興味のあることには精通しており,その道の博士である。
  【参考・引用文献】
    「学習障害(LD)及びその周辺の子どもたち」(尾崎洋一郎他 同成社)
    「ADHD及びその周辺の子どもたち」(尾崎洋一郎他 同成社)
    「アメリカ精神医学会診断基準第4版」(DSM−W)


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