実践事例10
  計画的,組織的な教育課程の評価の在り方
  真壁町立桃山中学校
 教育課程経営の重点
   本校は,茨城県の西部に位置しており,関東の名峰である筑波山や足尾山,加波山が立ち並ぶ緑豊かな町にあり,創立46年目を迎える。生徒数440人,14学級の規模を有する。本校では,学校の教育目標「自ら考え判断し,主体的行動のとれる生徒の育成」達成のための重点課題の一つに,「創意を生かした特色ある教育課程の編成」をあげている。これを受け,教育課程経営では,「計画的,組織的な教育課程の評価の在り方」を研究主題に掲げ,次の2つの内容について特に重点的に研究実践を進めている。
 
 学校評価委員会の活動の充実
 月毎,学期毎の教育課程の評価の実施
 教育課程経営の実際
  (1)  学校評価委員会の活動の充実
     学校評価委員会は,校長,教頭,教務主任,研究主任,各学年主任で構成している。年間を通して計画的,組織的に評価を行っていくために,年度当初に「教育課程評価の流れ図」(図1)を作成し,全職員で共通理解を図りながら教育課程の評価を進めている。
    図1 教育課程評価の流れ図(一部)
     本年度,学校評価委員会が中心となって行った活動は次の5つである。
     教育課程評価の流れ図の作成とそれに対する教員の共通理解を深める。
     教育課程評価項目を検討し,評価用紙を作成する。
     全教職員による月毎の教育課程の評価を実施する。
     全教職員による学期毎の教育課程の評価を実施する。
     教科,特別活動等における評価の在り方について検討する。
  (2)  月毎の教育課程の評価の実施
     本校では,教職員一人一人が月毎の教育活動全体を見通し,改善を図るために「学校経営プログラム」を作成している。毎月行われる運営委員会までに,各担当が,次の月の重点事項や実施内容をA4判の「学校経営プログラム」用紙に書き込み,運営委員会での検討を経て,職員会議において共通理解を図る。そして,月末には校長,教頭以外の全職員が,各項目について達成状況を,5,4,2,1の4段階で評価する。
    資料1 学校経営プログラム評価集計結果(一部)
     資料1は,6月の評価集計結果である。教務主任が集約し,項目の右に平均値を示すようにしている。
 この集計結果をもとに,生徒指導部会を始め各部会においては,実施状況を確認し合い,次の月の重点事項を設定している。また,各学年においては,学年経営及び道徳,学級活動,総合的な学習の時間について,実施状況や課題について確認し合い,改善に努めている。
  (3)  学期毎の教育課程の評価の実施
     学期毎の教育課程の評価については,全教職員を対象に1,2学期末(7月,12月)に実施している。3学期は,2学期末の評価結果をもとに,全教職員が分担して次年度の改善点をまとめ,教育課程の編成を行う。
 評価項目や方法については,学校評価委員会で検討して決定した。本年度は,5,4,2,1の4段階で評価することとした。評価項目それぞれについて,課題があるかないかを明確にしながら評価をすることにより,課題意識の高揚を目指すためである。実施後,研究主任が集計し,集計結果を職員会議で報告する。検討事項については,教科部会や領域部会,学年会等で検討し,改善策を提案してもらう。さらにその後,学校評価委員会で検討し,全職員で協議し,改善に向けての取り組みについての共通理解を図っている。
    資料2 教育課程の評価用紙(一部)
  (4)  特別活動等の評価について
     本年度,学校評価委員会では「特別活動」と「行動の記録」の評価のカード(資料3,4)の作成を行った。作成に当たっては,まず特別活動部,生徒指導部において作成した原案をもとに,学校評価委員会において検討した。
 生徒の自己評価と教師による評価を1枚に書き込むことができる様式とした。
    資料3 「特別活動」評価カード(一部)
    資料4 「行動の記録」評価カード(一部)
     これらの評価カードを活用する中で,より客観的に評価するために,一人の生徒について多くの教師が評価にかかわることが大切ではないかという意見が出され,活用の方法について職員会議で話し合った。そして,担任だけでなく,学年主任や教科担任も評価にかかわっていくことが確認された。
 今後の課題
   学校評価委員会の活動の充実を重点項目として,計画的,組織的な評価の在り方について研究してきたが,教育課程の編成,実施,評価,改善は全職員で行うという教職員の意識の高まりを感じる。今後の課題は次の3点である。
  (1)  生徒一人一人の姿の変容に結びつく評価の在り方について研究を進めたい。
  (2)  教育課程の計画的,組織的な評価を改善に生かす方策について研究を進めたい。
  (3)  カリキュラム管理の在り方について,全職員の共通理解を図りながら研究を進めたい。
 
   ホームページ http://www.geocities.co.jp/Berkeley/8379/


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