(5)  チェックリスト,チェックシートの活用
@  SOSチェックリスト個人用(表 21 参照)
 ここで紹介するチェックリストは,学校心理学(石隈,1999)に掲載されている「SOSチェックリスト」を応用したものであるが,学校心理学に掲載されているリストが教師がチェックする形態であるのに対し,表21のリストは「児童生徒が自分自身の状態をチェックする」形態,つまり自己評価のためのリストである。
 教師のチェックばかりでなく児童生徒自身によるチェックも加えることによって,SOSのサインを発見する確立はさらに高まるだろう。また,児童生徒が自分の状態を客観的に見つめることにより,そのこと自体が児童生徒の心理的安定に貢献するだろう。つまり,軽度のSOSの場合,自己評価をすることだけで問題が解消される期待も持てるということである。
A  SOSチェックリスト学級用(表 22 参照)
 学級用のチェックリストも,学校心理学(石隈,1999)に掲載されている「SOSチェックリスト」を応用して名簿形式に作り直したものだが,名簿形式とすることで活用の幅を広げることができた。
 たとえば,気になる生徒が出たときの「個別的・適時的活用」の他,学期始めにクラス全員についてチェックしてみるなどの「全体的・定期的活用」も可能である。さらに,教科担任に記入してもらうことや,記録を積み重ねてみるということも考えられるだろう。
 学校で足並みを揃えて活用する場合には,表計算ソフト等を使用することにより,全学級分まとめて作成することも可能である。そうすることで学級担任の事務的負担は軽減され,実際の活用率も大幅に向上するだろう。
B  自助資源チェックシート(表 23 参照)
 実践研究のまとめで述べたように,援助のポイントの一つとして「自助資源の活用」があげられる。
 今回の実践研究では,自助資源は主に「援助チームシート」を使ったコンサルテーションで発見されたが,さらに積極的に自助資源を発見するためには,日頃から「すべての子どもの自助資源を見つけよう」という姿勢で児童生徒に接することが必要だろう。
 その考えに基づいて考案したのが,「自助資源チェックシート」である。他のリストなどと同様に,学習面,心理・社会面,進路面,健康面という四つの枠に区分して,自助資源を総合的にとらえられるようにしてある。
 日頃から児童生徒の自助資源に目を向け,気づいたところから少しずつ記入していくことにより,援助に際し有効な資料が作成できるだろう。また,自助資源に目を向けようとする教師の姿勢は,二次的援助サービス以外でも,すなわちすべての教育活動上においても,有意義なものになるだろう。


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