【教材1】 簡単にできるビデオや動画を生かしたWeb教材の開発
  日立市立助川小学校 教諭 吉田 陽一
(1)  教材開発のねらい
   文字だけより挿絵入り,モノクロよりカラー,ラジオよりテレビといったように,視覚に訴える情報があった方が親しみやすさや理解しやすさが格段に高まることは明白であろう。あらゆるジャンルの番組がテレビで放映されていることと同様に,文字や図・写真のみの場合よりも動画を使うことでWeb教材の幅が広がるだろう。
 インターネットで動画を見る際,以前なら動画ファイルを完全にダウンロードしてからやっと見ることができた。最近では,ファイルをすべてダウンロードしてからではなく,ダウンロードしながら再生をする,いわゆる「ストリーミング」技術を使い,待ち時間がほとんど問題にしないで動画を見ることができるようになった。また,ビデオ素材をWeb上で使用できるように加工するエンコードプログラムも無料で,しかも高機能のものがインターネット上からダウンロードして利用できるようになった。今日では,環境さえ整っていれば誰でもその技術を享受できるのである。このように利点が多く,分かりやすいWeb教材が簡単にできることから,動画利用は今後は着実に増えていくことが容易に予想される。
 コンピュータを利用したビデオ編集の技術書籍を,最近はよく目にするようになった。しかし,我々教師が教材作成に必要な程度の,例えば,どのソフトウェアをそろえて何をどう使えばよいのか,という入門者向けの資料はまだ少ない。そこで,多くの可能性をもっている,ビデオを取り入れたWeb教材の開発には欠かせないポイントについて研究することにした。
   
(2)  教材の内容
 
 学習内容
   視聴覚教材の利用は,学習者の理解に大きな支援となる。表や図,写真などを場面に応じて提示することで,より分かりやすくなる。更に,それら教材がテレビのアニメやニュース番組のように動き,そして音声も利用できる「動画」であれば,よりスムーズに学習者に理解を促すことができる。
 あらゆる学習場面において,ビデオなどの動きをともなう教材の活用は有効である。例えば,数秒から数十秒など,短時間ではあっても,あれば見せたいというような,ちょっとしたビデオ資料がほしい時があったとしよう。図工で木版画の学習をする際の彫刻刀の使い方,円の面積の公式の意味を考えさせるための説明,振り子の性質をまとめる際の参考実験など,これらはどうだろうか。十数秒から1分程度のビデオが,「難しい」「分かりづらい」と感じる学習者にとって理解に役立つ,いわば「動くヒントカード」となるはずである。そして,このようなものは,児童生徒がそれぞれ必要に応じて活用できるものになるだろうと考える。
 ビデオ教材利用の問題点
   一人一人の学習者がいろいろな具体物に触れたり操作したりする実験・観察等の直接体験をしながら知識などを習得していくのは,望ましい学習の在り方の1つである。しかし,現実には物や時間の制約から,実際に体験できないことも多く,その対策としてパソコンなどを利用したバーチャルな体験が挙げられており,これは確かに有効な学習手段の一つであると考える。今回は,ビデオを利用したバーチャルな体験によって知識の習得を図る教材を開発するわけだが,いくらビデオが有効だと分かっていても,それぞれの教師がそれぞれの教科のそれぞれの単元でビデオ資料を作成する時間を確保するのはかなり難しい。また,努力して作ったビデオが,隣のクラスで利用してもらえるとしても,ビデオテープの数は膨大なものになるし,その度ごとに必要なビデオ資料の頭出しをするのにも時間がかかるだろう。また,ビデオデッキを教室へ運びモニタへ接続するなど,実際に使う場面では手間が多くかかる。
 これらの理由で,短時間のビデオ資料を使いたいと思っても,実際に活用している教師は多くはないだろう。例え活用できたとしても,主にその教師や学校内で利用されるだけであり,そのすばらしいビデオ教材が他校で利用されることはほとんどないと思える。これでは,せっかく作った教材の価値を高めることは,残念ながらできないだろう。
 ビデオ教材を共有化するシステム作り
   上記のような問題点は,教師間の連絡システムが構築されれば,それらビデオ資料の共有化が図れるとともに利用を促進することができるので,解決できるのではと考える。テレビ放送の録画や市販教材ではない,自作という利点を生かし,校内や地域ごとのビデオライブラリ化が図れ,多くの児童生徒がよりよい教材を活用することができる。
 更に,それらをインターネット上に置くことができれば,その学校やその地域のみではなく,一気に全世界的なレベルのライブラリとなり,世界中どこの学校でも利用できるようになるだろう。もちろん,在宅学習でも利用可能になるわけである。また,校内LANを活用すれば,それぞれの教室でいつでもビデオ資料の利用が可能になる。
 以上のような理由で,多くの教師や協力者の制作したビデオ教材をインターネット上でライブラリ化することは大いに意味がある。それらの制作,活用が容易となってきた時代,それが当然の現状だと認識している。
   
(3)  開発の方法
   次に,Web教材用のビデオを制作していくに当たって,いくつか理解を深めておきたい点を述べさせていただく。教材開発の方針やインターネットの特性と留意点,そして,ビデオの形式についてである。
 
 開発の方針
   ○「学習者が必要とするポイントを短く押さえたビデオコンテンツとすること。」
 一人の教師がビデオ教材制作に取り組む時間は限られる。よって,制作に踏み切れる状況である場合,短く効果的な内容で撮影することが肝要である。また,凝りすぎてはその後が続かない。時間を見て作れる程度のビデオをストックしていきたいものである。
 ○「インターネット上での利用を踏まえること。」
 利用者(学校や自宅)のインターネット接続環境は,回線が高速化されつつある現在でも,その多くがアナログモデムやISDNでの56〜64bpsが現状である。インターネットを利用して動画を活用するには,残念ながら,まだまだ回線が細い。例えば,水道の蛇口をひねって風呂を水で満たすのには時間がかかるが,シャワーならばすぐに使える,という状況と同じであろう。しかし,シャワーには十分な価値があるように,56〜64bpsの容量でも工夫次第では,ある程度は満足のいく動画の再生も可能である。
 細い回線で動画をそれなりに再生させるコツがある。それを,次ページ@〜Bに示す。
 
@  撮影は近づいて大きく撮る。
   動画ファイルをダウンロードしながら再生するという,「ストリーミング」をするためには,表示画面はどうしても小さくせざるを得ない。大きすぎると,コマ送りのようになったり,画像が荒れすぎて内容が分からなくなるからである。よって,再生画面を少しでも見やすい状態にするためには,出来上がりを念頭において撮影する必要がある。示したいものが大きく画面に収まるくらいに近くから撮っておくと良いと思う。
A  動きは最小限にする。
   まず,コンピュータの「圧縮技術」について触れる。
 コンピュータでは,デジタルデータを扱う。そして,動画も一つのファイルとして扱う。ワープロや表計算のファイルとは違って,静止画などの画像,特に動画は,コンピュータとしては大きなデータの部類に入る。保存していくと,すぐにフロッピーやハードディスクが一杯となってしまう。そこで,コンピュータでは「圧縮」と「展開」いう技術が使われている。例えば,
1100000000000000000000000000000111111111111
というデータをコンピュータが認識する際には,そのまま
1100000000000000000000000000000111111111111
という状態で保存もできるが,
1 が2個,0 が29個,1 が12個
というように整理して保存(圧縮)し,開くときに元の
1100000000000000000000000000000111111111111
に戻してやる(展開)のである。これらの技術は,LHAやZIPなどのファイル圧縮技術に活かされている。フリーソフトのダウンロード後に,Lhasaなどのソフトウェアを使い,解凍された方も多いことであろう。
 静止画や動画も同様で,大まかには,「青が1番地から53番地,赤が54番地から67番地,黄色が68番地から72番地,・・・」というようにデータを圧縮している。動画は静止画の連続なので,コマ数分だけ大きなファイルになる。
 つまり,画面上の動かない同じデータが多ければ多いほどファイルの大きさは小さくすることができるのである。撮影の際は,カメラをできる限り上下左右に動かさないよう注意することで,これを実践することができる。画面全体の動き(変化)が多ければ多いほど,必要な部分がぼやけてしまったり画像がとぎれてしまったりするので,特に気を付けたい点である。
 また,動画圧縮にはいくつかの方法がある(それらの特徴については,後述部分を参照)。
B  超短編ビデオとする。
   どうせ作るなら,と気合いが入ってしまうところだが,現状の回線容量は多くの学校等で十分ではない。インターネットは世界中の人が共用する回線,つまり「大切な財産」であることも踏まえ,長時間占有するような状態は避けたいものである。今後,ビデオ教材など,ファイルサイズの大きなデータのやりとりがブロードバンドの普及で増えることは確実である。学習者にとってポイントが絞られたビデオは,私たちみんなの情報道路である「インターネット」を,誰もがより快適に使えるように配慮するという,いわば情報モラルに則ったことも意識していきたい点である。
 ビデオファイルの規格と種類
   動画の形式には,AVIやQuickTimeなどが以前から一般的であったが,更に圧縮する技術が開発され,動画をインターネットでも手軽に利用することが可能となった。ここで,コーデック(CODEC)と呼ばれる動画の圧縮方式(フォーマット)について,いくつか確認をしておく。
 
(ア)  AVI(.avi)
   Windows OS上で動画を再生するためにMicrosoft社によって制定されたフォーマット。同社の開発したvideo for windowsを用いて再生する。拡張子が.avi。AVIは更にいくつかの圧縮形式が存在する。ファイルサイズは大きい方なので,Web配信では使われることはほとんどない。
(イ)  QuickTime(.mov)
   Apple Computer社が制定したフォーマット。高品位・高圧縮である。再生のためには同社が開発したQuickTimeが必要。QuicTime 3.0はMPEG4の標準フォーマットとしても採用されている。
(ウ)  MPEG(.mpg)
   エムペグと読む。動画圧縮技術の国際標準規格の一つで,高圧縮率・高品位画質を特徴とする。JPEG(静止画の圧縮技術で,インターネットでの標準形式)で用いられている圧縮方式である。MPEGにはMPEG1〜MPEG4までの規格がある。
 MPEG1はビデオCD等に使われ,最大352×240ドットで,毎秒30フレーム,フルカラーでの再生が可能。MPEG2は,高品位テレビのために制定されたもので,最大740×480ドットで,毎秒60フレーム,フルカラーでの再生が可能。衛星デジタルテレビ放送に使用されている。MPEG4は更に圧縮率を向上させた,インターネット利用を意識した規格である。
(エ)  RealVideo(.rm)
   リアルタイムに動画を配信するためにRealNetworks社によって開発された規格。接続回線速度に応じて画像や音声を配信できる。ビデオ化される以前は,RealAudioという,音声配信規格だった。再生にはRealPlayer(Basicが無料版)が必要。現在のインターネット上のストリーミング動画再生の標準的存在となっている。
(オ)  Windows Media(.asf .wmv)
   Microsoft社の開発したWindows Mediaビデオファイル形式の動画ファイル。高画質で圧縮率が非常に高いが,再生するためにはWindows Media Player 6.4以上が必要。同じくMicrosoft社の開発したストリーミング形式(ダウンロードしながら再生)のASF(Active Streaming Format) ファイルがある。
 学校における現在のコンピュータ環境で,多くの児童生徒にWeb教材を役立ててもらうためには,RM形式(RealVideo)やASF,WMV形式(Windows Media)が今のところ最も適切であろうと思う。
表1-1
 教材を開発するために用意するもの
   ハードウェア,ソフトウェア面で,ビデオを取り入れたWeb教材を作るために最低必要な条件を確認する。
  表1-2
品目 スペック等
OS Windows 98 SE以上(※1)
CPU PentiumU400MHz以上かCeleron500MHz以上
メモリー 64MB以上(更に多い方がよい)
ハードディスク 1分の動画取り込みに220MB,編集領域を考慮すると1GB以上
ビデオカメラ キャプチャーボード(※2)により,DVかアナログとなる
キャプチャーボード(※2) IEEE1394(DV)またはアナログキャプチャボード等
ソフトウェア 取り込み用ソフト(※3),編集用ソフト(※4),ファイル生成用ソフ ト(※5)が必要

※ 1 : キャプチャーボードの条件に左右される。 ※ 2 : U S B やP C カードタイプもあるが, 最近のP C には, はじめからI E E E 13 9 4端子が付いているものが多くなっているので, D V を活用したい。
※ 3 : 通常, キャプチャーボードに付属して販売されているし, I E E E 13 9 4端子付きのP C ならばソフトウェアは付属している場合が多い。
※ 4 : 簡単な編集がカメラ等でできれば不要。
※ 5 : R e a l V i d e o形式やW M V 形式( W W W 上で使える形) にするソフトウェア。
   最近のコンピュータなら,上の表のビデオカメラと※5のファイル生成用ソフトウェア以外の条件は,ほぼ満たしている。後は,もう少しの準備等をするだけで,ワープロが使える程度の操作ですぐにビデオを取り入れたWeb教材ができる。
 具体的な手順
   具体的な作業の流れを以下に示す。今回は,現在では最も一般的な方法であるDVで制作する方法について説明を進める。
 
@  コンセプト等に留意しながら教材のビデオを撮影する。
   各自工夫を凝らした,ポイントを絞ったビデオを撮影する。
A  コンピュータとカメラを接続する。
   コンピュータのIEEE1394端子を確認する。これをiリンク(アイリンク)端子と呼んでいるコンピュータメーカーもある。
  図1-1
  1. コンピュータのIEEE1394端子
     最近のほとんどのコンピュータに付けられた端子で,ビデオ以外に外付けのハードディスクなどの機器接続にも利用できる。特徴は,短時間にとても多くの情報をやりとりすることができる点で,巨大なファイルとなるビデオなどの取り込みや出力に適している。


  2. カメラ側のIEEE1394端子
     カメラ側の端子も確認する。「DV入力/出力」と表示されているカメラもある。


  3. 端子は2種類
     同じIEEE1394端子でも,端子の種類は6pinコネクタと4pinコネクタの2種類がある。コンピュータの端子とビデオカメラの端子をよく確認してからケーブルを購入する。
  図1-2図1-3
B  取り込み用ソフトウェアで撮影したビデオをコンピュータへ取り込み,ファイル化する。
   取り込み用ソフトウェアは,IEEE1394端子が付いているコンピュータには標準でインストールされていることが多く,その例を示す。
 
  1. DVGate Motion
    図1-4  SONY製のコンピュータにプレインストールされている。ビデオの取り込みなどに使う。ビデオカメラによっては,同期調整が必要な場合がある。


  2. Video Studio
     Ulead Systems社のソフトウェア。ビデオの取り込み,書き出し,編集などに使う。キャプチャーボードにバンドル(付属)されていることが多く,RMやASF形式を生成する機能もある。これ1つでほとんどの作業ができる。しかし,今回はコンピュータとの相性問題があり,RM形式へ生成できなかった。各コンピュータごとに確認が必要である。


C  必要に応じて編集・加工する。
  図1-5 「Video Studio」のような編集ソフトウェアを活用すれば,撮影したビデオの必要な部分を切り出してつなげたり,静止画を挿入したり,字幕を入れたりできる。可能ならば,見やすい,分かりやすすいWeb教材となるように是非やっておきたい作業である。
D  Webページに載せるために,ファイル生成用ソフトを用い,RM形式やASF,WMV形式に変換する。
  図1-6
  1.  前述の「Video Studio」の機能を使えば,RM形式やASF形式で保存が可能である。
     初心者にも作業手順が分かりやすく画面表示されるので,とても扱いやすい。
  2.  http://www.jp.real.com/(RealNetworks社)で,RMファイルを再生するソフトウェアであるRealPlayer Basicや,RMファイルを生成するソフトウェアであるRealProducer Basicをダウンロードできる。製品名に「Basic」がつくものは機能が限定された無料版,「Plus」がつくものは製品版(有料)なので,入手の際は注意が必要である。現在,RM形式はインターネット上の世界標準的な動画形式となっている。
     以下,RealProducer Basicをダウンロードする手順などを紹介していく。
  図1-7

図1-8
   図1-8のような画面が表示されるので,「こちら(US)」をクリックする。
 次に英語の画面が表示されるので,下に配置されているRealSystem Producer Basicの「Download」ボタンをクリックする。すると,更に英語の画面が表示される。その画面では姓名等の必要事項を入力し,一番下の「Download Now」のボタンをクリックする。
 次の画面では,どの国のサーバからファイルをダウンロードするかを選択するようになるので,「Osaka, Japan」をクリックする。これにより,ファイルのダウンロードが始まる。

 ダウンロードした圧縮ファイルをダブルクリックすると展開が始まるので,指示に従って設定をしていく。
  図1-9
   やがて図1-9の画面が表示される。この画面では一番上にある「RecordFromFile」を選択する。余談だが,このソフトウェアは高機能で,今回紹介しているRMファイルの生成以外にも,ビデオからの動画取り込みやインターネットライブ放送のインターフェイスソフトウェアとしても活用できる。ただし,ライブの場合は,サーバ本体とサーバ用のソフトウェアが必要であり,少し面倒な設定もあるので,簡単にすぐ使えるということではない。図1-9で「OK」ボタンをクリックすることにより,Recording Wizardが始まり,図1-10の画面になる。
  図1-10 ここでは,RMへ生成(変換)したいファイル名や,どのフォルダに保存するかを指定する。保存場所を初期設定のままにする場合には「次へ」ボタン,違う場所に変更する場合には「Browse」ボタンをクリックして,適当なフォルダを指定していく。
  図1-11 図1-11の画面では,タイトル,編集者名,著作権表示などを入力する。
  図1-12 図1-12の画面では,再生する相手の回線容量や混み具合によって調整できる機能を付けるか付けないかを選択できる。しかし,上のMulti-Rateを選択するとファイルサイズが大きくなりすぎてしまって,サーバへのアップロード等が不便なので,下のSingle-Rate を選択した方が良いと思う。
  図1-13 この画面のオプションは,再生する時の回線容量や種類によって選択する。一般的には,56K Modemか,Single ISDNが良いと思う。最近のブロードバンドが普及しそうな動向を踏まえて,256K DSL等も選択できるようになっている。この数値が大きいほど,鮮明で動きのはっきりとしたファイルが生成される。しかし,校内LANなどで利用するには良いと思うが,インターネットでの利用を前提にすると,ダウンロードするには重すぎるファイルとなり,誰も見てくれないようになってしまうと思う。いくつか試し,適切なレートを選択するようにしたい。
  図1-14 ビデオであるので,もちろん音声を入れることもできる。図1-14にあるvoice onlyの形式を選ぶことにより,最も音声のデータを小さくすることができる。音声データが圧縮されることによって劣化する分,映像が高品位になると考えて良い。通常,voice onlyで問題はない。
  図1-15 図1-15の画面で,動画の画質や動きの設定をする。Nomal,Smoothest,Sharpest,Slide Showと四つの形式が選択できる。それぞれの意味は,例えば,画質が落ちても動きを表現したければSmoothestを,紙芝居を見ているようなコマ数になっても,鮮明さを優先させたければSharpestかSlide Showを,ということである。これに関しては,それぞれの形式を選択してファイルを作成し,結果を比較・検討した方が賢明であると思う。
  図1-16 図1-16の画面では,出力するファイル名と保存先を指定する。
   ファイルの作成が終了すると,図1-17の画面が表示される。作成されたビデオの状態を確認するには,左下にあるstartボタンをクリックする。
 表示される映像は二つで,左が元の内容,右がRM形式である。
  図1-17
  図1-18 完成したファイルのアイコンをダブルクリックすると,RealPlayerによって再生される。(RealPlayerは,あらかじめインストールしておく。)再生の状態があまり良くなく,画質や動きなどが改善できそうならば,もう一度,最初からやり直す。
   
 
  1. WMV形式で保存するために〜その1(Windows Media Encoder)
    図1-19 WMVの利点は,何と言っても,Windows OSには標準で再生ソフトウェアが付属していることである。あまり手間をかけないで制作したい場合には,この形式を選ぶのも良いと思う。最近では,RM形式と同様に,Web動画の標準となってきている。以下,設定方法等を説明する。
     まずは,Microsoft社のWebページの一つにダウンロードセンターというのがあるので,そこから「Windows Media Encoder7.1」をダウンロードする。ファイル容量は約4.42MBである。次に,ダウンロードしたファイルを展開する。その後は,指示に従って設定を進めていく。
     図1- 1 9の画面になったら,一番上にある「新しいセッションウィザードを使って…」を選択する。今回は,これを選択した場合について説明をする。
  図1-20 次の図1-20の画面では,「オーディオまたはビデオファイルをWindows Mediaファイルに変換する」を選択。他の選択肢に「ライブ放送をする」と「ビデオを取り込む」といったものもあり,無料でありながらも,なかなか便利なソフトウェアであると思う。
 ここで,ライブ放送について少し述べておく。Real Videoもライブ放送ができることについては前述したが,Windows Media Encoderとの大きな違いは,カメラを接続したコンピュータの他にサーバを使うという点である。これに対して,Windows Media Encoderをライブで使用する場合には,カメラを接続したコンピュータがサーバの役割も果たすので,撮影現場にCPUパワーのあるコンピュータと太い回線を用意すればよい。つまり,Windows Media Encoderでライブ放送をする場合,それらを現場に準備をするか,それらのある教室からライブをするか,ということになるわけである。別にサーバを必要とするReal Producerの方が,実際に学校で使うことを考えた場合,有利であると思える。なお,Real Producerだけでは,ライブ放送はできない。1年間無料で使えるReal Server Basicをサーバへインストールする必要がある。サーバのOSとしては,Windows NT/2000 Sever,Linux libc6以上,Solaris 2.6以上が必要となる。
  図1-21
   さて,手順の説明に戻る。図1-21に示すように,変換するファイルと作成するファイルやフォルダを指定する。
  図1-22 今回はWebサーバへアップロードして使うので,下の「Webサーバからストリーム配信する」を選択する。
  図1-23
   保存するファイルの品質を選択する。これ は,Real Videoの時と同様に考える。今回は,Webサーバ用ビデオ(56Kbps)を選択する。
  図1-24 前画面で「次へ」を選択すると,この著作権表示に関する記入画面が現れるので,きちんと記入する。
  図1-25 ファイル生成(エンコード)が始まる。これもReal Videoの場合とほぼ同様である。
  図1-26 終了したら,右上から2つ目の「出力ファイルの表示」ボタンをクリックして,完成したWMVファイルを見る。ねらいどおりにできていれば終了となる。
  図1-27 手直しの必要があれば,左に示す「プロファイルの管理」設定画面で他を選択するか,プロファイルを「新規作成」してみる。
   
 
  1. WMV形式で保存する〜その2(ホームページ・ビルダーV6)
    図1-28 ビデオからの取り込み,編集,フェードイン・アウト,テロップなどWebビデオに必要な機能がすべて入っているのが,ホームページ・ビルダーV6に付属している「ウェブビデオスタジオ」である。これは,WMV形式ばかりでなく,AVI形式やMOV形式(QuickTime)にも変換可能である。
   
E  インターネット上で利用するためのWebページの作成
   完成したビデオファイルをWebサーバへアップロードしたら,ブラウザを使ってそのファイル名をURLで指定してやれば動画が再生され始める。しかし,児童生徒にとって使いやすいものにするためには,Webページ作成用ソフトウェア等で学習ビデオ用のWebページを作成した方が良い。画像ファイルを指定するには,リンクボタンを作る要領で,ジャンプ先をファイル名にするだけである。
   
(4)  今後の課題
   教材は,作成者同士がお互いに作った素材の情報を交換できるネットワークの構築がなければ,作成した教師の授業でしか活用させることができない。せっかくの素晴らしい教材も内輪の利用だけでの,いわば「自己満足」に終わってしまっては,極めて残念なことであると思う。個々の教師が作成した素材などが,校内や地域のネットワーク構築などと同様に,今後,重要で巨大な教材データベースに発展していくことを期待するとともに,そうなるように情報教育の担当者が努力していくべきであると強く感じる。いろいろな地域の児童生徒に活用してもらえたら,本当に素晴らしいことである。海外で暮らす多くの日本の子供たちにも,日本の授業を彷彿とさせるようなビデオを生かしたWeb教材を使ってもらえるように考えていきたいと思う。


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