医療機関等との連携が必要な子どもへの配慮
 
 いろいろな障害のある子どもが,通常の学級で教育を受ける機会が多くなってきています。それだけに医療機関や専門機関の連携も必要になってきています。
   小・中学校及び高等学校で教育を受けている障害児で医療的配慮が必要な子どもがいます。医療との連携で指導の幅が広がった事例について記します。
  (1)  医療との連携
    @  ダウン症児と心臓疾患
       ダウン症児の中には,心臓疾患がある場合があります。その時は運動制限がある場合もあります。保護者から指導する上での医療的配慮事項を聞いておくことが大切です。
   
 医師より「心臓疾患のあるA子さんは,運動中に無理がくると座り込む時があります。それは本人の“怠け”ではなく,心臓に負担が出てきて,体が自動的にブレーキをかけた状態なので無理に追い込まないように…少し休むとまた動き出します。」と注意事項を教えていただきました。
 その情報を他の教師や友達に伝えることで,子どもにとってよい状態で遊んだり,指導したりできるようになりました。
    A  てんかん症状のある子どもと睡眠
       てんかんの症状によっては,水泳や宿泊学習などで特別な配慮が必要な場合があります。発作にもいろいろな特徴があります。保護者から,それらの配慮事項について聞いておきましょう。
   
 抗てんかん薬を服用している子どもの中に,授業中によく眠る子どもがいました。医師に学校の様子を連絡したところ,すぐに薬を調節して下さり,授業中に眠ることもなくなり,学習に集中できるようになりました。
 また,ある成長過程で薬が合わなくなることがあるそうです。そのような時,医師は,学校の様子の情報が大変役立つそうです。
    B  学習障害(LD)と診断
   
 LDの診断は大変難しく,安易に診断できません。文部省では,今後「専門家チーム」で判定する方向です。このチームはまだ組織されていません(平成11年度現在)が,今後,この組織との連携が大切になってきます。
    C  注意欠陥/多動性障害(ADHD)と診断
       多動な子どもの中には,注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもがいます。ある薬で落ち着いてきて,集中力が増すことが分かっています。医師の診断が必要です。早急に医療機関に相談することが必要です。
   
 小学2年生の男子。あまりにも行動が激しく,親も教師もかなり疲れて,本教育研修センターの専門医の相談を受けました。そこで初めてADHDと診断され,病院の治療を受けることになりました。親も今後の指導方法が分かってほっとしていました。
    D  自閉症児と思春期
       自閉症児が思春期頃に脳波にてんかん波が表れることがあります。また,精神的に不安定になって昼夜逆転した生活になることもあり,医師との連携が必要になってきます。
   
 思春期のある時期,子どもが精神的に不安定になり,昼夜逆転した生活になり,学校でも家でもいらいらした状態が続き,眠らなくなりました。保護者も大変疲れきってしまい,教師の勧めで医師と相談しました。薬で安定させてその一時期をのりきりました。
    E  発見の遅れた難聴児
       聴力に障害がある場合,表面に現れないために見過ごされることが多いです。子どもも他の子どもの動きを見ながら瞬時に状況を判断して生活しているので自覚がない場合もあります。
   
 中学1年の女子, 軽度の知的障害があり,普段からあまり話をしません。場面緘黙的傾向も見られました。学校の聴力検査では,指示に反応しないので,知的な問題もあったので,方法が理解できないためと思われていました。しかし,ある時,担任の先生がその子と話をしていた時,その子が首をかしげ,一生懸命に聞こうとするしぐさに気づきました。それで「もしかして,聞こえていないのでは?」と思い,耳鼻科の検査を進めました。その結果,難聴と診断され,補聴器をつけました。その後の子どもの変化は著しく,性格も明るくなり,学習にも集中して取り組むようになりました。


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