【授業研究1】 テレビ会議を通しての3校間交流学習
    岩間町立岩間第一小学校 福田  勇
    玉造町立玉造西小学校 成井 紀英
    結城市立結城小学校 田崎  諭
(1)  テレビ会議のねらい
   3校間でインターネットを使って意見を交換し合うことによってさらに自分たちの考えを深めるとともに,他校の児童の発表を聞くことにより同じ6年生として共通の見方や考え方あるいは自分たちにはない見方や考え方に触れることができる。ふだんの授業では教室という限られた空間の中で,しかも同じ学級の児童同士で学習を進めることになる。「誰々ちゃんは何が得意だ。」 「誰々ちゃんはこんな考えを持っている。」等児童同士がお互いを熟知しており,固定観念を持っているため変化に富んだ授業を展開することがなかなか難しい。インターネットを使うことにより,教室の枠を越えて,あたかも3校間の児童が同じ場所にいるような感覚で授業を進めることができる。インターネットには様々な機能があるが今回はその中の1つNetMeetingを利用した。NetMeetingは,インターネットを利用したテレビ会議システムである。リアルタイムで相手と会話できるため,ディスプレイを通して会議を行うことができる。また,ホワイトボードを用いて絵や文字を相互に書き込むことや画像を貼り付けること,チャットを使った文字による会話などが可能である。今回はこのようなNetMeetingの持つ特性を生かしながら授業を進めていきたい。また,来年度から移行期間ということで実施できる総合的な学習の時間においても,インターネットの活用は大変効果的であると考える。総合的な学習の時間では,児童の興味・関心に基づいて学習が進められていくことが予想される。
 結城小学校では,数年前から総合単元学習等の研究に取り組んでいる。今年度の6年生は,「共に生きるために」という大テーマに基づいて問題解決的な学習を進めている。単元構成として,第1次「地球は今,わたしたちは今」,第2次「共に生きるために−明日をめざして−」の2つの小単元で構成した。
 第1次では,この地球上で共に生きるために,私たちが今抱えている問題を探すところからスタートした。各自の学習テーマ探しで,15もの学習テーマが上がった。児童の興味・関心や自由な発想のもとに学習テーマを決めたので,多方面に活動対象が広がった。このため,これらのテーマについての追求活動においては,情報収集においてインターネットの存在がとても重要になってくる。子どもたちは,各ホームページで情報を収集したり,ホームページ上の掲示板に自分たちが調べていることを掲載し,情報をもらったり,電子メールで各関係機関に質問の手紙を送ったりした。
 第2次では,問題の解決策を考え,実践活動に発展させていく授業を展開してきた。子どもたちは,自分たちの思いや願いをポスターやホームページにして公開していく活動や,ボランティア等の体験などをしてきた。その中の数グループが,自分たちの取り組みを他の小学校の友達にも紹介したいという思いを持っていたので,今回,他の2校と交流学習を行うことにした。
(2)  テレビ会議の利用環境
  《岩間第一小学校》
  図1-1 岩間第一小学校の利用環境  教師用1台のコンピュータがダイヤルアップルータに接続されている。内蔵モデムにより一般回線を利用。ビデオキャプチャーボードにCCDカメラを2台接続した。この2台のカメラを切り替えながら2校へ画像を送った。また,コンピュータ室には児童用コンピュータ20台,教師用1台が設置され,インターネットも使える環境になっている。さらに,どのコンピュータへも画像転送することができるようになっている。しかし,NetMeetingで映し出される画面があまり大きくないので,少しでも大きく相手校の児童の様子がわかるように液晶プロジェクタを使った。スクリーンに画面を大きく映し出すことにして,場所も会議室で行った。
  《玉造西小学校》
    コンピュータ室に,教師用1台,児童用24台のコンピュータがダイヤルアップルータにより接続されている。本時で使用する交流学習用コンピュータは,内蔵モデムによりダイヤルアップ接続をする。画像送信のためにUSBケーブルのCCDカメラを使用。なお,画像転送システムにより,児童用コンピュータのディスプレイに交流している様子を転送する。
  図1-2 玉造西小学校の利用環境(1) 図1-3 玉造西小学校の利用環境(2)
  《結城小学校》
  図1-4 結城小学校の利用環境  コンピュータ室の環境は,Windows95 がインストールされているコンピュータ2台がダイヤルアップ接続(ISDN)されている。台数が少ないため,液晶プロジェクタを使ってスクリーンに映し出した。周辺機器は,デジタルカメラが6台,スキャナ1台である。ビデオキャプチャーボードにビデオカメラを接続し,今回のテレビ会議を実施した。その他,MS−DOS環境パソコンが14台,主な使い方として,クラブ活動でのゲームやお絵かきなどに使っている。学習ソフトも豊富にあり,授業の中でも活用している。キーボード操作が苦手な児童は,ワークシートスキャナで取り込みホームページやメールの添付に活用している。また,コンピュータ室は普通教室を利用し,スタンドアローンで14台設置している。
(3)  授業の実践
   岩間第一小学校と玉造西小学校は国語「今,わたしは,わたしたちは」の中で,結城小学校は総合単元学習「共に生きるために−明日をめざして−」の中で授業を実施した。従って国語として取り組んだ授業の実践記録と総合単元学習として取り組んだ授業実践記録の2つを掲載する。なお,岩間第一小学校と玉造西小学校の学習指導案については,打ち合わせをして同じものとした。
  《国語の授業としての取り組み・・・・岩間第一小学校,玉造西小学校》
   単元名  今,わたしは,わたしたちは
   単元の目標
     様々な話題の中から題材を決め,目的に応じた構成の文章を意欲的に書こうとする。(関心・意欲・態度)
     今の自分を振り返ったり将来のことを想像したりしながら,要旨を明らかにした文章を書くことができる。(表現・言語)
     友達が作成した作品のよさや思い,考えを知ることで,表現することのおもしろさを感じ取り,目的に応じて表現を工夫することができる。(表現・理解)
     書いた文章を読み返して,効果的な叙述になるよう文章を練ることができる。(言語)
   指導計画(10時間取り扱い)
    第1次 作文を書くめあてをもち,題材や表現方法について話し合う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間
    第2次 作文を書くめあてをもち,題材や表現方法について話し合う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間
    第3次 作文をもとに作品をまとめ,発表会を開催する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7時間
 
学  習  活  動 評 価 の 視 点 ・ 方 法
1・2・3  各自が書いた作文をもとに,思いや考えを生かしながら,工夫した作品を作成する。  思いや考えを効果的に表現する方法を用いて,作品を作成することができたか。(作品)
4
(本時)
 他校との交流学習をする。  友達の様々な表現方法からその思いや考えを感じ,自己を振り返ることができたか。(観察・学習カード)
5・6  自分の作品を見直しまとめる。  交流学習で学んだことを,自己の作品に生かすことができたか。(作品)
7  学級発表会を開催する。  自己の作品のよさを的確に紹介するとともに,友人の作品のよさに気付くことができたか。(観察・メモ)
   本時の指導
    (ア)  目 標
       交流校と作品を紹介し合う活動を通して表現や相手の思い,考えに気付くとともに,今の自分や将来の夢をもう一度振り返って考え,表現に生かそうとする意欲を高めることができる。
    (イ)  準備・資料
       交流学習用コンピュータ1台,CCDカメラ,交流学習計画表,学習カード,液晶プロジェクタ(岩間第一小学校),画像転送システム(玉造西小学校)
    (ウ)  展 開
  展 開
  《総合単元学習としての取り組み・・・・結城小学校》
  環境教育を素材にした授業の構想図
   今年度6年生は,「共に生きるために」という総合単元学習を進めている。世界に目を向け,現在自分たちが抱えている問題を追求する活動を通して,地球的課題の解決に取り組む意欲や行動力を育てたいという思いから単元構成をした。
 学習計画の作成においては,テーマに基づいて児童自身が@課題を設定し,A課題を追求し,B実践していくという学習プロセスを重視した。
 児童の興味・関心に基づき課題を設定したので,クラス全体の課題数が15にも及んだ。その内容によってグループを形成し,課題を追求していった。各グループは,書籍,新聞,インターネットのホームページ等を活用したり,各関係機関の専門家に電子メールで問い合わせたりして情報を収集してきた。そして,それらの情報の中から取捨選択をし,自分に必要な情報をまとめ,様々な方法で表現してきた。その中には,ホームページを作成し,自分たちの取り組みを日本中の小学生に紹介しているグループもいた。さらにNetMeetingを活用し,他校との交流学習や共通のテーマをもとにした共同学習などに広げていった。これら一連の活動を通して,子どもに情報活用能力,自分の思いや願いを表現する能力,相手を考えて情報を受信・発信する能力,コミュニケーション能力を身に付けさせることをねらいとしている。
  【調べるの場面】
  図1-5 ホームページ検索の様子  ホームページ検索や電子メールを活用し,自分たちに必要な情報を収集する。
  【たしかめるの場面】
  図1-6 結城小のホームページ  自分たちが調べた課題をホームページにまとめる。
  【ひろげるの場面】
   今まで取り組んできた活動を他校の友達に紹介したり,意見を聞いたりしたいという意見が児童の中からあがった。そこでNetMeetingを使ったテレビ会議を行うことにした。
(4)  授業の結果と考察
   3校での交流学習授業を行っての結果と考察は次の通りである。
  《岩間第一小学校》
  図1-7,1-8  NetMeetingを使って相手の画像を見,音声を聞きながら交流を進めることができた。本時に先立ってそれぞれの学校紹介をNetMeetingを使って実験的に行ったが,その際にはビデオ画像がうまく送れずにチャットやホワイトボードだけを使っての交流となってしまった。それでも他校とリアルタイムで交流できるので児童は大変喜び好評だった。今まではホームページを見たり電子メールを送ったり外部との情報のやり取りはあったが,なんといっても,時を同じくして,共通の課題に取  り組めるすばらしさを実感できたと思われる。
 本時までにNetMeetingを使っての可能性をいろいろ確かめてみたが,ビデオの送受信は1対1でしか行うことができず,当初予定していた1つの学校から残りの2校に画像を送るということはできなかった。そのため3校間で,まず最初に玉造西小学校と結城小学校,次に玉造西小学校と岩間第一小学校,最後に岩間第一小学校と結城小学校というように時間をずらしながら順にテレビ会議を行った。その際,テレビ会議に参加せずに待っている学校は,他の2校の発表に対しての質問や感想をワークシートなどにまとめる時間に当てた。また,同じ発表を2校にするのではなく,テレビ会議で発表する児童と電子メールを使って資料を相手校へ送り発表する児童に分けた。そして電子メールで送られてきた児童の作品を他の2校がテレビ会議を実施している間に紹介した。本時の授業を実施して普段接している以外の友達の意見を聞くことができ,大変勉強になったようである。今回は特に相手の声や姿を見ながら授業を進めることができたので,より身近なものとしてとらえることができた。また,自分たちの声や姿も相手校に届いているということで,児童にとっては,ただそれだけでも感動したようである。
  《玉造西小学校》
  図1-9 テレビ会議の様子  今回の交流学習を実施するに当たって,岩間第一小学校と本校は国語の内容,結城小学校は総合単元学習として実施した。したがって,学習内容は各校の実態に応じたものになったが,「自己の考えを相手に的確に伝える」,「相手の思いや考えを理解する」という点において共通性があった。そこで,「相手に自己の考えを的確に伝えるためにはどうすればよいか」,「相手の思いや考えを知るためにはどのように聞けばよいのか」ということについて学ぶことができたと考える。それは,学習カードに書かれた「要点を絞って発表したところがいい。」,「自分がしたいことを,みんなに広げようとしているところがすごい。」といった児童の言葉からも分かる。
 本時のねらいである「自己の表現に生かす」という点については,授業後,「自分の作品も今回発表した人のように,要点を分かりやすく伝えることができるようにしたい。」や「もう少し絵を付け加えて,私の夢がすぐに分かるようにしたい。」といった感想が聞かれた。これらのことから,交流学習で学んだ表現のよさや自己の考えを効果的に伝える方法を学び,次時において自分の作品を修正していこうとする意欲を高めることができた。
 また,自己の考えだけでなく,相手校の友達が伝えようとしている内容を必死に理解しようとして,画面を食い入るように見つめる姿が見られた。前回のチャット機能を活用した交流から,リアルタイムの映像を見ることができるビデオ機能を使った交流に発展させたことで,児童にとってより相手を意識した学びを成立させることができたと考える。
 一方,本校のような小規模校では,入学時から卒業まで,同じ仲間で学級を編成する場合が多い。その結果,強い仲間意識が生まれる反面,発表会などでは「○○ちゃんはやっぱり上手にまとめるね。」といった固定観念から学習のマンネリ化を生むことも多い。そこで,今回のような他校との交流学習は,児童の学び姿勢を大いに刺激することとなった。
  《結城小学校》
  図1-10,1-11  今回は,総合単元学習での活用が中心となった。グループが今まで研究を進めてきた内容を他の2校に発表した。今まで行ってきた発表会では,聞く相手が,同じクラスや学校に限られていたが,今回は自分たちの発表を他校の友達に発表するということで子どもたちも大変緊張していた。子どもたちは,今まで総合単元学習の中で各自が調べてきたテーマについてまとめたことや,訴えたいことを中心に発表を進めた。インターネットに接続されたコンピュータが2台しかないので,液晶プロジェクタを使ってスクリーンに映像を映し出した。すべての子どもが自分の活動を発表でき,大変満足している様子だった。ただ,時間が限られていたため発表内容は満足できるものではなかったらしい。「今度は,もっと少人数でゆっくり交流したい。」という意見が多かった。
 以上結果と考察を述べてきたが,3校間で交流した授業の様子がより具体的にわかるように,表1-1にタイムテーブル,表1-2 にチャットログを載せておく。なお,チャットログで話のつながりがわかりにくい箇所があると思うが,これは,音声でやり取りをしていてチャットを使っていないためである。
  表1-1 タイムテーブル
  表1-2 チャットログ
発 信 者 時 刻 発   信   内   容
岩間第一小学校 13:11:07 IPアドレスを連絡します。「***.***.***.***」です。
玉造西小学校 13:11:19 IPアドレスは「***.***.***.***」です。
結城小学校 13:39:09 「***.***.***.***」です。
岩間第一小学校 14:10:10 こんにちは。 結城小学校 14:10:15玉造西小さん,岩間一小さんこんにちは。
玉造西小学校 14:10:32 こんにちは。
岩間第一小学校 14:11:03 テレビ会議を始めてください。
玉造西小学校 14:11:18 はいわかりました。
岩間第一小学校 14:21:25 玉造西小学校から画像を送っていただけますか。
岩間第一小学校 14:47:01 結城小学校さん
岩間第一小学校 14:47:10 音があまりよくありません。
岩間第一小学校 14:47:31 ビデオも止まってしまったようです。
岩間第一小学校 14:58:45 画像で送られてきていますのでビデオをいったん切ってください。
結城小学校 14:59:18 無事発表が終わりましたね。感想発表に移りますか。時間は大丈夫ですか。
玉造西小学校 15:00:00 大丈夫です。
岩間第一小学校 15:00:00 簡単に1名くらいずつ発表しましょう。
結城小学校 15:00:07 はい
玉造西小学校 15:00:14 わかりました。
玉造西小学校 15:00:42 岩間第一小学校では,メディアを通して友人を作ると言う自分のいいたいことがはっきりしていました。
結城小学校 15:01:41 I君へ 僕も野球をやっています。将来の夢がよくわかりました。今度ぜひ試合をしましょう。
岩間第一小学校 15:02:15 僕は作文に書かれていることがよくかかれてあってよかったと思います。
玉造西小学校 15:02:15 ぜひやれれば。
玉造西小学校 15:02:44 結城小学校は,自分たちの問題をみんなに呼びかけている所が良かったです。みんなで協力しているところも良かった。
結城小学校 15:03:26 今度また機会があったら交流しましょう。
玉造西小学校 15:03:44 やりましょう。
結城小学校 15:04:24 玉造西小学校,岩間第一小学校のみなさん,さようなら。
玉造西小学校 15:04:39 それではまた。あえることを楽しみにしています。さようなら。
岩間第一小学校 15:04:55 さようなら。
(5)  授業の成果
   相手の様子を見ながら交流することができた。画面の向こうで手を振っている児童,友達同士の話し声などが生のままで伝わってきて,距離は離れているが,今お互いが同じテーマのもとに授業をしているんだなという実感がもてた。また,学校が違うことにより同じ単元を扱うにしても違った切り込み方をしているため,お互いの参考になった。
 この授業を行うまでに事前に取り組んできたこと,さらにはこの研究授業を実施したことによりさらに発展的に取り組んできたこともあるので併せて紹介したい。まず事前に取り組んできたことであるが,3校の児童がお互いを知らない状態でいきなり授業を実施することは難しいので,お互いの学校を理解するところからはじめた。その手始めとして, 3校の児童が自由に意見を述べ合い交流できるように,教育研修センターのサーバに「ふれあい広場」という名称のニュースグループを開設してもらった。ここに学校の紹介記事を載せた。また,9月28日には3つの学校でテレビ会議を行った。このときはあいにくコンピュータの接続がうまくいかず,画像や音声を送ることができなかったが,チャット やホワイトボードを使って交流することができた。リアルタイムで交流ができ,児童は給食の話や学校の人数,さらには今学校ではやっていることなどを文字や絵で表現し合った。授業後の児童の反応を見てみると,どの児童も大喜びで遠く離れた学校と交流できたことに感激していた。それと同時に「相手の顔が見えるといいね。」といった感想も聞かれ た。(児童の感想については玉造西小学校のホームページの中にも載っているので参照されたい。)なお,このときにホワイトボードを使って交流した作品(図1-12〜14)とチャットログの一部(表1-3)を載せたのであわせて参照されたい。
  図1-12〜14
  表1-3 チャットログ
発 信 者 時 刻 発   信   内   容
玉造西小学校 14:41:49 玉造西小学校です。
岩間第一小学校 14:42:54 岩間第一小学校です。僕たちは六年2組です。
玉造西小学校 14:43:10 こんにちはお元気ですか
岩間第一小学校 14:44:06 元気です。給食は何を食べましたか?
結城小学校 14:44:42 結城小学校です。こんにちは。
玉造西小学校 14:44:45 やきそば、
岩間第一小学校 14:44:52 僕たちは、サバのみそにを食べました。
玉造西小学校 14:45:13 おいしかったですか。
岩間第一小学校 14:45:28 おいしかったです。
玉造西小学校 14:45:45 よかったですね。結城小学校はどうでしたか。
結城小学校 14:46:27 結城小学校は、手巻き寿司です。ゼリーもでたよーん。
玉造西小学校 14:46:52 うらやましい。
岩間第一小学校 14:46:58 僕たちは、明日、社会科見学へ行きます。
玉造西小学校 14:47:07 どこへいくんですか。
岩間第一小学校 14:47:52 東京方面に行きます。
玉造西小学校 14:48:00 ホワイトボードで僕たちの学校のことを紹介します。
結城小学校 14:48:17 うらやましいです。僕たちはテストです。算数の対称な図形の。
玉造西小学校 14:50:44 ぼくたちは、立体の勉強がちょうどおわりました。
結城小学校 14:53:34 今度はみんなの顔を見て話したいね。
玉造西小学校 14:57:35 ところで全校児童数は何人ですか。
玉造西小学校 14:58:30 にししょうがっこうは86人です。
岩間第一小学校 14:59:11 僕たちの学校は540人くらいでーす。
結城小学校 14:59:28 結城小学校850人くらいです。
結城小学校 14:59:50 クラス数は24クラスです。
玉造西小学校 14:59:58 たまげた〜!
岩間第一小学校 15:00:31 すげー。
岩間第一小学校 15:01:58 それぞれの学校ではやっていることはなに?
玉造西小学校 15:03:05 男子は野球、女子はあちちおんど。
結城小学校 15:03:08 ズリパン?
岩間第一小学校 15:03:17 今日は何時間で授業がおわりますかー。
結城小学校 15:05:13 そろそろ5時間目の授業が終わりなのでそろそろ退席します。また会いましょう。バイバイ。
岩間第一小学校 15:05:31 また、交流しよーね。さよーなら。退席します。
玉造西小学校 15:05:34 学校の紹介画像を作ったのでニュースグループに送ります。ばいばい。
  図1-15, 1-16  3校交流学習以後もテレビ会議を使っての交流学習をいろいろと試みてみた。まず10月19日に結城小学校と玉造西小学校で交流学習を進めた。3校間では,テレビ会議をするのに1対1でしかできないため,その都度回線を切り替えなければならないといったことがあったので,2校間で実施することにした。
 今回の交流学習は,結城小学校の子どもたちが,自分たちで調べた環境問題について発表し,2校間で話し合うという内容であった。しかし,結城小学校のカメラの状態がよくなかったため,チャット機能を使った交流をすることとなった。
 結城小学校のリサイクルについて調べたグループが,その内容をクイズ形式で出題し,玉造西小学校の子どもたちが答えるという活動に取り組んだ。
 玉造西小学校の子どもたちは,5年生「環境」での学習を想起しながら,クイズに答えることができた。チャットの画面に質問が表示される度に歓声が上がり,楽しく学習を進めることができた。チャットの文字入力は児童が交代で行い,途中「私もやってみたいな。」という子が現れるほど意欲的に取り組む姿が見られた。
 また,クイズの中の分からない言葉や答が違っていたときには「質問」をし,その内容を正しく理解しようとする姿も見られた。前回の交流でも感じたことだが,学級内だけで発表するのではなく,他校の友達が取り組んでいる学習内容について学んだり,自分たちが進めている学習に対して質問を受けたりするという活動は,学習意欲を高めるという点で非常に効果的だと感じた。今後も継続的に交流学習を進めていくことが必要だと感じた。
 今回の結城小学校と玉造西小学校の交流学習は,前回の交流学習の反省から,少人数で行うことにした。チャットを利用し,まず,簡単な挨拶の後,結城小学校から環境問題についてのクイズを出して,それを玉造西小学校の子どもたちが答えるという形式で行った。前回の交流学習と違い,少人数での交流だったので,子どもたちも時間に追われることがなく,のびのびと活動することができた。(表1-4)
 玉造西小学校では,5年生が東京の小学校(西多摩郡瑞穂第三小学校)とNetMeetingを使って交流することになった。この学校は,玉造西小学校から要請をして,交流を続けている学校である。初めのうちは,電子メールや掲示板を利用して交流を進めたが,相手校もNetMeetingを利用できる環境が整ったため,「テレビ会議をやってみよう。」ということになったのである。互いに子ども一人一人がページを作成していたため,ホームページで自分にあった相手を捜し,電子メールを交換してきた。つまり,個人間の交流である。その発展として,相手校の2人がテレビ会議をする玉造西小学校の子どもを指名して,1対1の交流を行った。
  表1-4 チャットログ
発 信 者 時 刻 発   信   内   容
結城小学校 13:20:59 こんにちわ自己紹介をします。SですNですKですMですよろしくお願いします。
玉造西小学校 13:21:41 こんにちは
結城小学校 13:22:38 僕たちは,ゴミ問題について調べています特にリサイクルについて調べています。
玉造西小学校 13:23:27 はい。
結城小学校 13:23:49 そのなかからクイズを出します。まずは,第一問。 リターナブルびんとは洗って再利用できるびんである○か,×か。
玉造西小学校 13:25:38
結城小学校 13:25:56 正解は,○です。
玉造西小学校 13:26:07 やったー
結城小学校 13:26:28 すごいですね。
玉造西小学校 13:26:48 すごいでしょう。
結城小学校 13:27:06 続いて第二問,平成元年のゴミの量は平成5年のゴミの量より少ない○か,×か
玉造西小学校 13:27:46 ×
結城小学校 13:27:56 正解は×です。 第三問
玉造西小学校 13:28:27 やったね!
結城小学校 13:28:43 リサイクルでのスチールカン,アルミかんは,そのまま再生工場に送られる○か,×か
玉造西小学校 13:29:08 ×
結城小学校 13:29:22 正解は○です。
玉造西小学校 13:29:36 くやしーなー
結城小学校 13:29:53 第四問,びんのゴミの出し方は,@きれいにして洗うAそして出す,○か,×か
玉造西小学校 13:31:21 ×3人,○20人でした。
結城小学校 13:31:28 正解は,×です。
玉造西小学校 13:32:04 じゃあどうやってだすの?
結城小学校 13:34:01 キャップをはずすんだよ。
玉造西小学校 13:34:26 しっているよー
結城小学校 13:35:03 第五問,スチールかんは,電炉メーカーに,送られる,○か,×か
玉造西小学校 13:36:08 電炉メーカーとはなんですか。
結城小学校 13:38:02 つぶしたスチールかんを電気の熱でとかすところです。
玉造西小学校 13:38:48 わかりました。こたえは○です。
結城小学校 13:38:51 正解は○です。
結城小学校 13:39:57 ありがとうございまいした。
玉造西小学校 13:40:36 ありがとうございました。また,交流しましょう。
結城小学校 13:41:36 はい,よろしくお願いいたします。
玉造西小学校 13:41:47 それでは退席します。
結城小学校 13:42:01 はい,ありがとうございました。
  図1-17 テレビ会議の様子  交流の内容は,送られてきた画像に見えるお互いの「宝物」が何であるかを予想し合い,その宝物について質問をしたり,相手の趣味や学級の様子を尋ねたりした。他の子どもたちは,転送されてくる画面で交流している様子を見ながら,直接交流をしている友達に「○○のことを質問してみてよ。」とアドバイスをしたり,「これって何だろう。」(相手の宝物を見て)といった声をあげるなど,テレビ会議に対して興味をもって活動することができた。
 今回は県外の学校との交流を行ったこともあり,事前の打ち合わせが不足していたため多少予定と違ってしまった場面もあった。しかし,子どもたちはそのことに臆することなく,状況に応じて対応することができた。改めて,子どもの順応性の高さに感心させられた。音声については多少聞き取りにくい場面もあったが,話をするときに画像の送信を止めることでその問題を解決することができた。画像は解像度を下げたため決して見やすいとは言えなかったが,カメラに近づけば表情を伺い知ることができた。距離の離れた学校とでも順調に交流学習を進めることができた。
 一方,会話をする中で,相手にできるだけ合わせようとする子どもの様子が伺えた。毎日の何気ない会話の中では感じられなかった相手への気遣いを,今回の交流学習において表現することができた。このことは,交流学習が相手の気持ちを考えた会話をしようとする意識を高めるよい機会になることを示している。さらに,交流の回数を重ねていくことによって,相手を尊重しながらうち解けていくことの素晴らしさを感じ取らせていきたいと考える。
 授業の終わりには,「次は誰がやるのかなあ。」「今度は僕がやってみたい。」という声も聞かれた。次回は,今回とはちがう子ども同士で交流をする予定である。
 玉造西小学校では,2年生も2学期から長野県の小学校と交流を始めている。相手校の先生が本校ホームページ「牛乳パック筏の作り方」を見て,その詳細について電子メールで情報交換をしてきたことがきっかけであった。その後,相手校が牛乳パック筏作りに挑戦し,その結果を児童の手紙と写真とともに郵送してきたことから,玉造西小学校からも相手校に手紙を郵送し,交流学習が活発となっている。その中で,「電子メールやテレビ電話で交流したい。」という児童の声が聞かれた。このような場合,相手校のコンピュータ環境が問題となり,残念ながら現状ではテレビ会議での交流をすることは難しそうである。しかし,平成13年までに全国の小・中学校がインターネットに接続できる環境になることを考えると,CCDカメラさえ接続すればテレビ会議ができるNetMeetingを活用していくことは,広い視野からの学習を可能にするのではないかと感じている。
 また,ノートパソコンや無線LANを導入し,イントラネット上でNetMeetingを活用していくことも考えられる。例えば,生活科における「学校探検」では,他のグループとの情報交換に活用することで幅のある学習ができるであろうし,地域の学習では取材先からNetMeetingを利用して学習の共有化を促進することができると考えられる。各校のコンピュータ環境次第ではあるが,新しいことに挑戦していくことで様々な学びの可能性を発見することができると考える。
 一方,テレビ会議を使った学習の問題点として,「テレビ会議を通して何を学ばせるのか。」ということがあげられる。いつ・どのように・何を学ばせるのかをはっきりさせないまま,ただ単に「楽しそうだから」ということでテレビ会議を行うとすれば,本当に生き生きとした学びにはならない。どのような効果を期待するのか,どのように発展させていきたいのかを考えていく必要がある。その上で,交流校同士がテレビ会議を通して,学びの共同体としての機能をもつようになれば,テレビ会議が日常的に利用されると考えられる。例えば,授業で様々な意見が出されたときに,「○○小学校の人に聞いてみよう。」という児童の声が自然に出るようになれば,本当の意味での交流学習を成立させることになるだろう。したがって,今後は,テレビ会議が学習の一方法として定着できるような,交流学習の在り方を考えていく必要がある。
 以上が3校間の交流学習の成果と,その後に取り組んだ交流学習の成果である。
(6)  今後の課題
   ハード的な面で問題が残った。玉造西小学校と岩間第一小学校とのテレビ会議では音声もはっきり聞こえ画像もお互いしっかり見ることができた。だが,結城小学校と岩間第一小学校とのテレビ会議では,最初は画像も音声もしっかりと送られてきていたのだが,途中で画面がフリーズしてしまい音声も聞きづらくなってしまうなどの問題が発生した。動画を扱うためには64MBのメモリではきついようである。またアナログ回線を使っていることも転送効率を悪くしている原因の1つかもしれない。しかし,これらの問題については,コンピュータの処理能力や光ファイバー等を使った情報伝達網の向上,さらにはソフトウェアなども改良が加えられることにより,今後ますます条件が整備され近い将来問題は解決されるであろう。
 3校間でテレビ会議を実施する際に苦労した点は打ち合わせの持ち方である。「どの単元で授業をしたらよいか。」「指導案をどうするか。」「3校とも授業の開始時刻が違うので始まりと終わりの時刻をどうするか。」「発表をどのような形で持ち時間をどのくらい使うのか。」など打ち合わせなければならないことがたくさんあった。電子メールを使ったり,電話やファックスなども使った。打ち合わせの段階からテレビ会議が使え,相手の顔を見ながら相談できればよかったのだが,現状ではまだそこまではむずかしい。1つの学校内で授業をするなら簡単に打ち合わせもできるが,学校が離れているとそう簡単に打ち合わせもできない。今後事前の打ち合わせの持ち方も検討する必要がある。
 タイムテーブルを作り授業を進めたが,実際に授業が始まってしまうと,相手校に接続するのに時間がかかってしまったり,児童の発表に予定していた以上の時間がかかってしまうなどいろいろなずれが重なってしまった。その間,残りの1校は時刻を見ながら待っているのだが,予定の時刻になっても接続できずどうしたのかと,とまどってしまった。タイムテーブルの予定時刻とずれが生じた場合にどうするか,事前に考えておく必要があった。
 今回は,テレビ会議を中心に研究を進めてきたが,テレビ会議で授業を行うに当たっては上述したように,コンピュータ環境,インターネット環境に大きく左右される。また,学校によっては,ビデオキャプチャーボードやビデオカメラがない場合もある。しかし,チャットやホワイトボードを使っての交流学習は,ビデオ機器を接続する必要がなく,Windows95/98が導入されインターネットに接続されていればできるので,どの学校でも気軽に取り組めると思う。また,今後は,授業での活用だけでなく,クラブや休み時間等を使っての交流も積極的に行っていきたいと思う。

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