刊行にあたって


 このたび,本研修センターの研究事業のひとつとして,教職教育課が中心に取り組んできたこれからの教育課程の在り方に関する研究の研究報告書が刊行の運びとなりました。
 本研修センターでは,教職員の資質向上のために各種の研修講座を実施しているところですが,それらと並んで教育に関する専門的,技術的研究を進め,学校の抱える教育課題を明らかにして県内の学校教育推進に資するための取り組みを続けております。
 これからの教育課程の在り方に関する研究は,平成10年度から2か年にわたって進めてきました。この研究事業を策定したのは平成9年度後半期でした。時あたかも,教育改革の必要性が唱えられ,中央教育審議会で「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の答申(平成8年7月19日「第1次答申」,平成9年6月26日「第2次答申」)が相次いで出されるなど,教育界においてもバラダイムの転換が迫られる事態となっておりました。そうした時代の要請に応え,21世紀の学校に相応しい教育課程づくりを目指してこの研究を開始しました。  教育課程は学校の教育計画でありますので,本研修センターを挙げての取り組みとなったのは当然でありますが,県教育庁義務教育課,高校教育課,保健体育課の協力も得て研究を進めてきました。
 その間,平成10年度には新学習指導要領が告示され,平成12年度から,教育課程移行期に入ります。平成14年度からの完全学校週5日制実施に合わせて,「ゆとり」の中で「生きる力」の育成を目指し,教育内容の厳選や「総合的な学習の時間」の新設など,新たな学校づくりへの取り組みが急がれる状況になっております。しかも,これからの学校には,地域や各学校の児童生徒の実態に応じた教育課程編成への取り組みがより一層求められています。今,各学校に期待されることは,思い切った発想の転換と,一人一人を大切にした創意と活力のある学校教育の展開です。この研究の成果を県内小・中学校,高等学校の創造的な取り組みと教育活動改善に積極的に活用していだだきたいと願っております。
 最後に,この研究の理論面を担当していただいた講師の先生方や研究実践に取り組まれた研究協力員の先生方にお礼を申し上げ,研究報告書刊行のあいさつといたします。

 平成12年3月
茨城県教育研修センター所長  秋山和衛


[目次へ]