第12 これからの教育課程の在り方/中学校
   
 教育課程全体で「生きる力」を育てる
   「生きる力」を育てる要の時間として「総合的な学習の時間」が位置付けられているが,「総合的な学習の時間」だけで育てていくのではなく,教育課程全体で「生きる力」を育てるという視点に立つこと。その上で,各学校の課題の整理,解決すべき問題は何か,生徒のどんな点をさらに伸ばしたいかなど,これらを教育課程編成の中にどう反映させていくかの視点からとらえていきたい。
   
 「総合的な学習の時間」の実践的課題を探る
   各学校が学校を取りまく地域やその環境,生徒の実態等を踏まえたところから構想を練り上げていくこと。このことはこれからの「総合的な学習の時間」の構想にあたっての視点として大切にしたい。また,総合的な学習の実践にあたっては,これまで積み上げてきた活動や学校・地域の実態,生徒の実態をもとに,具体的な学習目標や活動内容を決め,例えばショートの活動プログラム編成をして実践し,その中から実践的課題を見出していくような一つ一つの活動の積み重ねをしていきたい。
   
 一人一人のよさを認め,自己評価の力を高める
   総合的な学習の時間を通して,特に「生きる力」についてどのような観点から,どのような方法で評価していくのか。「総合的な学習の時間」にそれぞれの課題に取り組んでいく中で,生徒自身が,この問題について自分はこう考えるといった振り返りや自分の生き方との関係で考えることを大切にしたい。この意味で,一人一人のよさを認め,自信につなげていくような学習にしたい。また,こうした学習の振り返りが生かされていくような評価の在り方や生徒自身による自己評価,相互評価ができる力をはぐくむなど,活動や学習の過程を大切にした評価の在り方を探っていきたい。
   
 選択教科の在り方を見直す
   自ら学び自ら考える力の育成,個性を生かす教育の充実を図ることと合わせ「基礎的・基本的な内容の確実な定着」を図ることが強く求められている。必修教科においては,繰り返し指導したり個に応じた指導を工夫することにより,生徒一人一人に基礎的・基本的な内容の確実な定着を図る必要がある。このことに対応するように選択教科でも補充的な学習や発展的な学習が例示された。ここに必修教科と選択教科との関連も見えてくるように思う。また,選択履修の幅の拡大の趣旨を踏まえ,これまで選択教科が積み上げてきた実績を踏まえながら,本来の選択教科の在り方について考えていきたい。これまで通りの進め方でできるのか,改善する点は何かなど,各学校での見直しをこの移行期間中にぜひ進めていきたい。
   
 生徒が主体的に学べる教育への転換を図る
   指導観,学習観を「学び」の主体である生徒の視点から見直していくことが求められている。自ら学び自ら考える教育への転換をどう進めていくかである。生徒の自ら学ぶ意欲を育てるためにも,作業的・体験的な活動,問題解決的な学習や興味・関心等に応じた学習,個別指導やグループ別指導などの個に応じた指導の充実など生徒が主体的に学べる教育への質的転換を図ることが大きな課題である。そのためにも,教科間の連携,あるいは教師間の多様な連携の在り方を含めた学習指導の工夫改善をしていきたい。


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