新教育課程の豊かな展開を目指した職員研修の取り組み
― 個人研修を軸として校内研修に取り組むS中学校の事例 ―
 研究のねらい
   新教育課程の豊かな展開のために,教師自身の意識改善を図るとともに,生徒自身が自ら課題を見付け,学び,考える学び方を充実させること。
   
 基本的な考え方
   新教育課程の豊かな実現のためには,教師自身の意識の変容が最重要課題と考える。この ことなしには,せっかくの計画も砂上の楼閣に終わってしまうのではないか。
 そこで,今年度は,これからの生徒に求められる「自ら課題をみつけ,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力」を教師自身が求めていく研修にすることが,移行前の課題ではないかと考え,一人一人の教師が課題を見付け,解決する個人研修を軸として職員研修を推進した。個人研究はそれぞれの教師が得意とする分野だが,研究協議で話し合う内容は個人レベルの枠を越え,全教育活動を見通す力が必要となってくる。自分の教科には関係ないと思われた教科から気付くこと,学ぶこと,取り入れてみたいこと が次々と見えてくるはずである。そのことが,新教育課程の豊かな実現の基盤になるのでは ないかと考えた。
  (1)  研究の内容
     一人一人が学ぶことの楽しさを感じられる授業改善
     感動ある生徒主体の生徒会活動,学校行事改善による学校づくり
     新教育課程の編成の在り方についての実践的研究
  (2)  研究の方法
     個人テーマを設定し,個人研究を推進し,教師自身が新しい学力観にたった学び方を体験する。
     職員研修から,学び合い,共有化を図る。
共有化システム 新教育課程実施
   
 学校・地域の実態
   田園の広がる環境の中で,生徒は素直で,日々の生活や学習に生き生きと取り組んでいる。勤労意欲が高く,各行事,生徒会活動も自治的であり,いろいろなアイディアを出し合いながら,組織的に活動する面が見られる。
 保護者は学校に対する関心も高く,「感性」という学校経営目標をPTAとして受け止め,バザーを実施。生徒の憩いの場としての「リフレッシュの森」の造営を実現させるなど,行動力があり,協力的なPTA活動を展開している。
   
 具体的な工夫
  (1)  個人研究の推進による教師自身の意識改革
     新教育課程を見据えた個人研究テーマの設定(各教科,道徳及び特別活動)
     個人研究テーマ具現化のための構想づくり
     日常実践による授業改善と実践レポート作成による授業の振り返り,構想改善
  (2)  お互いの実践からの学び合いと共有化による教師の意識改革
     相互理解を図るための,個人研究テーマ及び構想についての協議会
     実践報告会による個人の実践および各教科の特性,関連性についての共通理解
       実践レポート,グループ報告会の実施(1学期の校内研修)
     内部講師による校内研修の推進と個人授業へのフィードバック
      (俳句)「名月や池をめぐりて夜もすがら」の指導法の工夫
模擬授業 教師役 K教諭(国語) → 生徒役 全職員(国語授業体験)
      道徳の新しい指導法について
模擬授業 教師役 S教諭(道徳) → 生徒役 全職員(道徳授業体験)
     相互授業参観による教科を越えた指導法の共有化
      道徳の新しい指導法の研修後,各教科へのフイードバックを図る
      授業公開ウィークの実施(他教科,他学年授業の相互参観)
      授業公開ウィーク実施後の協議(相互参観についてのフリートーク)
     訪問指導及び外部講師の積極的な活用(校内研修に取り込んだ訪問指導)
     合科,T・T,ゲストティーチャー等の積極的導入
      体育授業 美術教諭(前任校バトミントン顧問)→3年女子バトミントン実技講師
      国語授業 理科教諭 パソコン操作 →調べて報告する グラフづくりの講師
   
 評価の工夫
  (1)  個人テーマの設定と具現化のための構想は,定期的に実施した校内研修で授業実践を振り返り,構想の再検討を行っている。
  (2)  共有化を図る取り組みに関しては,相互参観において授業のポイントを全職員に配布し,参観者は授業についてのコメントを書くという形式をとった。
 個人及び相互に自己を振り返り,見直し,改善するというサイクルをとっている。
   
 成果と今後の課題
  (1)  個人研究推進及び共有化による教師の変容
     思い切った授業のアイディア,既成の指導法についての大幅な改善が図れた。
     他教科の特質を自己の教科に生かし,教科,学年の関連で授業を考えられ,今後,取りくむ「総合的な学習の時間」の豊かな展開のために貴重な財産になった。
     自ら課題を見付け,解決することの大切さを教師自身が体験したことは,今後の指導に生かされる貴重な研修になった。
  (2)  生徒の変容
     課題の設定,調べ方,まとめ方,伝え方等の学習の仕方が身に付き,学習に生かされてきた。
     習課題の解決の手段として,機器,参考図書,別教科の教師等の活用法を知り,今までの固定観念にとらわれない学習に対する意識が芽生えてきた。
  (3)  今後の課題
     各教科での具体的な取り組みを推進,継続し,生徒一人一人の学ぶ力の定着を図る。
     新教育課程の実施,「総合的な学習の時間」に対応できるような資料,関連環境の整備に努める。


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