総合的な学習を支援する教育課程の整備
―基礎的・基本的な内容の充実を図るK小学校の事例―
 研究のねらい
   新教育課程の実施に向け,基礎的・基本的な内容の充実と「総合的な学習の時間」の設定の在り方を研究し,移行期間中の諸計画・準備の概要を整える。
   
 基本的な考え方
  (1)  基礎的・基本的な学習と「総合的な学習の時間」を重点的に研究する。
  (2)  これまでの実践を生かし「総合的な学習の時間」のもとに再構成する。
  (3)  児童の実態に即した実践と評価によりその改善を進める。
   
 学校・地域の実態
   本校は明治7年創立の伝統校で,地域や保護者の多くは本校の出身者である。そのため,学校への思いは熱く,様々な活動において協力的である。児童数は200人を越える程度で特殊学級を含めて10学級である。校舎の3階にある図書館からは太平洋が一望でき,砂の造形や砂浜での持久走大会なども実施している。保護者の大半は会社員であるが,農業を兼ねている家族も少なくはない。畑作が中心で,メロンやイチゴのハウス栽培も盛んである。また,健康づくりをモットーにした村行政により,健康に関する施設や行事にも力が注がれており,ポニー体験学習など児童の参加する機会も多い。児童たちは明るく素直で,学年の上下を感じさせない仲の良さがある。登下校時や縦割り活動においても下級生の面倒をよくみる上級生の姿を多く見ることができる。課題としては表現力の乏しさと人前での消極さがあげられる。そのため,平成9・10年度は特別活動を,平成11年度は図画工作を校内研究に掲げ,その解決に努めてきてきた。また,本校は完全ノーチャイムを実施している。
   
 具体的な工夫
   現在,新しい教育課程実施に向けて必要とされる事項の研修をすすめている。総合的な学習については職員による校内発表会を設けたり,児童の意識調査,試行的学習を行ったりしている。これらを踏まえて移行期1年次は,基礎的・基本的な内容の定着と「総合的な学習の時間」の設置を重点的にすすめる予定である。
  (1)  基礎的・基本的な学習と「総合的な学習の時間」の特設
     国語の学習を移行措置にそって実施する。それによって生み出される時間を基礎的・基本的な学習の時間と「総合的な学習の時間」に当てる。なお,「総合的な学習の時間」はクラブを時数減にして生まれる時間と合わせ設定し,この2つの時間を特設する。
     国語の基礎的・基本的な学習を独立して設定する。毎週1時間。
     総合的な学習は調べ学習等が競合しないように学年別に短期集中して行う。
     クラブ活動は月1回2時間ずつ計22時間実施する。(現行からの差し引き13時間を「総合的な学習の時間」へ加える。)
 
学年 現行 基礎的・基本的な学習への時数振り分け 週時数 「総合的な学習の時間」
1年 306 単元272(8)と基礎34(1) 9時間 ―― ――
2年 315 単元280(8)と基礎35(1) 9時間 ―― ――
3年 280 単元235+総合10=245(7)と基礎35(1) 8時間 ―― 10
4年 280 単元235+総合10=245(7)と基礎35(1) 8時間 クラブから13 23
5年 210 単元175(5)と単元5+基礎20+総合10=35(1) 6時間 クラブから13 23
6年 210 単元175(5)と基礎25+総合10=35(1) 6時間 クラブから13 23
  (2)  基礎的・基本的な学習の時間の内容
     ここでは,現行指導要領の国語の言語事項に関して,主として@表記に関する事項,A語句に関する事項,B文及び文章の構成に関する事項,C言葉遣いに関する事項を扱い,表現する力,とりわけ作文力の向上を図る。
  (3)  総合的な学習を支援する内容
     総合的な学習を進めるにあたり,児童の学習意欲を喚起し,調べられる(情報収集),考えられる(情報処理),表現できる(情報表現)環境や支援活動を整えていくことが望まれる。これまでの本校での実践活動を生かしながら次の視点でこの整備にあたる。
 



○ 学校図書館の充実
・フロアを絨毯にし多目的化
・調べ学習用図書の充実
・コンピュータ室を隣接
○ 情報のネット化
・村情報センターの設置と人材・施設バンク
・村内小中学校のホームページ開設
・校内LANの活用と学習Webの作成



○ 生き物の飼育や育成を通して自然への興味・関心を喚起
・「メダカの分校」=メダカやタナゴなどの身近な魚の学級での飼育
・「この木何の木」=校内の植物の科目内容の明記
・「草花コーナー」=地域に自生する草花の写真や押し花などをクイズ化して掲示
・「私たちの花壇」=学級ごとに工夫した花壇経営



○ 教科の学習内容を通して身に付けていきたい事項
国語=適切な言語理解  社会=情報の収集力
算数=数値による比較力 理科=仮説検証的な考え方
音楽=主題を表現する力 図工=思いや願いを表現する力
家庭=生活向上への関心 体育=健康づくりへの関心
○ 特別活動を通して
・縦割り活動による児童主体の学校行事
・合唱や作品展示による文化祭
○ 学習計画(単元)の見直し
現行の指導計画より単元を抽出,基礎・基本,主体的学習を意識した計画表の作成
   
 評価の工夫
   これまでの実践を総合的な学習として再構成し,新たに支援計画としてまとめていくために次の10の評価の視点を考えた。
 
@ゆとりはあるか。 A弾力的に対応できるか。 B学習に系統性があるか。
C基礎・基本が明確か。 D内容は厳選されているか。 E創意工夫を促しているか。
F自ら学び考え判断する活動内容か。 G自分のことばで表現する力は養えたか。 ―――――
H基礎・基本は定着したか。 I総合的な学習との関連はどうか。 ―――――
   
 成果と今後の課題
  (1)  情報センターとしての学校図書館は,絨毯敷きにし,多目的な利用を図るとともに定期的な読書タイムの導入によって,児童にとって身近な存在となった。
  (2)  研修を重ねることにより,学習形態の工夫や表現の工夫が見られるようになった。
  (3)  総合的な学習についての学年に応じたガイダンスをどのようにすすめるか。


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