教育におけるインターネット利用の有効性 - 茨城県教育研修センター
  1. インターネットを授業に導入することでの変化(質問項目G−3)
     インターネットを授業に導入することで,授業がどのように変化したのかを,主なものについてまとめたのが表2−17である。

    表2−17        (数値は回答数を表す)
    分類項目 小学校 中学校 高等学校 特殊教育諸学校
    新しい豊富な情報の利用 33 3 0 0
    興味,関心,意欲の高まり 13 5 4 0
    自主的,自発的,主体的な学習 9 2 4 1
    視野の広がり(他地域,世界) 3 1 0 0
    授業形態の多様化 3 2 0 0
    地域差,学校差の解消 2 0 0 0
    交流活動 3 2 4 0
    コンピュータの活用が増えた 0 0 1 1

     授業で使用していると回答のあった学校は,小学校96校,中学校32校,高等学校29校,特珠教育譜学校6校,合計163校である。その中で授業が変化したとの回答は,小学校89校,中学校は26校,高等学校26校,特殊教育譜学校3校,合計144校から寄せられた。以上から,インターネットを授業に導入している学校の中で,導入した結果授業が変わったと答えている学校は,小学校93%,中学校81%,高等学校90%,特珠教育譜学校50%,全体で88%である。授業が変化したとの回答のない学校の多くは,授業で使い始めたばかりで回答できないと述べられていた。
     表2−17を見ると,小学校で「新しい豊富な情報の利用」という回答が特に多いことが分かる。図3−1によれば,小学校では,社会科での活用がいちばん多く,また,調べ学習の中で利用していることがわかる。これらのことから,小学校では,インターネットを情報収集の手段として活用している場合が多いとわかった。
     全校種ともに見られた回答に「興味,関心,意欲の高まり」と「自主的,自発的,主体的な学習」がある。これは,授業にインターネットを活用しようとするとき,児童生徒の主体的な問題解決学習として展開できるよう工夫していることにほかならない。また,そのような授業構成の中にこそインターネットの活用の場があるとも考えられる。
     表2−17には,取り上げなかったが,他にも「グローバルな視点」「多様な授業形態」「多様な学習活動」「教師の意識の変容」などプラス面の回答が多かった。また,少数ではあるが,「教材研究に時間がかかる」「教師にコーディネータの役割が求められる」などの回答もあった。
     インターネットを授業に活用することで,様々な利点があることはわかった。しかし,授業の中で活用していない学校が33%あった。そこで,インターネットを授業で活用している学校と活用していない学校を比較することにした。
     はじめに,接続台数と授業の関係を見ることにする。インターネットに1台しか接続していない学校は小学校で67校あった。このうち授業に活用している学校は40校あり,60%である。2台以上接続している学校は,小学校で72校あった。このうち授業に活用している学校は56校あり,78%である。以上から,接続台数が多くても授業に活用していない学校があり,1台しか接続されていなくても授業に活用している学校があるとわかった,このことは,接続台数が1台でも授業で活用することができることを結論づける。  台数が問題でないとすると,なぜ授業に活用しないのだろうか。そこで,次に,操作できる教員の割合を見ることにした。インターネットを授業で活用している学校では,操作できる教諭の割合は41%である。これは,各学校の操作できる教諭数の合計と全教諭数の合計とから求めたものである。同様に,授業で活用していない学校では,操作のできる教諭の割合は26%である。以上から,授業で活用している学校の方が,操作できる教員の割合が高いことがわかった。したがうて,授業での活用を推進するためには,インターネットの操作に閑する研修を実施するなどして操作できる教諭を増やす必要があると考えられる。

  2. インターネットを導入することでの児童生徒の変容(質問項目G−4)
     インターネットを導入することで,児童生徒はどのように変容したのか,主なものをまとめたのが表2−18である。

    表2−18        (数値は回答数を表す)
    分類項目 小学校 中学校 高等学校 特殊教育諸学校
    興味,関心,意欲の高まり 12 4 6 3
    自主的,自発的,主体的な学習 0 3 4 1
    視野の広がり(他地域,世界) 5 1 0 1
    交流ができた,その楽しさを知った 7 2 2 0
    相手を意識,相手の立場を考える 3 0 0 0
    情報活用能力の向上 12 5 2 1
    表現する技法を身につけた 2 0 1 0
    個人差の拡大 0 2 0 0

     回答は,すべて、授業で利用していると答えた学校より寄せられた。寄せられた回答の主な内容を表2−18にまとめた。回答のほとんどは,授業に導入した結果としての児童生徒の変容が述べられていた。表2−18より,インターネットを導入した結果,「興味,関心,意欲の高まりが見られた」「自主的,自発的,主体的な学習が展開できた」「情報活用能力の向上が図られた」などの回答が多く,全校種からあげられている。
     また,同様の内容が,質問項目G−3の回答の授業の変化の回答でもあげられている。しかし,質問項目G−3で回答した学校と質問項目G−4で回答した学校は重複していない。従って,「興味,閑心,意欲の高まり」をあげている学校敷は,表2−17と表2−18の該当する学校数を合計した47校となり,「自主的,自発的,主体的な学習」をあげている学校は24校とな。以上から,インターネットを授業に導入することで,生徒の興味,関心,意欲が高まったり,自主的,自発的,主体的な学習が展開できるとわかった。
     次に多かった回答は,「交流ができた,その楽しさを知った」である。特に小学校の小規模校の回答が目立った,「交流することによって引っ込み思案がなくなり積極的に表現しようとする態度が見られるようになった」「相手の立場や気持ちを考えられるようになり,他人と関わろうとする気持ちが増してきた」など変容のようすも回答されている。
     ここで学校規模についてふれると,質問項目G−3とG−4に回答のあった小学校89校のうち28校が1学年1クラスずつの小規模校である。
     また,これらの小規模校では,学校外との交流を行っている学校が多いが,行っていない学校は,交流をしたいと考えている。,交流の相手としては,国内の小学校を希望している学校がほとんどである。
     小学校の小規模校について,もう一点述べると,インターネットを操作できる教諭の割合も60%と平均以上であることがわかる。
     回答の中には少数ではあるが,次のような記述が見られた。
    • 学習の深まりが課題である。
    • 情報の信頼性や適時性を検討する必要がある。
    • 疑似体験で体験した気分になってしまう。
    • 興味本位にはしってしまう。
    • 教員の力量が問われる。
    • 学習が広がりすぎて課題からそれていく子への指導をどうするか。
    • 地道な調査活動を怠る傾向がある。
    • 検索を続けるうちに課題を見失う児童がいる。
    • 電子メールのマナーについて指導が必要である。
     これらの回答をいただいた学校では,インターネットが授業に定着しつつあり,より効果的,効率的な活用をめざしていることがわかる。

  3. プロジェクトについて(質問項目G−5)
    (1) 過去に参加したプロジェクト
     表2−19は,過去に参加したプロジェクトである。参加校数は,プロジェクトに参加しているすべての学校数である。
    表2−19        (数値は学校数を表す)
    プロジェクト名 主な内容 参加校数 主催者
    全国発芽マップ96 綿の種を全国に植えて情報交換 約20 教育大附属小学校
    NOx調査 世界の子どもたちが行う環境調査学校の3個所でNOxの調査をし,それをまとめて地球規模で大気汚染の状況を調べる 1200 こねっとプラン
    川と海の自然度調査 川と海の自然を決まった指標により調査する 不明 こねっとワールド
    総理大臣と語ろう TV会議を通して総理大臣と語り合う    
    バーチャルクラスルーム 日本の学校1校と海外の2校が一組になってインターネット上に仮想教室をつくり共同のテーマで3校が協力して活動してきた 150 AT&T
    ワールドスクール 科学者が北極横断の情報をインターネットで流す 世界
    200
    ワールドスクール
    エラトステネス協同実験 地球の直径を日本各地からの観測によって割り出す 10 山形県教育センター
    特殊教育におけるインターネットを利用した情報教育の研究 ホームページの作成・公開,養護メーリングリスト,パソコンTV会議システムによるパソコン交流会 2 山形県教育委員会
    WIDE,香川大学 テレビカメラのPCによるリモートコントロール,PCテレビ会議システム利用   WIDE

    (2) 現在参加しているプロジェクト
    表2−20        (数値は学校数を表す)
    プロジェクト 主な内容
    Globe計画 地球規模の環境観測
    NOx調査 空気の窒素漁度を調べる
    WSJ97 アドベンチャー・ラーニングを取り入れた交流学習
    インターネットの教育利用に関する調査研究 インターネットの実験運用,学校での活用に関する調査,規範ガイドラインの検討
    うめ・こまち 生活の中の「不思議」について質問し.大学生が回答してくれる。
    海外日本人学校  
    古代米プロジェクト 同一の古代米を同時期に植え.甘耶上で様子を発信し,交流する。
    障害者に使用しやすいパソコン入力装置 マウスに変わるスイッチの製作,北陸先端科学技術大学院大学との専用線接続にてインターネットの活用方法に閑して
    各地の人々の暮らし  
    全国こども千羽鶴大作戦 折り鶴づくり
    全国発芽マップ97 ケナフと言う植物を全国各地で育てその成長の様子を調べる。
    チャレンジキッズ 特殊教育譜学校・学級のインターネット利用
    福井イントラネット 学校教育におけるマルチメディア通信ネットワーク利用についての実践研究
    マルチメディア国際交流推進指定校 インターネットとマルチメディアを活用した国際理解
    メディアキッズ インターネットの教育的な利用の模索/TD>
    ローランドハーモニープロジェクト DTMを使った音楽の交流
    飛騨.美浪ほほえみ交流推進事業 各地区のくらしの様子等の紹介交流


    (2) どこかで主催してほしいプロジェクト
    表2−21        (数値は学校数を表す)
    プロジェクト 主な内容
    外国の小中学校との交流 近くの中高の英語の先生方と協力して中高生に翻訳してもらって交流する
    国内の中学校との交流 教科の授業に役立てるような共同研究のプロジェクト
    各県の教育センター 県内各地のようすを交流し合うプロジェクト
    環境に閑するプロジェクト 調査項目を決めて.調査する。小学生でもできることを調査項目に設定する。
    グラフィックのデータベース化 著作権を意識しないで授業に活用できる写真のデータベース
    総合学科プロジェクト 全国の総合学科が,「産業社会と人間」「課題研究」などの授業における情報交換を行い.生徒同士のコミュニケーションも試みる企画
    中学生のための進路指導,進路情報 資格や免許のいる職業など,中学生向けの進路情報を提供し,意見交換をできる場の設定

  4. インターネットを利用してユニークな授業をしている学校(質問項目G−6)
     回答で,インターネットを利用してユニークな授業をしているとして紹介された学校のURLと内容について以下にまとめた。

    http://www.otsu-edunet.ed.jp/~hirano1e/ 滋賀県立大津市立平野小学校
    http://hirasho.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/ 大阪教育大学附属平野小学校
    http://www.cec.or.jp/CEC/ CEC(100校プロジェクトの情報)
    http://www.edu.city.akita.akita.jp/~osm-s/ 秋田市立大住小学校
    http://www.kobe-school.net/ KOBE-SCHOOL.NET
    (Eメールによる交流など盛りだくさん)
    http://www.tcp-ip.or.jp/~ainuzaki/ (データベースが秀逸)
    http://www.koumei-sfh.setagaya.tokyo.jp/ 都立光明養護学校
    http://fyw.sue.shiga-u.ac.jp/ 滋賀大学教育学部附属養護学校
    http://www.otsu-edunet.ed.jp/~hirano1e/ 滋賀県立大津市立平野小学校
    (国語小人数の授業法の研究,遠隔授業・共同授業を通して)
    http://www.vill.yamada.toyama.jp/~jhschool/ 富山県山田村中学校
    (宿題をメールで提出するなどの利用)
    http://www.ed.pref.toyama.jp/sc230/ 富山県福野町立福野小学校
    (方言についての交流学習など)
    http://aso.jhs.choyo.kumamoto.jp/ 長陽村小中学校
    (平成7・8年度情報ネットワーク活用促進地域指定)

  5. 統計的検定
     小学校,中学校,高等学校及び特珠教育諸学校をまとめて分析をする。WWW機能の授業での効果の中で,「興味・関心及び学習の意欲の高揚」に焦点を当てて分析をした。この機能の効果について,授業前及び授業後の効果を各校種まとめてクロス表にすると表2−22のような結果が得られた。

    表2−22        (数値は学校数を表す)

    授業前の予想

    授業後の結果

    効果あり

    効果なし

    効果あり 89 29

    151

    0 0

    4

    27 6 0 0
    効果なし 10 6

    19

    0 0

    0

    3 0 0 0

     表2−22から,WWW機能を利用した授業での効果は,「授業前及び授業後とでは,学習の意欲の高揚が見られなかった」という帰無仮説を立て,有意水準0.05でχ2(カイ2乗)検定をした。
    式
     有意水準が0.05で,χ2分布表より値を求めると
      λ=3.84146 が得られる。
     よって,χ2>λ が成り立つから,「授業前及び授業後とでは,学習の意欲の高揚が見られなかった」という帰無仮説を棄却する。
     従って,インターネットのWWW機能を利用した授業では,興味・関心及び学習の意欲が高 揚すると分かった。

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