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高等学校の特別活動

 全体の指導計画について
 全体の指導計画等に関するものは,設問1から設問8までである。
 まず,特別活動の指導計画の作成にあたって,中心的役割を担っている人に関する設問1では,全体の指導計画作成の中心になっているのは,特別活動主任が55.5%で過半数を占め次いで教務主任が21.8%となっている。特別活動担当との回答も19.1%に達しているから,特活主任と合計すると約70%になる。本来,特別活動指導計画の分掌として特活主任がいることを考えると,指導計画は特別活動主任が総括すべき立場にいる。学校内の組織の役割分担の必要上,教務主任が担当すべき内容も含んでいるから全体の指導計画の中心に教務主任が登場するものと考えられ,このことは,学校行事計画の作成に教務主任が中心的役割を担っている割合が37.3%と最も回答率が高いことに表れている。ただし,学校行事計画に関しても,特活主任が32.7%,特活担当が22.7%と,かなり高い割合であり,特別活動の組織が機能していると考えられる。
図18特別活動の組織(設問3) ここで,特別活動の組織について,設問3で見てみる。(図18)校務分掌上,特別活動部として位置づけられているのは,最近独立した分を含めて91校,82.8%に上る。高教研「特別活動部」の平成5年度調査によると,特別活動部があるとの回答が85校,なしが24校となっているから,特別活動部とした校務分掌は増加の傾向と考えられる。
 そして設問1での,全体の指導計画に特別活動主任が中心になっている学校と,設問3の,特別活動の独立との関係については,以前から組織が位置づけられた学校ほど全体の指導計画を特活主任が中心になっている割合が高い。
 また,一方では,全体の指導計画作成を除いて特活主任が指導計画の中心的役割を担っているのは2〜3割に過ぎず,検討の余地があるようだ。ホームルーム活動と生徒会活動及びクラブ活動については,特活担当が飛び抜けて高く,分掌上の役割分担がはっきりしているせいかも知れないが,ある特定の担当者に任されている反面,特別活動部の指導体制の観点から課題を残しているとも言えよう。
 次に,設問2での特別活動の指導組織について見てみる。
 組織の人数は,「5人以上」が89.1%と圧倒的で,特活主任の年齢は,ほぼ半数が45歳以上である。30才台は1割程度で,他の校務分掌主任と同じような年齢層が主任の仕事に当たっているようだ。そして,会議開催の頻度については,必要に応じて会議開催がほとんどであることも注目されるが,学校行事の運営に迫られてのことであろう。今後は,定期の会議開催により教育課程への位置付けや活動評価を明確にしていくべきであろう。
図19指導計画作成の重視事項(設問4) 設問4は,特別活動の指導計画作成にあたって,特に重視している事項を複数選択する内容である。(図19)選択の項目は,いずれも指導計画作成上の大切な事項であるが,自主的実践的態度の育成と学校の実態に即する計画の2つが強く意識されていることが分かる。
 自主的,実践的な態度の育成は特別活動全体を貫く大きな目標であり,また学校や地域の実態に即して指導計画を作成していくことは,生き生きとした活動づくりには不可欠な要素である。
 ただ,この2つに比して,他の項目の視点が弱い背景には,学校の実態を細かく分析して学校の創意工夫や発達段階に合わせた指導計画づくりの実践が足りないとも言えよう。特別活動指導資料「指導計画の作成と指導の工夫」には次のように述べられている。
 「特別活動を全教師の創意工夫によって,これからの学校教育に適切に位置付けて実施するには,それぞれの活動内容について教師相互に研究を進めて共通理解を深め,計画,実施,評価,改善の各段階で協力体制を確立しながら推し進めていく必要がある。」(P32)
 また,生徒指導の機能を強化することも指導計画の作成には必要な配慮事項であり,生徒指導を機能概念として受けとめ,特別活動の場が積極的な生徒指導の機会と捉えたい。学校の教育目標に迫るために,全体の指導計画での指導の重点化の設問5について見てみると,指導の重点化を図っている割合が38.2%で,図っていないが 9.1%,どちらとも言えないが52.7%であった。特別活動がその役割を果たしていくためには,「指導の重点化」は大切なことであるが,肯定した回答が4割に満たず,極めて曖昧になっている。教育課程での特別活動の果たすべき役割を改めて見直し,現状分析の上に立って,青年期にある高校生の在り方生き方の指導を明確にする必要があると考える。さらに,上級学校進学希望の割合が高くなっている現在,進路指導の充実も特別活動の大きな課題であろう。
 指導の重点化の具体的内容を選ぶ設問6では,選択の項目である知育重視,徳育重視,体育重視の回答の割合が,それぞれ10.8%,43.2%,21.6%と分かれた。また,24.3%に当たる9校がその他の選択であった。その内容をまとめると,知,徳,体育の均衡を図る,が半数で,残りは自主性とか協力性,学校の活性化を図るなどである。
 さらに,指導計画改善の進め方に関する設問7では,ホームルーム活動指導計画や生徒会活動指導計画,クラブ活動指導計画などは,職員会議で改善の検討がほとんど進められていないこと,改善の検討そのものを進めていない割合も意外と高いことなどが課題として浮かび上がってきた。改善の検討時期が年度当初と年度末に集中している問題も合わせて指摘したい。特別活動部の指導体制を確立して,学校の実態を分析して課題を明確にすれば,指導の重点の中で反省評価が子どもに即した特別活動の実践に結びつくはずである。

 ホームルーム活動
 ホームルーム活動は特別活動全体の中核であり,自主的,実践的態度育成の鍵はホームルーム活動が握っているとも言えるが,指導の現状を設問9から設問16までの8項目で探ろうとした。
 まず,設問9は,ホームルーム活動の年間指導計画がホームルームの実態に合っているかどうかである。「年度始めに担任による年間指導計画を作成している」割合が 52.7%と過半数に達しており,まずまずである。ただ,「ほとんど学校の年間指導計画のまま実施している」と「学年や担任によってまちまちになっている」の,両項目の回答が合わせて4割近くに上っており,「年度始めに担任による年間指導計画の作成」する高校の内容も,学校を上げて指導計画の工夫に取り組んでいる,というよりホームルーム担任に任されている性格も強いと考えられる。高教研「特別活動部」7年度調査によると,担任独自の計画時間数が16〜20時間に集中している実態報告も注目されるところである。
図20ホームルーム活動の議題(設問10) 次に,ホームルーム活動の「活動内容の(1)集団生活の充実と向上に関すること」で,1年間で取り上げられた議題のなかで,頻度の多いものを3つあげたグラフが図20である。学校行事の議題がダントツで110校中94校であげられた。次いでレクリエーションと生徒会活動の議題が続く。これら3つに共通するのはクラスがまとまって活動することであり,級友と行動を共にすることで,成就感や充足感を得やすい内容である。
 一方,ホームルーム目標や係活動など日常の活動が議題となる頻度は低い。
 ホームルームでの話合いの内容が学校行事などの活動準備に当てられているようだ。
 また,「活動内容(2)個人及び社会の一員としての在り方生き方」に関する設問12では,いわゆる適応指導が意図的計画的に行われている割合は 7.3%に過ぎず,ある程度行われている学校を合わせても半数に満たないのである。
 特に,基本的生活習慣の確立や集団規範の意識向上の必要性が指摘されている現状を踏まえて,生徒の発達課題に応じた指導を計画的に積み重ねたいものである。
 その「活動内容の(2)」の指導の内容で,最も力点を置いている項目を選ぶ設問13では,「集団生活における人間関係の確立」が圧倒的に多く,ちょうど半数を占めた。その次に多いものが「人間としての生き方の探求」の16.2%と,「主体的な学習態度の確立や教科・科目の適切な選択」の14.5%であるから,人間関係づくりに担任がいかに腐心しているかを示している。学校でのいじめや不適応問題などが問われている時世であり,クラスの人間関係を安定させて落ち着いた生活環境を作り出そうとしていると思われる。
 さらに,将来の進路に関わる活動となる「活動内容の(3)」について,進路適性の吟味から進路先への適応の課題など,進路学習達成の程度を設問14で取り上げた。その結果を項目別に下図に示す。

図21−1進路適性の吟味(設問14−1) 図21−2進路情報(設問14−2)

ほぼ達成できている ある程度達成できている どちらとも言えない
あまり達成できていない 達成できていない
図21−3望ましい職業観(設問14−3) 図21−4将来生活の設計(設問14−4)
図21−5進路選択の決定(設問14−5) 図21−6進路先への適応(設問14−6)

 図21から,進路適性の吟味や進路情報の理解と活用,及び適切な進路の選択決定,の3項目についてはホームルーム活動で積極的に取り入れているが,反面,望ましい職業観や将来生活の設計及び進路先の適応などの課題がやや不足気味なことが際だっている。前者は実際の進路先選択の場面で必要な指導であり,後者が長期間にわたって進路指導すべき性格の内容を含んでいることを考えると,依然として,いわゆる出口指導に終始している現状を反映していることを示しているようだ。職業観の育成の進路学習の度合いと将来生活の設計の度合いの相関はかなり高い結果を示しており,ホームルームでの進路学習の程度と考えることができる。
 また,設問16でのホームルーム時間の活用では,ショート・ホームルームなどを有効に活用しているが,クラス単位の活動時間の確保に悩む現状も見えてくる。

 生徒会活動
 生徒の自発的自治的活動として学校生活の充実向上に大きな役割を負っている生徒会活動の現状はどうか,まず,活動の基本になる生徒会規約の取扱いの現状を図22にみる。
図22生徒会規約の取り扱い(設問18) 生徒会活動が生徒会規約に従って運営されてこそ,本来の機能を生かせるものだとするならば,生徒会規約が常に運営の中心になる必要がある。その点では,ア.の毎年のように生徒たちが中心で見直す,運営が「あるべき姿」であるが,残念ながら110校中僅か3校である。それでも,必要に応じて生徒中心に見直す,高校が20%を越えていることは評価できる。
 担当の教師が中心になって規約を見直している割合が4割を越えている結果は2通りに解釈できる。1つは生徒会顧問教師の熱意なり危機意識のあらわれと見ることができる。学校を活性化させて楽しい学園を創造するのは生徒会活動であり何とか現実の状況に生徒会を再生したいという教師サイドの思いを反映しているようだ。
 一方では教師の熱意が一方的になると,教師主導型と呼ばれる弊害が発生する恐れが出てくる。ある熱心な教師が取り組んでいる間は学校が生き生きとしているように見えるが,特定の教師が部署を離れると元の黙阿弥で以前の状態より暗くなるようではいけない。それでも手をこまねいているわけにはいかないから教師中心でもどんどん活動を進めるべきだとの意見は強い。何しろ,生徒会規約の見直しがほとんど行っていない,という高校が32.7%に及ぶ実態は深刻で,生徒会自治を育てる時代が来たと認識すべきである。
 こうした背景には学校生活を受け身で生活する現実がある。従って生徒会活動を先導すべき生徒会執行部の役割の明確化が必要になって,生徒会活動の指導には,リーダー育成が大きな課題となる。
 設問19で取り上げた,生徒会活動のリーダー育成の方法について,学年会を中心にリーダー研修会を行っている高校が50%近くに及んでいる。おそらく生徒会執行部を抱えた第2学年か第3学年集団が,学年リーダーを育てながら学校生活の中心となる生徒たちの指導に当たっているのであろう。また,特別活動係主催でも37.3%もの高校でリーダー育成研修会に取り組んでいる。リーダー育成に関して,「特に指導していない」高校はわずか13校のみである。
図23活発な各種委員会(設問22) 次に,生徒会活動の日常の活動を具体的に見ていく。設問22で,「生徒会の各種委員会活動で,生徒の手によって活発に運営されている委員会」はどのようなものがあるか,複数選択可で回答を求めたところ図23の結果を得た。
 委員会活動は主にクラスの代表が集まって校内生活の充実発展に取り組む活動であるから現代の高校生活の実態を把握する材料である。選択肢に上げた9種類の委員会は従来からの一般的な活動であるので,目新しい委員会には「その他」を期待した。その他,の委員会で記載されたものは,学校祭(学校行事)実行委員会,交通安全委員会の2校のみである。実行委員会は,特定の行事のために組織される性格上,この回答に該当しないと考えると,選択肢以外で活発に活動していると回答した委員会活動は交通安全委員会ただひとつであった。
 また,平均選択数は,275/110=2.5である。設問が「生徒の手によって活発に運営されている委員会活動」と限定したので,そういう委員会活動は1つの高校で2〜3に過ぎないのが現状である。委員会活動が各クラスを代表して構成される場合が一般的であることを考えると現在の生徒会活動の低調ぶりが浮かんでくるようだ。
 しかも,「生徒の手によって活発に運営さている委員会活動は校内にない」と回答した高校が13校に及ぶのである。
 さて,活発な委員会を見ていくと,図書(読書)委員会がトップで58校(52.7%)である。50%を越えたものはこの図書委員会のみであることを考えると,図書委員会だけが生徒会活動の本旨を守って活動していると表現できるかもしれない。学校生活のなかで図書室(館)の役割が改めて問われることかもしれない。図書委員会に次ぐのが,保健(健康)委員会(33.6%),体育(レクリエーション)委員会(31.8%),応援(指導)委員会(26.4%)と伝統的委員会が並ぶ。
 これらの委員会は活動内容と活動空間がはっきりしているだけに,顧問教諭の指導が適切であれば生徒たちも活動しやすいのかもしれない。20%前半で並ぶのが,新聞(出版)委員会,視聴覚(放送)委員会,環境(美化)委員会である。新聞委員会や視聴覚委員会は校内世論を盛り上げる役割を負った生徒会自治の貴重な活動であったのは,すでに昔日のことになって,代わって地球温暖化問題など環境問題との関連で,環境委員会の役割も大きくなった感がある。
 また,生徒会活動の代議機関である評議(代表)委員会の活動が低調である。選択率は,110校中わずか15校のみである。代議機関が機能しないで生徒会活動が正常には活動し得ないから,そういう意味では,各クラスの代表者が集まって,学校生活の課題の解決策に取り組む伝統的な生徒会活動は2割にも満たない,と言うこともできよう。設問20で取り上げた生徒(集会)総会が定例会として年2回以上実施している割合が10.0%であり,「必要に応じて随時開催する」を合わせても13校(11.8%)に過ぎない問題にも共通の課題と考えられる。
 設問23での「生徒会活動の自治意識」で,「各ホームルーム単位では,自分たちの問題に熱心に取り組む」回答が26.4%であり,過半数の学校が,「生徒会役員など一部の生徒たちが積極的に活動している」現状こそ重く受けとめ,お互いに議論しながら学校生活の課題に取り組む発想を高校生徒会活動の指導の出発点にしたいものである。

 クラブ活動
 クラブ活動は学級や学年の枠を越えて同好の者が自発的に集まり,共通の興味関心を追求するところに特質があるが,必修クラブの形で教育課程に登場して三十年が経過した。現在の学習指導要領では,中・高のクラブ活動の運営上の便宜を図るため部活動による代替措置が認められている。その代替措置にはクラブ活動と同等の教育効果が認められる場合に限定されるとして部活動代替の9条件が提示されているが,現状について設問24のクラブ活動の所属の仕方から見ていく。
図24クラブ所属(設問24) 何らかの形で部活動による代替措置の高校は60%に上る。一律代替が4割を越えているが,全員が部活動に入っているとは限らないので,部活動未加入の生徒を分離するなどの方法で部活動の代替措置をとっているようである。クラブ活動を実施する残り4割の高校にとって,活動するクラブの決定は大きな問題である。本来,共通の興味関心を追求するのがクラブ活動であるから,不本意なクラブ所属は活動が成立しないのである。ただ,従来から,活動する場所,施設の限界,指導する人材の不足等を無視できず,必ずしも生徒の望みに応えてきたとは言えない事情があって,それがクラブ活動のスムースな運営の障害とされてきた。さらに一歩踏み込んで「制度的矛盾」と指摘されるのは日本特別活動学会長の筑波大学教育学系山口満教授である。(日本教育新聞平成9年11月1日号による)クラブ所属について,「クラブをつくるところから生徒の希望通りに行う」が1校もないのに対して,「クラブ設置は教師中心で所属は生徒の希望優先」に16.4%,「希望調査を基に教師側で所属の人数調整」に15.5%の回答は,そうしたことが背景になっている。
 また,部活動の指導の現状について設問25では,「学校の教育計画に基づいた教師の適切な指導」や「共通の興味や関心を持った生徒により組織」などは高い選択率を示したが,「特別活動の目標や方針の達成をめざした活動」が2割程度,「生徒の自発的,自治的な活動を助長する配慮」が3割程度で,「指導過程や指導成果の適切な評価」に至っては極めて低い選択率で,部活動による代替措置が一般的になった割には,クラブ活動と同様の指導計画,実践の位置づけが必ずしも成果を上げているとは言いきれない実態があるようだ。
図25クラブ活動の参加の様子(設問27) こうした中でクラブ活動(部活動による代替)に参加している生徒たちの様子を回答する設問27では,複数選択の結果が図25である。
 「交友関係のなかでの温かい触れ合いの体験」が最も多く,61.8%に達している。 次の「自分の興味,関心の追求」と「教科学習では得られない満足感や達成感」が3本の柱である。いずれも友人との活動体験を通して自分を磨いていこうとする充実した生活ぶりを感じさせるが,反面において,「他人への思いやりや奉仕の精神」「粘り強い取り組み」「協力や約束を守る努力」などの項目が余り選択されないのはどうしたことか。よく言われることであるが,部活動が勝利第一主義に陥り,活動を通して人間を育てる,という基本的なねらいがなおざりにされているのかもしれない。それでも「交友関係での温かな触れ合い体験」が最も多いことを積極的に評価できれば,部活動の練習に取り組む仲間の信頼が部活動に参加している生徒たちの心の支えになっているのかもしれない。
 このクラブ活動(部活動)の指導には専門的な知識や技量も要求されるので校内の指導者だけでは対応できるとは限らず外部講師を依頼する必要性も出てくるであろう。
 設問29では外部講師招へいの状況を調べたが,外部に依頼している学校は30.9%で,3校に1の割合であった。内容は,野球の指導が10校と最も多いが,弓道や剣道,卓球サッカー,バスケットボールやソフトテニスなど広範囲にわたっている。文化的な活動では,茶道や華道などに数校ずつ講師を依頼しているのが現状である。
図26クラブ活動の指導の課題(設問28) さて,クラブ活動の指導を充実させる課題についてはどうか,設問28で見る。(図26)
 最も多い選択が「部活動を自主的に運営する工夫」で28.4%に及んでいる。部活動に積極的に取り組んでいるが,若者らしく自分たちで活動計画をつくって行動する面で不満があるようだ。この「自主的な運営」は活動の基本であるのは当然だ。
 次に多い選択が「指導技術の向上させて活動を充実させる」で23.9%と4校に1校の割合である。上に上げた社会人講師招へいの背景になっている。しっかりした活動には高水準の指導者が必要なことは当然であろう。その面からもクラブ活動(部活動)の指導は研究されるべきである。
 そして「指導計画をしっかりして計画的な指導」が22.0%にも上る。設問25では,教育計画に基づく教師の適切な指導,の項目が,6割も選択されていることを考え合わせると興味深い。「活動時間に余裕を持たせる」の項目も15.6%選ばれていることも考え合わせて,クラブ活動が本来担うべき課題を見つめ直す時期が来ているようである。

 学校行事等
 学校行事は,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深めながら,生徒が豊かな充実した学校生活を体験できる活動であり,全校を巻き込むような大きな集団活動で卒業後まで長く心に残ることが期待できる点では生徒の学校生活への影響は計り知れない。調査では,設問31より9つ用意した。
 まず,学校行事は活動内容の特色から5つの種類に分類されているが,それぞれの行事の企画立案者は校務分掌上の役割分担がはっきりしているようだ。(1)儀式的行事は教務主任が90.9%,(2)学芸的行事は特活主任が70.9%,(3)健康安全・体育的行事は内容によって特活主任や保健厚生部長,体育科主任などが分担している。また,(4)旅行・集団宿泊的行事については学年主任が92.7%,(5)勤労生産・奉仕的行事は保健厚生部や環境厚生部と特活主任と分担して企画しているようである。
図27学校行事への生徒の意見や要望(設問32) また,それぞれの学校行事の企画立案に,生徒の意見や要望を取り入れているかどうかの設問32から図27の結果を得た。
 学校行事は学校が計画し実施する点で生徒会活動と区別されるが,特別活動のねらいに沿って可能な限り生徒の自主的な活動を助長し,生徒が自発的に参加し,協力するようになることが大切である。そうした視点から,学校行事への生徒の意見や要望を取り入れているかの設問を見ていくと,次のようなことが分かる。
 儀式的行事は,生徒の要望をほとんど反映させていない。その中にあって,生徒の要望を取り入れて高校が「ある程度」まで含めると9校あった。
 学芸的行事は,かなりの高校で生徒の意見や要望に添って企画されている。文化祭や講演会等は生徒会活動の一環で運営されている実態に基づいているのであろう。最近は,子どもを主役にした学校行事,というテーマが一般的になってきたので,義務教育でも学校行事実行委員会方式がずいぶん取り入れられてきた。
 健康安全・体育的行事は,ある程度生徒の意見や要望を取り入れているが,学芸的行事と比べると,「取り入れる」が78校対38校であり,必ずしも積極的に受け入れていないことも事実である。これは,行事内容の差に基づくことであろう。
 また,旅行・集団宿泊的行事は,健康安全・体育的行事と同程度,生徒の意見や要望を取り入れて企画されている。生徒が自主的に活動に参加しないと行事の活動意義を見いだし難い点では共通することでもあり,旅行・集団宿泊的行事も健康安全・体育的行事も「生徒の意見や要望に添う」課題を抱えていると言えよう。
 さらに,勤労生産・奉仕的行事であるが,生徒の意見や要望を取り入れていない回答が,56.4%と過半数に達している。清掃活動やボランテイア活動などが環境教育または福祉教育の推進の美名で導入され積極的に高校教育に生かされねばならないのは時代の流れであるが,本当に成果を挙げるためには,自主的,実践的態度育成という特別活動の基本的目標に立って,生徒会の自治を育てる指導の方法開発にかかっている。この点で,56.4%という数値は大きな課題を提供していると言える。
 実際に学校行事を実施する中で,生徒が中心に活動できるように配慮しているかの問題を確かめる設問33では,設問32の傾向がそのまま表れている。つまり,生徒が活躍することが期待できるものは,まず学芸的行事である。次いで,健康安全・体育的行事と旅行・集団宿泊的行事が「ある程度」期待できる。
 儀式的行事は,儀式が強調されるので生徒たちは受け身で参加しがちになる。それでも,110校中16校が「かなり配慮している」と回答したのは,国際化社会を迎えた現実を反映したものかと考える。一方,勤労生産・奉仕的活動については,「何とも言えない」まで含めると,110校のうち,生徒中心に活動できる配慮がなされていないと回答したのが実に,77校,70%に及んでいるのが実状である。
 また,学校週5日制月2回実施の伴う課題については,後段「学校行事の課題」で小学校から高等学校まで概観することとして,ここでは,設問37での「学校行事の指導に当たっての今後の課題」について図28で見ておくこととする。
図28学校行事指導の課題(設問37) 設問37での選択肢の設定については,学校行事は校風の基礎になった伝統的なものが多いので,その再構築の課題が考えられる。合わせて,社会変化の著しい現代の新しい時代に対応する創造力が求められると想定して,ア.とイ.を用意したが,結果は,ア.が22.7%であるのに対して,イは81.8%の選択率であった。「新しい時代への対応」は,伝統的な発想の再構築の次元を脱して,生徒中心の新しい学校づくりへの期待感が表れていると考えたい。
 また,学校週5日制完全実施に向けて求められる「学校のゆとり」との関連で,行事の簡素化をウ.で,生徒の主体性回復をエに設定した。エ「生徒中心の行事づくり」が54.5%もの高い選択率であったことは,学校行事を活性化させて,新しい特色ある学校創造に取り組む意欲を示すものと考えられようか。それにしても,「校内研修」での教師サイドの研究や「家庭や地域への働きかけ」が10%程度の選択率であったことが,現在の高校が抱える課題を浮き彫りにしているようである。生徒と共に失敗し,生徒と共に喜ぶ,生徒を信頼して取り組む勇気ある実践が,開かれた学校づくり,という大きなテーマへ向かう道であることを教職員すべての課題としたいものである。


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