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研究会議報告

5月21日研究会議での講義記録(抜粋)を掲載する。
講師は,日本特別活動学会長で筑波大学教授山口満氏。

「特別活動の現状と今後の課題」
 教育改革の動きを踏まえて
 第15期(第16期)中央審議会の答申を受けて教育課程審議会で21世紀初頭からの学校週5日制完全実施の中味の検討が続いている。
 中教審第1次答申のキーワードとして,社会の変化に対応してたくましく「生きるる力」と学校生活の「ゆとり」を取り戻すこと,それに,教育課程内容の「厳選」の3つが上げられる。
 第2次答申の内容として,中高一貫教育では都道府県の選択的導入を目指すこと,例外措置は当面,数学と物理に限るが,将来は,広範囲に進めること及び大学入試の在り方は春季ばかりか秋季実施も視野に入れて多様化させる必要があることなどが想定される。
 教課審の検討の現況は,学校週5日制完全実施のなかで,ゆとりと生きる力を育成するには教育課程の内容の厳選以外にない,という認識で作業が始まっている。具体的には,芸能教科の評価をどうするか,土曜日授業の削減分を他の曜日に若干上乗せするかどうか,高等学校改革については単位制高校や総合学科高校など「打つべき手」を打って来たので,残されているのは,選択必修の拡大と卒業単位削減の問題か,中学校は選択科目の拡大の問題,小学校では総合的な学習の時間の運営の問題などが検討材料であるが,6月下旬に発表が予想される中教審第2次答申を待っている状況であろう。
 特別活動の議論の方向として,中教審の「厳選」の答申を受けて,次のような線で検討されているようだ。
 「活動形態から 学級・ホームルーム活動,児童会・生徒会活動,クラブ活動及び学校行事に分けて構成されているが,指導のねらいから整理すると,各教科や総合的な学習において行った方がよいものもあるのではないか」(第6回H8/12/12)
 ところで,学校のスリム化の実現には,学校経営のなかで特別活動をどう取り扱うかが大きな課題になっている。
 しかし,教育の質を落としてまで,教育の中味のスリム化はできないはずで,教育課程審議会が,特別活動にどう切り込んでいくか難しいところである。
 ただ,各教科との関係,道徳との関連の見直し,部活動の見直しなどが話題になっており,特別活動のスリム化は避けられそうもない。
 総合的な学習の時間の問題について,論理,表現,コミュニケーション能力や実践的能力は,教科や領域の一部では収まらないので,クロス・カリキュラムによる総合的な学習の必要性が出てくる。

 中教審第1次答申を受けて
 日本特別活動学会では,生きる力を育む特別活動,の観点から,他者と共存共生することが学校教育の根幹であり,特別活動が学級や学校生活の問題を解決し新しい文化を創造していく体験活動であることを踏まえて,教育課程に従来通りの位置付けができるように,教育課程審議会に要望提出の準備を整えたところである。
 また,明治図書「特別活動研究」3月号によると,全日本中学校学校行事研究会では,学校行事を独立した領域に戻そうとする提言をした。
 同じく3月号には,国立教育研究所の高階玲治氏の新しい特別活動の視座が注目されるところだ。
 特別活動の目標のなかに「望ましい集団活動」と表現されているので,集団づくりが目的であるかのような受け止め方が出てきて同質化傾向を奨励するような実践もある。本来,自主的実践的態度の育成には,集団から「はみ出している子ども」を育てる工夫も大切なはずで,特別活動の「目標と手段」を区別すべきだ,という見直しの提言である。

 特別活動の改善に関する調査研究から見た問題
 国立教育研究所の特別活動に関する調査研究は,特別活動に係わる小中高と大学のの研究者を対象としたものである。
 月2回学校週5日制への対応では中学校関係者が特に厳しく受け止めている。
 学校行事の精選には極めて消極的で,教育活動全体の精選を求める意見が圧倒的である。
 また,特別活動の4つの内容を維持すべきかどうかについては,中高校関係者が否定的である。特別活動全体の見直しについては約7割が肯定的に見ているが,活動内容まで各学校に任せて実施する意見は少数派である。現在の教育内容に対する改善への期待は中学校関係者に高い。
 小学校の学級活動やクラブ活動は参加意欲が高いと受け止めている。
 中学校では,学校行事や部活動が意欲的であるが,学級活動とクラブ活動,生徒会活動が参加意欲の面で課題を残している。
 高校の場合には,部活動と学校行事への参加意欲は高いが,ホームルーム活動とクラブ活動は課題を抱えており,さらに高校の「生徒会活動」は大きな課題である,と言えようか。
 学級・ホームルーム活動の指導での問題点については,第1に「教科の時間が重要と考えて軽視してしまう」,次に「時間不足で十分に課題を深められない」問題があり,そして「子どもが本音を語らないので話し合いを深められない」「あれもこれもと課題が多すぎる」など,現代の子どもたちの変化に指導の実際が対応できていない問題が浮かび上がってきた。
 特別活動の改善の課題として,内容の面では,福祉教育,環境教育,人権教育や国際理解教育などを取り入れていくこと,教師の指導では,指導力低下の課題,また,学校が多忙の割りには行事を減らすことには消極的である問題もある。児童会・生徒会の担当者が大変であること,部活動の指導は高校の関係者が,比較的積極的である。部活動代替については,新しい見方や位置付けが必要であろう。
 その他,特別活動で育てたい資質や能力などについて,東京都教研の特別活動研究室での調査によると,個人的資質,社会的資質や自己実現に関わる能力などにいくつかの特性が抽出されているので参考になるであろう。

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