まえがき


 今日の社会は,科学技術の発達とともに,国際化,情報化等が急速に進展する一方 ものを大切にする気持ちの減退,自己中心的な考え方の増加,間接体段の増大による 生活実感の希薄化,いじめ間題の深刻化等多くの間題も生み出している。

 このような社会状況に対し,臨時教育審議会の答申において「生涯学習の基礎を培 う観点から,21世紀を目指し,社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の青成」 を目指すことが重要であると指摘されました。

 また,平成8年7月の中央教育審議会第1次答申において「生きるカ」を教育の基 本目標として掲げ,その内容として「これからの子どもたちに必要となるのはいかに 社会が変化しようと,自ら課題を見つけ,自ら学ぴ,自ら考え,主体的に判断し,行 動し,よりよく間題を解決する資質や能カてあり,また,自らを律しつつ,他人と協 調し,他人を思いやる心や感動する心など,豊かな人間性である。」と述ぺられてい ます。

 この教育自標の具現化において.心の教育を推進する道徳教育は大きな役割を果た すものと考えます。とりわけ,道徳教育の根幹をなす「道徳の時間」の充実を図るこ とが大切です。

 道徳の時間のねらいは,行為の基盤となる内面的な力,すなわち道徳的実践カの育 成であります。この内面的な力の育成には,自らを見つめ,自らに間いかけるという 自己との対話を豊かにすることが重要であると考えます。

 そこで,自己との対話を豊かにする資料の開発や自己との対話をより豊かにする活 用方法について研究することが,各学校での道徳教育の改善・充実に資すると考え, 茨城県教育研修センターでは,「道徳資料の開発と活用に関する研究」について平成 7年度から平成8年度の2か年にわたり研究を進めてまいりました。

 この報告書には,道徳資料開発の方法,道徳資料の活用方法,道徳授業結果の分析 方法や分析結果を収録いたしました。

 本研究が,「豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成」を日指す道徳教育の 改善・充実に資するとともに,いじめ間題等の解消の一助になることを願ってやみま せん。

 おわりに,この研究の推進にご協力を頂きました関係学校並ぴに研究協力員の先生 方に心から感謝申し上げます。

平成8年3月
茨城県教育研修センター所長
高久清吉


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