第2節 制御教材の概要

1 インタフェースの構成と利用法

(1) インタフェースの構成
 中学校の技術・家庭科において,制御を題材とした学習指導を行う場合,その形態としては,マイコン制御とパソコン制御の二つが想定される。
 マイコン制御については,炊飯器,ストーブ,洗濯機などに利用されており,用途を限定した使い方がされる。これらの機器には,マイクロコンピュータと入出力インタフエースが搭載された概ね数cm角のボードが取り付けてあり,時間,温度など特定の環境変数だけを制御する場合が多い。マイコン制御を学習指導に取り入れるとすると,場所を取らないで制御学習が展開できるという利点があるものの,アセンブリ言語でのプログラミングやマイクロコンピュータヘのプログラムの書き込みなど中学校段階を越えた取扱いが必要となり,学習における生徒の負担が重くなってしまうという欠点がある。
 これに対して,パソコン制御は,現在コンピュータ室等に導入されているパソコンにインタフェースと制御端末を接続して,パソコン上で簡単なプログラミングを行い,制御端末を動かして即座に動作を確認することができる。また,制御する主体がパソコン,制御される客体が制御端末,そしてそれらの間の信号のやりとりをするのがインタフェースというように,制御に関する基本的な構造をとらえやすいという利点もある。こうした理由から,本研究では,パソコン制御に視点を当てることにした。
 これまでに開発あるいは市販されてきたインタフェースは,各コンピュータメーカーのコンピュータ機種に合わせて,拡張スロットに挿入して使用するタイプのものが多かった。このタイプのインタフェースは,異なる機種のパソコンに接続できないという欠点がある。一方では,マウス,プリンタ,RS−232Cなどの端子を利用して,コンピュータ機種に依存しないタイプのものも開発されている。これからは,GUI(グラフィカルユーザインタフエース)を備えたパソコンが普及してくることを考えると,マウス端子を使ったインタフェースは好ましくない。また,学習経過や学習結果をプリンタに印刷して考察したり表現することは,教育上非常に重要な意味をもつので,プリンタ端子を使う場合は,プリンタの切換器を使うなどして,印刷機能を確保しておく必要がある。
 平成4・5年度の研究事業で開発した「実験計測器」(研究報告書第7号参照)は,RS−232Cを使った制御用インタフェースとしても利用できる。この実験計測器(以下,インタフェースという。)は,ワンボードマイコンを搭載していることによって,コンピュータの機種依存性を解消し,制御のためのプログラムの作成を容易にすることができる。このインタフェースの特徴は,次のとおりである。
  @  コンピュータ機種によらず活用できる。
A  RS−232Cケーブルを介して,9600bpsの転送速度でデータをやり取りする。
B  コンピュータからの1バイトの制御コードで制御できる。
C  24ビットのプログラマブル入出力ポートを持つ。
 インタフェースの構成は図1のとおりである。
図1 インタフェースの概要
写真1 インタフェース
 各部の仕様を次に示す。
名     称 仕    様
ワンボードマイコン UEC−ZO7 TMPZ84CO15AF−6内臓
入出力インタフェース プログラマブルインタフェース
RS−232C用コネクタ Dサブ25ピン
フラットケーブル用コネクタ 30ピン
電源 ACアダプタ(6V,1200mA)
外形寸法 150mmx160mmx20mm
(2) インタフェースの利用法
 各制御コードとその働きを次に示す。
 ポートAへのデータ出力
 ポートBへのデータ出力
 ポートCへのデータ出力
 ポートCからのデータ入力
 すべてのポートを出力モードとする。
 ポートCを入力モードとする(A,Bは出力)。
 電源を投入すると,インタフェースはマスタリセットし,コンピュータからの制御コード待ちの状態になり,RS−232Cを通して上記の制御コードを送ると,それぞれの動作が実現できる。制御コードとともにパラメータが必要なときは,それらを続けて送る。
 インタフェースを働かせるには,手続きをコンピュータ上でプログラミングする必要がある。コンピュータ上で行うプログラミングには,いろいろなコンピュータ言語が利用可能である。数多くのコンピュータ機種に対応しているQuick BASIC(マイクロソフト社)を使って制御のプログラムを作成すると,ある機種のQuick BASICで作成した制御のためのソースプログラムは,そのまま他の機種でコンパイルして利用することができる。
 下に示すプログラムは,コンピュータから送られたデータを,拡張T/Oの端子のポートA(8個 の端子群)に0V又は5Vに変換して出力するものである。
’    RSー232C回線のオープン
OPEN”COM1:9600,8,1,ASC”FOR RANDOM AS #1
’    u:ポートA選択 v:ポートB選択 w:ポートC選択
PRINT #1,”u”;
’    データ(255)の出力
PRINT #1,”255”
END


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