中学校
(1)  地域の人材,文化財及び環境の活用について
 教職員の意識
(ア)  連携の必要性
 家庭や地域社会との連携については,各職位とも必要性を強く感じているが,学校規模による違いや地域による違いはみられない。その中で,設問1−1のデータから,積極的な連携の必要性については年齢,職位によって意識の違いがみられる。校長,教頭,教務主任の70%以上が必要を感じているのに対し,学年主任,担任は50%台と少ない。
(イ)  連携が望まれる分野及び理由
 保護者の学校教育への理解・参加・協力を図るが一番望まれている。その理由として,保護者の学校教育への理解を深めたいが70%近くである。(設問1−2−(3))
 次に地域の人材,文化財及び環境を授業や学校行事に活用するをあげている。理由として郷土や地域社会に対する関心を高めたい,人間関係や豊かな心を育てたいなどをあげている。
 生徒の教育活動に直接かかわる領域には強い関心を示している。しかし,学校の施設・設備を地域住民へ開放することや教員が生涯学習へリーダーとして参加することについては消極的である。(図31)


(ウ)  人材の活用について
 人材の活用が必要だと考えている分野についてみると,学校行事,進路指導,社会,部活動クラブ活動,生徒会活動の順である。人材活用に関しては,各教科で活用するより領域等で活用したいという傾向がみられる。
 活用したい人材については,設問2−3−2のデータから,専門的知識を有する人(40.5%),運動面で優れている人(38.6%),伝統的技能を有する人(38.4%)などをあげている。

(エ)  文化財や環境の活用について
 文化財や環境の活用が必要だと考えている教職員の意識をみると,活用領域については,社会,学校行事,理科,クラブなどをあげている。また,活用したい地域の文化財や環境については,地域の歴史的遺産(52.3%),自然環境(46.8%),伝統的産業(25.8%)などをあげている。(設問2−6−2)
 現  状
(ア)  地域人材の活用状況
 図34から,人材の活用状況をみると,活用したのは27.9%である。このうち積極的に活用したのは6.6%で活用の意識と実際の活用とではかなりの格差がある。どの学年も共通して消極的な活用状況である。
 設問2−2のデータから人材を活用した教科・領域に顕著な偏りがみられる。学校行事が一番多く,次いで学級活動,進路指導の順になっており,教科については少ない状況である。

 活用した人材については,専門的知識を有する人(26.3%),芸術的技能を有する人(26.3%),公的な機関の職員(23.7%)などが多い。
 活用した理由としては,郷土や地域社会に対する関心を高めたい,将来の生き方を考えさせたい,人間関係や豊かな心を育てたいなどがあげられている。(図35)
(イ)  地域の文化財や環境の活用状況
 文化財や環境の活用状況は,人材の活用と同じように十分活用されているとは言えない。積極的な活用はわずか2.9%である。
 主な活用教科・領域としては,設問2−5によると,社会が一番多く,次いで学級活動,学校行事の順になっている。
 活用した文化財や環境としては,地域の自然環境(75.0%),歴史的遺産(50.0%)が多く,図36から,その活用の理由としては,郷土や地域社会に対する関心を高めたい,人間関係や豊かな心を育てたい,授業に厚みや変化をもたせたいなどをあげている。
(ウ)  地域の人材,文化財及び環境リストの作成
 設問2−7から,学校における地域の人材の掌握状況をみると,人材リストなどができていると答えたのはわずか10.2%である。地域の人材が把握されていないことが分かる。
 また,地域の文化財や環境が教材として使えるようになっているかどうかについて,設問2ー8によると,どの教科・領域でも使えるようになっていると答えたのは2%である。教科・領域によっては使えるようになっていると答えたのを含めると約30%になる。計画的に指導できる準備態勢はまだ十分とは言えない。
 設問2−9によると,部活動における地域の人材については,29.2%が活用していると答えている。活用していない理由については,必要を感じないが41.2%と多く,次いで人材がいない,時間的余裕がない,指導しにくいなどがあげられている。(設問2−9−3)
 問題点とその要因
 地域との連携,人材,文化財及び環境の活用については,99.3%の人が必要と感じている。しかし,図34から,実際には人材や文化財などはあまり活用されていないことが分かる。
(ア)  地域の人材活用上の問題点
 地域の人材を活用したのは,全体の27.9%である(図34)。その中で,設問2−2−3によると,人材を活用しての問題点は,指導目標にあった地域の人材を探すのが大変だったこと,人材を活用すると時間がかかりすぎたこと,謝金など経費がかかったことなどがあげられている。一方,特に問題がなかったと答えているのが57.9%と多いのが目を引く。(図37)
 また,活用できなかった理由として,地域の人材を活用する学習計画がないこと,人材が把握されていないこと,時間的余裕がないことなどがあげられている。(図39)
 今後は,人材リストの作成,年間指導計画への位置付けが必要である。
(イ)  地域の文化財や環境活用上の問題点
 地域の文化財や環境の活用は全体の26.3%で人材の活用と比べるとやや少ない。設問2−5−3によると活用しての問題点は,教師の負担,指導目標との関係,生徒の関心や指導のねらいからのずれなどがあげられている。(図38)
 また,活用できなかった理由として,時間的な問題,学習計画の問題,文化財や環境の把握の問題などがあげられている。(図39)
 中学校では,授業時数の確保が大きな問題となっている。そうした面も活用を滞らせているものと思われる。さらに,地域の文化財や環境についてよく把握がされていないこと,教材化されてないことなども一つの要因と考えられる。
(2)  他校や学校以外の教育機関・団体との連携について
 教職員の意識
(ア)  他校や学校以外の教育機関・団体との連携について
 設問1−2によると,51.1%が連携の必要性をあげている。(図31)
 設問1−2−(2)によると,連携の目的を,人間関係や豊かな心を育てる(40.4%),生徒指導の充実(33.4%),教員の識見や指導力の向上,郷土や地域社会への関心を高める,授業に厚みや変化を持たせるなどのために必要なことであるととらえている。(図40)
(イ)  他校との連携・交流
 設問3−3−2によると,中学校では第一に高等学校との連携・交流を望んでいる(50%)。次が他の中学校,そして,小学校との連携・交流の順となっている。小学校の望む連携・交流先の順とは違いがみられる。(図41)
(ウ)  学校以外の教育機関・団体との連携
 約半数の教職員は学校教育活動の充実のために連携は欠かせないものであると考え,連携したい地域の教育機関・団体として,設問3−6−2によると,ボランティア活動団体,博物館,教育相談所,福祉施設などをあげている。(図42)
 以上のことから,他校や学校以外の教育機関団体との連携によって,生徒指導や豊かな心を育てる福祉活動に生かしたり,教師自らの広い知識を得るために前向きの姿勢で取り組むことが大切であると考えている。
 現  状
(ア)  他校との連携・交流
 設問3−2によると,中学校の場合,連携をとっているのは小学校,他の中学校,高等学校,特殊教育諸学校,幼稚園の順となっている。高等学校と連携したいと望んでいるが,小学校との連携が多く,連携したい学校種の順とは同じではない。また,その内容は,研修・研究会(73.9%),連絡会(73.9%)といった教師間の連携,体育的活動(34.8%)が大半を占めている。設問3−1によると,部活動以外での他校との連携を積極的にした割合は低く,あまりしなかった,しなかったという消極的な意見が大半を占めている。しかし,設問1−2の教師の望む連携の目的には一致しないが,連携・交流の個々の目的自体はほぼ達成されている。(設問3−2−2)
(イ)  学校以外の教育機関・団体等との連携
 設問3−4によると,積極的に連携・交流した,ある程度したが25.6%,ほとんどしなかった,していないが74.4%で,あまりしていないのが現状である。
 連携・交流をしている学校では,学校行事や進路指導で,福祉施設,職業安定所,郵便局,図書館などと連携をとっている。理由は,生徒指導の充実,人間関係や豊かな心の育成,学習意欲の高揚,将来の生き方を考えさせるなどである。
(ウ)  生徒指導上の連携
 設問3−7によると,積極的にしたが36.7%,ある程度したが59.2%と高い割合を示している。設問3−8によると,連携をとった機関・団体は,警察(91.3%),民生委員(89.1%),児童相談所(71.7%)などである。
 連携の回数が多い(8回以上)機関・団体は,警察(15.2%),児童相談所(13%),教育相談所(13%)などである。(図43)
 問題点とその要因
(ア)  他校との連携・交流
 設問3−2−3によると,交流を進める上での問題点として,連携・交流を継続的に行うのが難しかった(52.2%),1回の交流時間が少なかった(21.7%)があげられている。
 設問3−3によると,他校との連携・交流を図れない理由は,時間的余裕がない(80.8%),機会がない(46.2%),適当な学校がない(23.1%)などである。
(イ)  学校以外の教育機関・団体などとの連携
 設問3−4によると,連携をした学校は25.6%である。
 設問3−6によると,連携・交流を図れない理由としては,時間に余裕がない(56.3%),機会がない(54.2%),適当な教育機関がない(18.8%)などがあげられている。(図44)
(ウ)  生徒指導での教育機関・団体などとの連携
 教育相談所・研究所については連携していない学校が50%と多い。今後このような専門機関との連携を図る必要がある。
(3)  保護者と学校との関わりについて
 教職員の意識
(ア)  保護者との連携を望む理由
 調査対象者の69.6%の教職員が連携の必要性を認識している。連携を望む理由は,保護者の学校教育への理解を深めたい(79.5%),学校教育への協力を得たい(46.3%),学校教育への関心を高めたい(34.8%),子供への願いを学校運営の参考にしたいなどである。(設問1−2−(3))
(イ)  保護者に参加して欲しい分野
 今以上に保護者に学校運営に参加して欲しいと学校が考えている分野は,生徒指導,PTAとの共催による行事の運営,交通安全指導,クラブや部活動の指導などである。生徒指導分野での保護者の参加を望んでいる教職員が多いところが,小学校との大きな違いになっている。
 現  状
(ア)  保護者への情報提供の手段
 学校では教育活動に関する情報を,学校だより,学年・学級だより,保健だより,PTA広報紙などの各種通信やPTA総会・PTA活動,授業参観や学年・学級懇談会,地区別懇談会などを通して保護者に提供している。(設問4−1)
 提供された教育情報に対しては64.1%の保護者が満足している。(保護者設問1,2)
 保護者は,学年・学級だよりから学校の情報を得ることが多く,その他授業参観や学年・学級懇談会,子供の話,保護者同士の話からも情報を得ている。家庭訪問や地区別懇談会から情報を得ている保護者は10%にも満たない。(図46)
(イ)  保護者の意見や考えの取り入れ方
 学校経営に保護者の意見や考えを積極的に取り入れている学校(校長)は12.8%,ある程度取り入れている学校(校長)が83.0%であり,保護者の意見や考えを取り入れている学校が多いと言える。(設問4−2)
 学校が保護者の意見や考えを取り入れているのは,各種委員会の席上や学年・学級懇談会,地区別懇談会が多く,アンケートを実施して取り入れている学校は少ない。学校では地区別懇談会を保護者の意見や考えを取り入れる場として重視しているが,保護者の受け取り方とずれが見られる。
(ウ)  保護者の学校への要望
 44.4%の保護者が学校に何らかの要望をもっている。その中で多いのがクラブ・部活動に関する要望,続いて学習指導,校則や生徒指導の順になっている。年齢別では,40歳代より30歳代の保護者の方が要望をもっている割合が高くなっている。学習指導に関する要望は小学校に比べると8.6%高くなっている。(保護者設問3.3−2)
 これに対して,小学校ではPTA活動やボランティア活動,学習指導,学校行事の実施に関する要望が多くなっている。
(エ)  学校が保護者から取り入れている要望
 多くの学校が頭髪や制服などの校則や生徒指導に関する保護者の要望を取り入れている。そのほか学校が保護者から取り入れている要望は,クラブ活動・部活動,学校行事などの実施に関することの順になっている。学習指導の在り方に関することはあまり取り上げられておらず,保護者の要望とのずれが見られる。(図48)
 問通点とその要因
(ア)  教育活動に関する保護者への情報提供の手段と保護者の受け取り方
 保護者は,学校が予想する以上に学年・学級だよりや授業参観・学級懇談を教育情報を得る手段としてとらえている。反面,地区別懇談会は学校の予想に反して保護者にとって教育情報を得る場としては利用されていないことが分かる。地区別懇談会の持ち方や内容のマンネリ化などにより,保護者の要望に応えきれていないことが考えられる。
 学校からの教育情報に64.1%の保護者が満足しているが,やや不満・不満の保護者が35.9%見られるので工夫改善の必要がある。
(イ)  学校が保護者から取り入れている要望と保護者の要望
 現在の社会は保護者の価値観が多様化し,保護者の学校への要望と学校が保護者から取り入れている要望が必ずしも一致するとは限らない。
 今,中学校では多少の違いはあれ,不登校問題,喫煙など非行問題を起こす生徒への対応など生徒指導上の問題を抱え,学校だけでは対応が難しくなってきている。そこで,関係諸機関との連携はもとより,保護者との連携を深めていく必要がある。一方,保護者は子供を少しでもよりよい上級の学校に進学させたいという希望などから,学習指導に関する要望が多くなったものと考えられる。部活動に関する要望が多いのも,練習日や練習時間の取り方など,子供の学習に関連しているものが多分にあると考えられる。
(ウ)  保護者の学校運営への参加
 保護者が学校の運営に活発に参加しているのは,学校とPTAとの共催による行事の運営(81%),清掃などの奉仕活動(43.6%),生徒指導(34.2%)などであり,授業の補助など他の分野ではあまり積極的な参加は見られない。(設問4−4)
(4)  学校の施設・設備の地域社会への開放について
 教職員,保護者の意識
(ア)  教職員の意識
 施設・設備の地域社会への開放については,分野別に見ると(図31),全体の10.5%と他の分野と比べて意識は低い。
 図49から,開放の理由として,地域の生涯学習に役立てたいが最も多い。次いで地域住民と意志疎通を図ること,学校教育への理解,公共物の有効利用を図るなどとなっている。このことから,地域に開かれた生涯学習の場づくりや学校教育への理解・協力のために生かしたいという意識がうかがえる。
(イ)  保護者の意識
 実際に解放されている主な施設・設備は,体育館校庭,武道場など体育的な施設である。
 設問5によると,保護者の要望は,体育館,校庭図書室,パソコン室の順になっている。
 このことから,体育館や校庭など体育的な施設・設備に対して開放してほしいという要望が多いのと同時に,図書室やパソコン室などの文化的な施設・設備も開放してはしいという意識が強いと言える。
 現  状
(ア)  開放の現状
 施設・設備の開放状況は,設問5−1によると83.7%と比較的よく開放されている。開放した施設・設備については,体育館(95.1%),校庭(61.0%),武道場(22.0%)でほとんどを占めている。これらは,学校側が施設管理の面で比較的開放しやすいからではないかと思われる。
 開放される回数については,週2回以上(87.8%),次に週1回(41.5%)が多い。また,日時については平日(90.2%),しかも夜間が多い。
(イ)  開放のきっかけ
 施設・設備を開放する直接のきっかけについては図51から,行政機関,地域諸団体,生涯教育団体などからの要請によるものが多い。これに対して,独自の考えで開放していこうとする学校は少ないと言える。
(ウ)  開放を協議・運営する組織
 学校開放を協議・運営する校内組織の有無については,設問5−2−3,5−2−4によると,70%近くがないという結果である。また,使用団体との会議の有無についても70%以上がないということである。(図52)
 図51の開放の直接のきっかけからも分かるように,校内の運営組織や使用団体との定期会議がないのは学校を自ら開放しようとする意識が低いからである。
 施設使用規定については,設問5−2−5によると,学校独自に定めているところは51.2%であり,規定項目はほぼ共通している。
 開放したときの問題点と開放できない理由
(ア)  開放したときの問題点
 学校の施設・設備を開放しての問題点は,施設・設備などの管理面の問題,責任の所在などが多くあげられている。これは,使用者側のモラルの問題もあるだろうが,学校と使用団体との協議がなされていない現実から,使用者側と学校の相互理解が図られていないことが考られる。また,教職員への負担も問題点である。そうした中で,開放をして特に問題なしと答えているのが56.1%と多い。これについては積極的に評価し,今後,さらに施設・設備の開放を進めるうえで一つの手がかりになる。(図53)
 保護者側からは,設問6によると,曜日や時間が限られていること(21.9%),手続きや鍵の受け渡しがめんどうであること(19.7%)などが多くあげられている。学校側の懸念する管理の問題と関連する回答と思われる。
(イ)  開放できない理由
 開放していない学校ではその理由として,開放に関する要請がない,教職員に負担がかかるなどをあげている。これは,開放に対する学校側,教職員の意識の改革とともに関係機関と開放についての連携の在り方について考えなければならないことを表している。また,開放している学校では管理面の問題を大きく取り上げているが,開放していない学校では管理面に問題があるとはとらえていない。(図54)
(5)  学校のもつ教育力の地域社会への還元について
 教職員の意識
(ア)  地域の生涯学習にリーダーとして参加することが望ましいと考えている教職員
 家庭や地域との連携において,どのような分野で連携をとることが望ましいかについては,保護者との連携(69.6%),地域の人材・文化財などの活用(64.9%),他校や他の関係機関との連携(51.1%)に対する教職員の意識は高いが,教員が地域の生涯学習にリーダーとして参加することは1.4%と低い。(図31)
 このことから,学校を核とした連携に対する教職員の意識は高いが,教職員が学校から出て地域の中でリーダーとして参加しようとする意識は低いことが分かる。(設問1−2)
(イ)  指導者として依頼されたときの対応
 今までに学校や地域で実施する公開講座やスポーツ教室などに指導者として参加したことがない教職員が,指導者として依頼された場合,参加できる教職員は64.1%である。職位別にみると参加しようとする意識は校長が高く,続いて教頭,教務主任,学年主任,担任の順になっている。(設問6−3)
 その際,指導者として参加できる分野は,野球やサッカーなどスポーツの指導が多く,続いて文芸,郷土史,自然観察などの指導,子育てなど家庭教育に関する指導,音楽,絵画など芸術面の指導の順である。男子はスポーツ面での指導,女子は音楽,絵画などの芸術面の指導をあげた教職員が多い。(図55)
 一方,参加できない理由として,男女とも時間的ゆとりがないことをあげている。そのほか女子職員の場合,指導者となれる知識や技能がないことも大きな理由の一つとなっている。
 現  状
(ア)  学校や地域で実施する公開講座やスポーツ教室などへの参加状況
 学校や地域で実施する公開講座やスポーツ教室などにかつて参加したり,あるいは現在参加している教職員は30.2%である。
 かつて参加したことがある教職員は,年齢が上がるほど参加した割合が高くなっている。一方,今まで参加したことがない教職員は,年齢が下がるほど参加できない割合が高くなっている。(図57) また,今までに参加したことがない女子職員の割合は女子職員全体の87.3%であり,女子職員の参加率は非常に少ないと言える。
(イ)  公開講座やスポーツ教室の内容
 図58によると,今までに参加した公開講座やスポーツ教室の内容は,野球,サッカーなどの指導が最も多く,園芸や手芸・料理などの指導の割合は少ない。(設問6−2)
 男子職員はスポーツの指導が圧倒的に多く,次いで芸術面の指導,文芸,郷土史,自然観察の指導,家庭教育に関する指導の順になっている。女子職員もスポーツの指導が多いが,次いで家庭教育に関する指導,情報処理に関する指導,文芸等の指導の順になっている。
(ウ)  指導者として参加したときの問題点
 公開講座やスポーツ教室に参加したときの問題点は,まず,時間的にゆとりがないことがあげられる。続いて,活動に必要な経費の裏付けがないこと,自他の事故などに対する補償がないこと,運営や組織があやふやなこと,学校の他教師の理解が得られないことの順になっている。
 問題点とその要因
(ア)  教職員が地域社会の生涯学習にリーダーとして参加できない理由として,学校のもつ教育力を地域社会に還元しようとする意識が低いことがあげられる。教職員は,保護者や地域の人々に学校へ来てもらうことが連携であり,学校から外に出て地域の中でリーダーとして参加しようとする意識が低い。(図31)
(イ)  学校での仕事が多忙で,時間的にゆとりがないことも参加できない大きな理由となっている。
(ウ)  指導者となれる知識と技能をもっていないことも地域社会へ参加できない要因の一つとなっている。専門の教職関係以外に,他人に指導できるほどの趣味や特技等がなく,指導に自信がもてないという教職員が多い。


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