1.はじめに

今日の急激に変化する社会において,情報化や国際化,価値観の多様化など の変化に主体的に対応できる,個性的で創造性豊かな生徒の育成が求められて いる。また,今回の学習指導要領の改訂では,教育課程編成の一般方針の中で も「各学校においては,生徒の人間としての調和のとれた育成を目指し,地域 や学校の実態及び生徒の心身の発達段階や特性等を十分考慮して,適切な教育 課程を編成するものとする。」とされ,「個に応じた指導を展開しなければな らない。」とも述べられている。しかし,これまでの教育は,どちらかといえ ば教師主導型の画一的な授業が展開され,「個を生かす」,「個性を伸長する」 という教育とはいえない状況であったと思われる。

そこで,激しく変動するこれからの社会を生き抜いていくためには,自らの 意志と判断力で困難を切り開いたり,自分の課題を発見し,解決できる能力を 育成したりしなければならない。生徒一人一人を生かす教育の充実のためには, 生徒の能力・適性,興味・関心等に応じた学習を進めることにより,学ぶこと の楽しさや成就感を味わわせながら学習に村する意欲の高揚を図っていくこと が重要である。生徒が主体的に学習できる選択履修の幅を拡大し,一人一人の 特性に応じた個を生かす教育を可能にし,生徒が自らの特性に応じた教科を選 択し,課題意識をもち,解決していこうとする学習活動が展開されなければな らない。

これらのことから,生徒の「個を生かす」,「個性を伸長する」ための教育 の充実のために選択教科に対する課題を明らかにして,解決を図り,より充実 した選択教科の学習が展開できるようにこの研究を進めた。


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