研究主題「インターネットを利用した教員研修について」
1 ストリーミング配信
研究内容  インターネット配信による教員研修の実施に向けて,効果的な研修形態及び実施方法について究明する。
研究期間 平成21年4月〜平成22年3月
研究方法  茨城県教育研修センターで収録した講義を,茨城県教育情報ネットワークを通じて配信する。教員研修に適した研修形態を探るとともに,より効果的な実施方法を,視聴者の意識実態調査をとおして究明する。
実践事例
[事例1] 講義「情報教育の現状と動向」 講師:尚美学園大学 教授 小泉 力一 氏
    平成21年6月16日(火)に実施した情報教育リーダー研修講座での講義 「情報教育の現状と動向」を配信する。
講義資料(PDF981KB)
はじめに(3分14秒)
新しい学習指導要領における情報教育1 ―情報教育について―(20分10秒)
新しい学習指導要領における情報教育2 ―新学習指導要領について―(15分31秒)
「教育の情報化に関する手引き」について(26分39秒)
我が国および海外における教育の情報化(15分3秒)
ICT活用による授業の改善(6分11秒)
[事例2] 講義「インターネット利用の現状と課題」 講師:茨城県警察本部 生活安全部少年課 少年サポートセンター 係長 酒井 克子 氏
    平成21年7月9日(木)に実施した情報モラル研修講座での講義 「インターネット利用の現状と課題」を配信する。
はじめに(2分31秒)
親と子どもの認識のズレ(2分54秒)
子どもの携帯・インターネット問題(7分42秒)
ところで,ご存じですか?(5分56秒)
チェーンメール,チェーンメールの転送先(3分31秒)
プロフ,ブログ(6分54秒)
掲示板,犯罪へ繋がる道(10分52秒)
出会い系サイト,ネットで飛び交う隠語(8分9秒)
どうして被害に遭っちゃうの?(4分31秒)
10 携帯電話を購入するときに・・・,フィルタリング(7分13秒)

ストリーミング配信の画面
事例1:講義「情報教育の現状と動向」 事例2:講義「インターネット利用の現状と課題」

視聴者の
意識調査
 視聴者への意識調査は,茨城県教育情報ネットワークのアンケート機能を活用して実施した。アンケートの結果は,次のとおりである。
  ※( )内の数値は回答数 回答総数205件 平成22年3月1日現在
校種をお答えください。
小学校(116) 中学校(38) 高等学校(38) 特別支援学校(5) 教育委員会(7) その他(0)
どこで視聴しましたか。
学校(140) 自宅(39) その他(34)
いつ視聴しましたか,御記入ください。(自由記述)
放課後(111) 授業の空き時間(28) 昼休み・休み時間(7) 休日(21) 夜(9) その他(4)
何人で視聴しましたか。
1人(155) 2〜5人(36) 6〜10人(10) 11人以上(10)
講義資料の有無をどう思いますか。
あったほうがよい(171) なくてよい(8) どちらでもよい(26)
動画の再生時間は,1項目当たり何分くらいがいいですか。
5分まで(37) 5〜10分(91) 10〜15分(35) 15〜20分(19) 20〜25分(4) 25〜30分(7) 分割しないほうがよい(8) その他(3)(内容により分割する)
インターネット配信による講義について,当てはまると思われるものを選んでください。
いつでもどこでも視聴できる(119) 出張しないで講義を聴くことができる(143) 研修したい内容を選択して視聴できる(133) 校内研修で利用できる(134) その他(2)
インターネット配信による講義は,どのような研修で利活用できますか。
自主研修(160) 校内研修(全職員)(133) 校内研修(グループ)(113) その他(1)(市町村の研修会)
インターネット配信で視聴したい講義は,どのような講義ですか。(自由記述)
教科(36) 領域(6) 情報(37) 相談(2) 生徒指導(5) 特別支援(5) 道徳(4) 部活動(2) 研究授業(11) 校内研修(2) 大学教授等(5)
10 視聴した感想等を記述してください。(自由記述) ※研修形態や実施方法についての感想等を掲載
・ 業務の軽量化,予算の削減ができる。
・ 項目ごとに分割されていると,ポイントを絞って視聴できる。
・ 確認したい動画を何度も視聴できる。
・ 講義の項目に概略があると選択しやすい。
・ 講義資料があると分かりやすく,後から見直すことができる。
・ 講義資料が表示されると,資料を印刷しなくてもよい。
・ 要点をまとめた資料があるとよい。
・ 画面やスライドは大きく明るい方がよい。
・ 動画は分かりやすい。
・ とても便利な機能で,すばらしい試みだと思う。
分析
 
考察
 インターネット配信による教員研修の実施に向けて,本研究はその一つの試みとして,茨城県教育研修センターが実施した講義を,茨城県教育情報ネットワークを通じてストリーミング配信し,視聴者に対し意識実態調査を実施した。
 ここでは,視聴者の意識実態調査を基に,研修の形態や実施の方法について分析・考察をする。
視聴場所について
 インターネットが利用できる環境であればどこからでも視聴はできるが,多くの教員は学校で視聴した。
視聴時間について
 多くの教員は,放課後などの授業のない時間に視聴した。
視聴人数について
 多くの教員は,一人で視聴した。
資料の有無について
 著作権の処理や講師の許諾が得られた資料は掲載する。
1項目当たりの時間について
 5分〜15分が適当であるという意見が多い。
インターネット配信による講義の利活用について
 研修したい内容を選択して,自主研修や校内研修などで利活用できる。
視聴したい講義について
 教科や領域などについて広範な希望がある。まずは,インターネットを利用し多くの教員が自主研修を行えるような講座から内容を検討する。
まとめ
 視聴者への意識実態調査から,「いつでもどこでも何度でも視聴できる」,「出張しないで視聴できる」,「学校を空けることもなく,業務の軽量化,予算の削減ができる」などの意見が多く,講座のストリーミング配信の有用性が認められる。
 また,配信動画の1項目当たりの時間は「講義の内容が理解できる範囲で10分程度に分割する」,講義資料は「講師の許諾を得られた資料は掲載する」という方向性が見えてきた。
 インターネット配信による講義の利活用に関しては,自主研修だけでなく,校内研修での活用の可能性が見えてきた。視聴した約30%の教師が学校においてグループで研修し,10%の教師が自宅で視聴し研修した。視聴した先生方に教員研修の多様な形態や方法を示していただいた。


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